「イランは無防備」「50年に1度の大チャンス」...中東大戦へのカウントダウンが始まったのか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月9日 13時16分
紛争がイランとその代理勢力との存亡を懸けた戦いの様相を呈するなかで「イスラエルにとって審判の日がやって来た」と指摘するのは、米保守系シンクタンク民主主義防衛財団の上級研究員ルエル・マクル・ゲレヒト。「国内では強硬論が優勢だ。イスラエルはリスク許容度の設定を変更したのではないか」
イスラエルのタカ派であるナフタリ・ベネット元首相はX(旧ツイッター)に、「イスラエルは今、中東情勢を変える50年に1度の大きなチャンスを手にしている」と投稿した。「わが国には正当な理由があり、手段もある。ヒズボラとハマスの機能は麻痺し、いまイランは無防備だ」
Israel has now its greatest opportunity in 50 years, to change the face of the Middle East.The leadership of Iran, which used to be good at chess, made a terrible mistake this evening.We must act *now* to destroy Iran's nuclear program, its central energy facilities, and to...— Naftali Bennett נפתלי בנט (@naftalibennett) October 1, 2024
イランから発射されたミサイルを迎撃するイスラエルの対空防衛システム「アイアンドーム」 AMIR COHENーREUTERS
ゲレヒトは「イスラエルがイランからの挑発に強硬措置を講じなければ、イランに核の保有を許すことになる」と指摘。イスラエルにとってイランの核開発計画への攻撃は、戦略的に不可欠だという考えも示した。
「イランを大々的に攻撃しても──その原油産業施設や軍事施設、最高指導者のアリ・ハメネイを含む指導層を攻撃したとしても、核兵器のインフラを標的にしなければ、イランの策謀への抑止としては意味がない」
しかしバイデンとハリスは、こうしたエスカレーションを何としても避けたい。中東の紛争が大規模なものに発展すれば、米軍はほぼ確実に巻き込まれ、アメリカ国民に死傷者が出かねない。
これが投票日直前に選挙の形勢に大きな影響を与える「オクトーバー・サプライズ」となれば、ハリスの勝利は危うい。
外交面で緊急の課題は、バイデンが影響力を発揮し、イスラエルによるイラン攻撃のエスカレーションを抑止して全面戦争を食い止められるかどうかだ。実際、10月1日のイランによる攻撃は、バイデンとハリスが抑止を働きかけると踏んだ上で、タイミングを計って行われた可能性が高い。
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