「銃規制は死んだ...」3Dプリンター銃「FGC9」開発者の正体が判明、謎の死と痛ましい「素顔」に迫る
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月1日 15時35分
私が初めて3Dプリンター銃を知ったのは、19年10月にドイツでシナゴ―グ(ユダヤ教会堂)を襲撃した男が、犯行の様子を自らライブ配信したときだ。
ドイツ国籍のステファン・バリエット(27)は襲撃の直前に、犯行声明と、自宅で作った数十種類の武器の目録をネットに投稿していた。犯行の目的の1つはそれらの性能を証明することだと、彼は書いていた。3Dプリンターを使って作った武器もあり、設計ファイルもアップロードされていた。
ただし、バリエットの銃はよく故障した。犯行の配信中も自分の武器に悪態をついていた。施錠された門を突破できず、近くにいた2人を射殺して逃走したがすぐに逮捕され、終身刑を言い渡された。
その後、より信頼性が高くて有効な設計データがネット上で公開されるようになった。必要な技術はより安価に、より高性能になっている。
13年にウィルソンが最初の設計図を作成したとき、3Dプリンターの価格は約700ポンドだった。現在では初心者用モデルは4分の1の値段で購入でき、より安価で強力なプラスチックポリマーも容易に入手できる。さらに、熱狂的な愛好家のコミュニティーが初心者を手取り足取り指導する。
こうした自家製銃器の合法性は国や地域によって異なる。アメリカではヨーロッパと違って、個人が自身で使うために銃器を作ることは基本的に合法だが、販売には基本的にライセンスが必要だ。
ただし、ほとんどの3Dプリンター銃にはシリアルナンバーがなく、追跡困難な「ゴースト銃」になっている。ゴースト銃の所有はアメリカの大半の州で合法だが、規制している州もある。
銃の所持は「普遍的権利」
ウィルソンは、アメリカ文化の顕著な特徴であり、銃所持を支持する憲法修正第2条の思想の影響を強く受けていた。彼は12年、フォーブス誌にこう語っている。「全ての市民は武器を所持する権利がある。これはそれらの武器へのアクセスを妨げる障壁を下げる方法だ」
ウィルソンや彼の後継者らにとって、3Dプリンター銃はイデオロギーの問題だった。
ウィルソンの最初のリベレーターの設計図に触発され、銃マニア、テックおたく、自由意思論者たちが新たな設計を考案しようとネット上にたむろし始めた。彼らはウィルソンが立ち上げたブログ「ディフェンス・ディストリビューテッド」に投稿し、さまざまなチャットルームでアイデアをシェアした。
その1人がジェイコブ。チャットルームでは、Jスタークというハンドルネームを使っていた。この名前は、アメリカ独立戦争の英雄ジョン・スターク将軍から取ったものだ。
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