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BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も

ニューズウィーク日本版 / 2024年7月25日 16時22分

アルバムの初週の販売量(ハントチャート基準)を前作と比べてみると、SEVENTEENは509万枚から297万枚に、ZEROBASEONEは213万枚から135万枚に、BTSのRMは62万枚から56万枚に、IVEは161万枚から132万枚に、Red Velvetは41万枚から27万枚へとそれぞれ減少した。aespaは113万枚から115万枚に小幅増加したが、昨年170万枚を記録した3番目のミニアルバムを超えることはできなかった。もちろん、SEVENTEENのアルバムは新曲が少ないベストアルバムである点と、RMは兵役のためプロモーションが事実上なかったという点もあったことは考慮されるべきだが、全体として売上が落ちていることは否めない。

アルバム販売は2023年がピーク?

さらに販売減の要因として指摘されるのは、これまでの過度なアルバム販売戦略がファンたちの疲労感を呼び起こしたのではないかという点だ。

特にNewJeansの所属事務所ADORのミン・ヒジン代表が、親会社HYBEを批判する記者会見で指摘した「フォトカード」や「押し出し」はK-POPに限らず、世界のレコード業界の抱える問題として注目を集めている。

このうち「押し出し」とは、アルバムの初回販売数を上積みさせるため、レコード会社が卸売業者にCDを一定数を買い取らせる商法を指す。卸売業者はCDを売り切るために一定枚数を購入したファンを対象としたアーティストのサイン会を実施するが、熱心なファンは何度もアーティストとの触れあいの機会をもちたいからと沢山のアルバムを購入するため、1回のサイン会が数時間もかかることがある。それでなくても新曲のプロモーションで多忙なアーティストがさらに疲弊する要因になっていると問題を指摘する声は多い。

またK-POPに限らず、近年のレコード業界はアルバム販売数を引き上げるためにアルバムジャケットのビジュアルを複数バージョン作ったり、アーティストの「フォトカード」を複数作ってランダムに封入することで同一アルバムをファンに何枚も売りつける販促戦略を使ってきた。

米ビルボードは最近「アーティストたちがこれまでになく多くのバージョンの異なるアルバムを出している」という記事を通じて14種類のバージョンでアルバムを出したテイラー・スウィフトの事例と共にK-POPについても取り上げた。ビルボードは「CDのバリエーションは多くのK-POPアーティストが『ビルボード200』で好成績を出すことを助けた」として「韓国では多くのファンがCDプレーヤーをもっていないにも関わらず、レコード会社は『宝くじスタイル』のマーケティング戦略とグッズを伴ったパッケージCDを導入する」と指摘した。

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