迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月11日 9時28分
市内各所に避難を呼びかける告知が設置され、避難のアナウンスを流し続けるパトカーが市内を循環する。
目立った混乱もなく比較的スムーズに進んでいるように思えたが、9月に入った時点でまだ半数近くの住民が残っているということだった。避難をする決断ができない人、避難を希望していない人など、多い地域では2000人近い人が残っているという。
ウクラインスクから逃げてきた高齢女性。地下の避難所にロシア兵が手榴弾を投げ込み、十数人が死んだという PHOTOGRAPHS BY KOSHIRO KOMINE
多くの住民は、北部クラマトルスクやスラビャンスク、西に隣接するドニプロペトロウシク州に避難をしていく。
親族を頼ったり、自ら部屋を借りたり、早めに避難施設に入れた人がいる一方で、多くの人が新しい場所で生活を立て直す資金がなく、移動先での不安も尽きず、避難の決断ができないでいる。
遭遇したロシア兵からの尋問
9月に入った。北部の越境作戦の影響で東部のロシア軍が移動しているという話が本当だったのか、ウクライナ軍の善戦のおかげか、最初に言われていた2週間のタイムリミットが過ぎても住民の避難は続いていたが、ポクロフスクを取り巻く状況はより厳しくなっていた。
9月3日、銀行などのサービスが停止。翌4日、ポクロフスクから西へ向かう鉄道の線路橋がロシアのミサイルによって破壊された。5日、中心部の変電所が攻撃を受け市内の広範囲が停電。6日、ポクロフスクから北西へ延びる幹線道路につながる橋が破壊された。
ガソリンスタンドやスーパーはほぼ閉店しており、一部の店舗だけが自家発電機を用意して営業している。午後3時から午前11時までは外出禁止で、通りに人の姿はほとんど見られなくなった、この2週間でポクロフスク市内でまともに生活できる地域はなくなった。
ボランティアのフェディール・シロバツキー PHOTOGRAPHS BY KOSHIRO KOMINE
その日から再び、ポクロフスク市近郊の避難活動が加速することになった。
ドネツク州は隣接するドニプロペトロウシク州やボランティア団体と協力して、避難民を各地域へとピストン輸送するための避難バスを急きょ運行し始めた。ポクロフスク市の各地域まで車で迎えに行き、中心部まで連れてくる、そして避難バスに乗せて各都市へと送り出す。
ウクラインスクなどポクロフスクより南部の地域では町の一部がロシア兵に占領され、偵察隊があちこちにいるという状況だという。
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