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「イランは無防備」「50年に1度の大チャンス」...中東大戦へのカウントダウンが始まったのか?

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月9日 13時16分

民主主義防衛財団の上級研究員で、イランのミサイル能力に関する専門家のベーナム・ベン・タレブルは、イランが全面戦争の回避を試みる米政府の「土壇場の踏ん張りを当てにしているのではないか」との見方を示した。

レッドラインを越えた

特にバイデンが7月に米大統領選からの撤退を表明して以降、アメリカ外交はあまり進展が期待できない状況が続いている。

しかもネタニヤフは以前から公然とバイデンを軽視し、アメリカからの自制の要請を繰り返し無視したり、アメリカが提案するガザ停戦案に同意すると見せかけて結局は拒否したりしてきた。

それでも少なくとも過去1年間、ネタニヤフはおおむねアメリカの要請に従い、ヒズボラやレバノンとの新たな戦闘を始めないようにしているように見えた。だが、9月に入って状況は一変。

イスラエルは米政府への事前通告なしに、ヒズボラ戦闘員の通信機器を狙った妨害工作を実行して大勢の死傷者を出し、新たな戦線を開いた。

さらにその後イスラエルは、ヒズボラの最高指導者ハッサン・ナスララとイラン革命防衛隊の司令官アッバス・ニルフォルーシャンを相次ぎ暗殺。レバノン南部への限定的な地上侵攻に踏み切った。

バイデンにとって最大の問題は「米政府が窮地に追い込まれていることだ」と、イスラエルのシモン・ペレス元大統領の上級顧問だったニムロド・ノビクは言う。「アメリカとイスラエルの隔たりが露呈すれば、イランを含むあらゆる敵対勢力が勢いづく」

民主主義防衛財団のタレブルは、今後イスラエルが何をするにせよ、「かなり大規模なものになる」と予測する。

今回の攻撃でイスラエル側に死傷者が出なかったために全面戦争は回避できたが、イランは他国に対する「史上最大規模の弾道ミサイル攻撃」という「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えたと彼は指摘する。

アナリストらは、マスード・ペゼシュキアン大統領が率いる穏健派のイラン新政府が、制裁解除と引き換えにアメリカとの核交渉を再開しようとしているなか、イランはイスラエルへの反撃を慎重に調整しようとしたと考えている。

イランのジャバド・ザリフ副大統領は、2015年の核協議の際のイラン側の交渉責任者だった。

10月1日のミサイル攻撃には、高性能固体推進薬を推進力とする約180発の弾道ミサイルが使われた。これまでより強力なもので、事前通知から攻撃までの時間は4月の攻撃時より短かった。イラン政府が約3000発といわれる膨大な量の武器を使い切らないよう小出しにしていることも明らかだ。

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