「50-50」を達成しても挑戦を続ける大谷翔平、今季見せた2つの新たな側面とは
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月4日 17時28分
「二刀流であっても、パワーや出塁率や打率は同じレベルを実現できるだろう。OPS(出塁率と長打率を足した数値)もほとんど変わらずにやれる。でも盗塁だけは、そうはいかないのではないか」
夏のさなか、盗塁数が24に達した時点で、大谷の走塁には大きな注目が集まっていた。
例えばフロリダ・マーリンズ(当時)などで監督を務め、この夏に野球殿堂入りしたジム・リーランドは私にこう語った。「あんなもの(盗塁)はこれまで見たことがない。今年は投げていないにせよ、投打の両方をやっているのに」
「でも大谷について最も印象に残るのは、あれだけ大柄なのに走り方が優雅なこと。そこがすごく驚きだ」
❝SHOHEI QUOTE_03❞
「いや、特にびっくりはしなかった」
(6月5日、パイレーツのスキーンズ投手から第1打席に3球連続ストレートを投げられて)
オールスター戦で他球団の選手とも談笑 AP/AFLO
新人剛腕投手と真っ向勝負
とはいえドジャース1年目の大谷の活躍は、やはり破壊力あふれるバットなしには始まらなかった。大きな注目を集めたのが6月5日のピッツバーグ・パイレーツ戦。大学時代は二刀流だったという超大型新人ポール・スキーンズ投手との対決だ。
1回の初対決では、スキーンズが100マイル(約160キロ)超えのストレートを3球続け、大谷を3回空振りさせて三振に打ち取った。しかし3回の2度目の対決では、フルカウントまで粘った大谷がスキーンズの100マイル超のストレートをはじき返し、飛距離415フィート(約126メートル)の本塁打にした。
「最初のイニングは真っ向勝負したかった」と、8月にスキーンズは私にそう語った。「間違いなくそれがうまくいった。2度目の対決では通用しなかったけどね」
スキーンズは、大谷を前にいつもとは違う緊張感があったことは認めた。大物だからではない。「大谷は苦手とするコースが少ないから、いつもよりきちんと、いくらか精度を上げて投げないといけない」と、スキーンズは言う。
2人が次に会ったのは7月のオールスター戦だった。スキーンズはナショナルリーグの先発投手に指名され、大谷は指名打者として3打点を挙げた。大谷と交わした言葉を、スキーンズはこう振り返る。
「一番よく覚えているのは、先発で緊張しているかと聞かれたこと」と、スキーンズは言う。
「『いや、それほどでも』って感じで答えて、『オールスター戦で先発したことは?』って聞いたら、『あるよ』って。それから『いま緊張してる?』って聞いたら、彼が『いや』って答えたので、2人一緒にいい感じでちょっと笑ったんだ」
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