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「銃規制は死んだ...」3Dプリンター銃「FGC9」開発者の正体が判明、謎の死と痛ましい「素顔」に迫る

ニューズウィーク日本版 / 2024年8月1日 15時35分

この記事をきっかけに3Dプリンター銃のネットコミュニティーではジェイコブ・Dの死をめぐって陰謀論が飛び交った。一部では銃所持という大義の「殉教者」、FGCのような銃を自作できるよう命懸けで挑んだ人物と見なされるようになった。

私は19年8月のあるインタビューから、ジェイコブ・Dの正体に迫る鍵を見つけた。

記事の中で彼はウィルソンとツイッター(現X)でウィルソンの設計の1つを「使えない」と批判したことに言及。ウィルソンから「自分で直せ」というようなことを言われて奮起し、独自の設計に取りかかったと述べている。

ウィルソンのツイッターのフィードをざっと調べてみると、18年のあるメッセージで@thereal_JacobKというユーザーに「直せ」と返信していた。だがそのユーザーのアカウントはその後停止され、プロフィールを閲覧することはできなかった。

幸い、ネットのアーカイブサイトで@thereal_JacobKのプロフィールが公開されているのを発見。ジェイコブ・Dと同一人物だと確信して追跡を続けた結果、匿名掲示板4chanの「ポリティカリー・インコレクト(非ポリコレ)」の掲示板にたどり着いた。

ミーム(ネット上で拡散する画像やフレーズなど)やジョークを量産するだけでなく、荒らしや嫌がらせも横行することで悪名高い掲示板だ。

Jスタークは4chanのスレッドに本音をのぞかせる書き込みを残していた SHARAF MAKSUMOV/SHUTTERSTOCK

4chanの投稿は定期的に削除され、デフォルトの投稿者名は全て「アノニマス(名無し)」。だが実は一人一人に独自の文字と数字の組み合わせがひも付けされていてコメント主を追跡できる。

4chanのアーカイブサイトで追跡を続けると、やがて@thereal_JacobKについてさらに詳しいことが分かってきた。ドイツでの生活に失望、渡米を願い、憲法修正第2条に心酔し......。何より印象的だったのは自分を「インセル(非モテ)」と評していたことだ。

とうとう私は、ジェイコブ・Dが自分の写真をいくつか投稿しているスレッドを見つけた。その中には顔出し写真もあった。

顔認証システムを使うなどして、彼が過去に利用した音楽共有サイトのサウンドクラウドと外国旅行者のためのホームステイ先紹介サイト・カウチサーフィンのプロフィールにたどり着いた。後者で彼は「10代の頃からの憧れの国」アメリカに旅したいと書いていた。

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