英暴動は他人事ではない......偽・誤情報の「不都合な真実」
ニューズウィーク日本版 / 2024年8月16日 17時42分
・英国の偽・誤情報対策
当初は、ロシアの関与の調査、拡散に加担した極右などのインフルエンサーの非難を行っていた。偽・誤情報を拡散した者も処罰の対象とするとアナウンスし、実際に逮捕者も出ている。
・メディアの報道
メディアはSNSプラットフォームの問題を指摘する他、偽・誤情報の拡散について調査しレポートしていた。ロシアの関与や、極右インフルエンサーなどについての言及もあった。
これらの要因は多かれ少なかれ、世界のどこかで偽・誤情報に関連した騒動が起きた時には関係しているものと言っても過言ではないだろう。英国の主要な要因を一般化すると下記になる。
・FIMI(Foreign Information Manipulation and Interference)=海外からの情報操作と干渉
・経済格差、不可視化民
・IBVEs(Indenty Based Motivated Violent Extremists)アイデンティティ(人種、ジェンダー、民族、宗教など)に基づく攻撃を行う過激派。RMVEs(Racially or Ethnically Motivated Violent Extremists)などIBD(Indenty Based Disinformation)を信じたり、拡散したり、行動するグループや個人。
・市民団体。人権擁護団体、民主主義団体
・偽・誤情報政策
・メディアの報道
偽・誤情報問題が起きると関係アクターが毎回同じアジェンダを推す
こうした関係するアクターの多くは問題が起きた時に、同じ対応をすることが多い(特に初期段階で顕著)。一般的な傾向をもとに表にすると下記になる。主要でないものは含んでいない。
今回の英暴動も偽・誤情報発生時のパターンをなぞっていることがわかる。その理由は簡単で、偽・誤情報に関する出来事に注目するとパターン化されていることが多いためである。目立った騒動が起きれば必ず偽・誤情報が発生する。ロシアなどのFIMIはそれらを拡散し、IBVEsも同様に拡散し、場合によってはリアルに騒動を起こす。特に人が死ぬような事件や悲惨な事件の場合は、FIMIやIBVEsに利用されやすい。
そして偽・誤情報はメディアにとって、おいしいネタであるため、すぐに飛びついてニュースにする。欧米のメディアの購読者は知的な富裕層が多く、偽・誤情報記事への反応がとてもよい。2015年から2023年にかけてニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、USAトゥデイ、AP通信の見出しを調査した結果によると、移民と失業に次いで3番目に多く取り上げられていたのが偽・誤情報だった。偽・誤情報は一貫して読者から高い関心を持たれており、党派を超えてアピールし、広告主との間で問題が起きることもない。しかも無尽蔵に湧いてくる。メディアからすると貴重な金のなる木なのだ。
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