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勝敗を分ける250万のムスリム票の行方、激戦州ミシガンには「8万2000人以上のレバノン系米国人」

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月25日 18時49分

ムスリムには評判の悪いハリスだが、ユダヤ人社会からは全国的に強い支持を得ている。全米ユダヤ人民主会議(JDCA)による最近の調査では71%がハリス支持で、トランプ支持は26%にすぎなかった。

ちなみにバイデンは前回の大統領選でユダヤ人票の69%を集めたが、30%はトランプを選んでいた。微妙な違いだが、大統領選の勝敗を左右する激戦州では無視できない。

前回、トランプが7万4000票差で勝利したノースカロライナ州には、ムスリム有権者が少なくとも5万4000人、ユダヤ系有権者は推定で5万人いる。州全体ではトランプがやや優勢だ。

複雑なユダヤ系有権者の内情

ペンシルベニア州では4年前、バイデンがムスリム有権者のおよそ半数に当たる8万1000票を獲得し、勝利した。同州にはユダヤ系有権者も多く、約30万人はいる。

またJDCAが「投票に当たって最も重視する問題」を尋ねた全国規模の調査では、ユダヤ系有権者の半数近くがイスラエルよりも「民主主義の将来」を重視すると答えていた。JDCAが用意した11項目中、イスラエルは9位に沈み、人工妊娠中絶が2位、経済が3位だった。

アトランタ在住でユダヤ教徒のエスター・グラフラドフォードは、前回はバイデンに投票したし、今回も絶対にハリスに投票すると語った。検察官出身という経歴がいいし、現下のガザ戦争に関する発言も納得できるからだ。

ハリスの「発言」というのは、おそらく先のテレビ討論会で「ムスリムの有権者が抱く懸念にどう答えるか」と問われた際にハリスが発した言葉だろう。

あのとき彼女は、10月7日の奇襲を受けたイスラエルには自衛の権利があるとしつつも、「あまりに多くの罪なきパレスチナ人が殺されている」と言い、さらに「この戦争は終わらせなければならない」とし、停戦と2国家共存の実現に全力で取り組むと語っていた。

しかしムスリム公共問題協議会のハリス・タリンに言わせると、今は「ガザ地区とレバノンから届く恐怖の写真や映像」がハリスの票を奪い、それが緑の党のスタインに流れている。

勝ち目はなくても、スタインには明確な主張があるからだ。「なにしろ大接戦だから、どの激戦州でもムスリム有権者の奪い合いになる。ムスリム票の出方が結果を左右する一因になるのは間違いない」

米イスラム関係評議会も先に、レバノンでヒズボラの戦闘員を標的とする攻撃を続けるイスラエルへの武器輸出を止めるよう、バイデン政権に改めて要求している。

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