1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

手に負えないのはADHDだから? 家族に順位を付け、父親を「君づけ」で呼ぶ不登校小6男子の場合

ニューズウィーク日本版 / 2024年6月17日 16時0分

ちょうど父親の仕事がうまくいっていないタイミングだったため、経済的な理由もそれを後押ししました。

それ以来、J君一家の生活はガラッと変わりました。

父親は、「祖父母が加わったことで、ひとつの大きな家族のようになった」と説明しました。

まず、大きく変わったのは家族の呼び名です。

祖母が「おばあちゃんと呼ばれたくない」と言い出したため、祖母を「お母さん」、母親のことは「ママ」と呼ばされるようになりました。さらに、いつのまにか、祖父を「ボス」と呼ぶようになりました。

また、祖父母がJ君の父親のことを下の名前で「○○君」と呼ぶため、J君も父親を「○○君」とか「○○ピー」と呼ぶようになりました。

J君の母親は仕事が忙しく、家事があまり得意ではありません。もともと几帳面(きちょうめん)できれい好きな父親が掃除や洗濯、料理を黙々とこなしていました。それだけでなく、妻の実家から経済的な援助を受けている負い目からか、祖父宅の買い物や病院への送迎なども率先して行い、雑用を一手に引き受けるようになりました。

もともとJ君の家では、ゲームは一日1時間半までというルールがありました。

ルールを守ってきたJ君でしたが、次第に祖父宅で何時間もゲームをするようになりました。そのうち、祖父宅に泊まり、朝までゲームをしたり、動画を見たりと、エスカレートしていきました。欲しいゲームがあると祖父と一緒に買い物に行き、好きなだけ買ってもらうようになりました。

外食のときには、自分で注文した料理を「やっぱりおいしくなさそうだから、別の物を食べたい」とわがままを言い、それを見た祖父が「もうひとつ別のものを注文してやれ」というため、J君が最初に注文した料理は、代わりに父親が食べるようになりました。

家族の誰も止めない増長ぶり

祖父は絶対的な存在であり、どんなにJ君を甘やかそうと、両親は異論を唱えることができませんでした。そのため、J君はいつも祖父を使って自分のわがままを通すようになり、自分の両親との約束はなんとも思わなくなっていきました。

家の中で一番偉いのは祖父で、二番目は祖父に溺愛されている自分。さらに祖母、母親、父親と順位付けをしていました。

キャッチボールをしていたとき、「そろそろ終わりにしよう」と言った父親に腹を立て、庭のホースで水をかけたこともありました。それでも、気弱な父親が自分の息子を叱責することはありませんでした。父親だけでなく、家族の誰もJ君の増長を止めません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください