【インタビュー】LL・クール・J、11年ぶりの新作に込めた「ヒップホップへの愛」
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月25日 15時20分
ウィリアム・ケッチャム(音楽ライター)
<16歳でデビューしてストリート文化を、世界レベルに育て上げたレジェンドが、11年ぶりのアルバムに込めた思い>
LL・クール・J(56)がヒップホップにどれだけ貢献してきたかを知りたければ、彼がQティップと交わした会話に耳を澄ますといい。
Qティップはア・トライブ・コールド・クエストのメンバー。トライブは1990年代、ジャズをサンプリングした独創的な作風で名をはせた。カニエ・ウェストやファレル・ウィリアムスらスーパースターの先駆けとされる伝説のグループだから、ミレニアル以降の世代にとってQティップはヒップホップのパイオニアにほかならない。
だがLLに新作『THE FORCE(ザ・フォース)』でのコラボレーションを持ちかけられた瞬間、大御所Qティップの地位は揺らいだ。
「Qティップに電話したら、彼は最初の呼び出し音で出た。『どうしました、兄貴!?』ってね」。LLはオンライン取材でうれしそうに振り返る。
「兄貴」は平凡な呼びかけに聞こえるかもしれないが、崇拝の念がこもっている。後進にとってLLはまさに兄貴分。だが彼が「兄貴」と尊敬できるラッパーは、片手で数えられるほどしかいない。
草分けの1人として一から築いたヒップホップ文化に今も貢献できることを新アルバムを通じて証明したいと、LLは考えている。
「俺は8歳でラップに目覚め、11歳か12歳でリリックを書き始めた。ヒップホップが生まれたその日から、現場にいた。ずっと文化の一部だった」
ロックの殿堂入りを果たしたLL・クール・Jはエミネムと共演(2021年) KEVIN MAZUR/GETTY IMAGES FOR THE ROCK AND ROLL HALL OF FAME
LLがヒップホップの創成に深く関わったことは、いくら強調しても足りない。
80年代、最初にメインストリームに躍り出たアーティストといえば、シュガーヒル・ギャングやグランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイブが思い浮かぶかもしれない。だが、ソロでスターになったラッパーはLLが初めてだ。
彼は84年、後にヒップホップの代名詞となるデフ・ジャム・レコーディングスと16歳で契約。「アイ・ニード・ア・ビート」など虚勢やマッチョさを前面に押し出した曲で、ヒップホップの新鮮な魅力をアピールした。
ファッションにも貢献
LLがデビュー作『レイディオ』を発表した85年当時、ヒップホップはほぼニューヨーク限定のストリート文化だった。LLはこのアルバムでカリスマを存分に発揮し、ヒップホップがれっきとした音楽であることを証明した。
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