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迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月11日 9時28分

ポクロフスクでの救出・避難活動を行っているボランティア団体「チルドレン・ニュージェネレーション」に同行して市内各地を取材した。

この団体はポクロフスク市の西方約180キロにあるドニプロ市を拠点に、開戦直後の22年3月から活動し、住民の救出や避難、支援物資の配達など、特に低所得者層への支援を続けている。

ポクロフスク中心部でドニプロ行きのバスの周りに7~8人の避難者がいた。全員ウクラインスクから逃げてきた人たちだ。

救出に行ったボランティアが街中でロシア兵に遭遇し尋問を受けたが、「民間人のボランティアで住民を避難させている」と伝えると、何も言わずに立ち去ったという。

避難者たちもロシア兵に遭遇していた。実際、ロシア兵に多くの人が殺されたといい、生き残った人々は命からがら逃げてきた、と教えてくれた。

ヘルニャックから避難した高齢女性を支える PHOTOGRAPHS BY KOSHIRO KOMINE

避難をしてきた数人に声をかけたが、何も話すことはないと断られ、やっと一人の高齢女性が重い口を開いてくれた。

「ロシア兵の偵察隊が来て、私たちを地下の避難所に閉じ込めた。3歳と2歳の子供を含む21人がいた。入り口をマットレスで塞いで2日間閉じ込めた。民間人だと言って外に出してくれるよう頼んだが、彼らは機関銃を私たちに向け、ひざまずくように言った」

「その後ロシア兵が手榴弾を投げ込み、爆発してマットレスや薪が燃えた。私はどうやって外に出たのか分からない。そこにいた人のうち生き残ったのは6人だけ。皆、煙で窒息死した」

「私は家の玄関に座っていた。家は破壊されてしまい何もなかったから......。そのうちボランティアの人たちがやって来て、私の荷物を車に積んでここまで連れてきてくれた」

ウクラインスクは9月24日頃、ロシア軍に完全制圧された。

9月9日、さらに南部のヘルニャックへボランティアと共に向かった。ロシア軍が村の北部に侵入しているが救出活動が続いており、近くのクラコバという町を経由してポクロフスク市内へと避難させていた。

クラコバの町は前線から近い所で3キロ、遠い所で12キロ離れているが、ウクライナ軍が砲撃をしている場所で、その反撃を受け町中が破壊されていた。

取材時も、ウクライナ軍の砲撃音がひたすら続き、そのうちロシア軍の反撃があり、町のどこかに着弾をする、の繰り返しだった。へルニャックから救出された人々を待つ待機場所近くにも着弾し、大きな音と振動で建物に避難をする。

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