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米大統領選も終盤へ「10月には魔物がいる...」歴史を変えてきた決戦前夜の大逆転は今回も起きるか

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月17日 20時30分

幸か不幸か、このサプライズは実現せず、むしろカーターの敗北を決定づける要因となった。

アメリカの人質52人が解放されたのはレーガンの大統領就任式の直後だった。そのため、レーガン陣営が人質解放のタイミングをイラン政府と協議していたのではないかという疑惑も生じた。

実際、ニューヨーク・タイムズは後に、レーガン陣営が人質の解放を遅らせるよう画策していたらしいと報じている。

その後、オクトーバー・サプライズは7回の大統領選で起きている。

まずは前回の20年。10月2日に、トランプと妻メラニアの新型コロナウイルス感染が発表された。

その2週間前にリベラル派の最高裁判事ルース・ギンズバーグが死去したのを受け、これ幸いとトランプは保守派で若いエイミー・コニー・バレットを後任に指名し、ホワイトハウスで盛大な発表式典を開いた。

その場が集団感染の舞台となったらしい(ちなみにギンズバーグの死去自体を早めのオクトーバー・サプライズと見なす向きもある)。

トランプは重症化し、入院を余儀なくされた。これにより、大統領選の雲行きは怪しくなり、既に20万を超える死者が出ていたアメリカの危機も改めて浮き彫りとなった。

それから2週間足らず。今度はニューヨーク・ポストが、バイデンの息子のパソコンから、バイデンの汚職疑惑を示す電子メールが見つかったと報じた。

他国のハッキングによる偽情報かもしれないとの懸念から(実際は違ったが)フェイスブックとツイッター(現X)がこの記事の表示を制限すると、偏向的だと共和党が激しく反発する事態に発展した。

16年には3つのサプライズがあった。トランプの『アクセス・ハリウッド』ビデオ、ウィキリークスによるクリントン陣営の電子メール暴露、クリントンの私用サーバー利用に関するFBI長官の書簡だ。

12年には大型ハリケーン「サンディ」が来襲するサプライズがあった。ハリケーンの被害状況が明らかになると、現職のオバマはすぐに遊説を中止し、被害地域に足を運んだ。

当時のニュージャージー州クリスティー知事が空港で大統領を出迎える姿が一斉に報じられ、オバマの株が上がり、リビアの米領事館で大使ら4人が殺害された件の責任追及は鳴りを潜めた。

一方、民主党陣営から金持ちのエリートと揶揄されていた対立候補のミット・ロムニーの場合は、支持者の前で「国民の47%は政府のすねかじりだ」と語る動画が流出、これが手痛いサプライズとなった。

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