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勝敗を分ける250万のムスリム票の行方、激戦州ミシガンには「8万2000人以上のレバノン系米国人」

ニューズウィーク日本版 / 2024年10月25日 18時49分

一方、共和党ユダヤ人連合のサム・マークスティーンはユダヤ系の票の出方も同じくらい重要だと言い、民主党はなりふり構わず、ムスリムにもユダヤ教徒にも取り入ろうとしていると批判した。「イスラエル支持の一本やりでは困ったことになるのが分かっている」から「支持を明言できない」という見立てだ。

マークスティーンによれば、多くのユダヤ系有権者は米国内での反ユダヤ感情の高まりに懸念を強めている。

FBIの最近のデータによると、23年には全米で報告されたヘイトクライムが過去最高の1万1862件に上った。ユダヤ人への攻撃は前年比で63%も増え、ムスリムへの攻撃も49%ほど増えた。

「ユダヤ人はアメリカの総人口のわずか2%にすぎないが、FBIの集計によれば、宗教的な動機に基づくヘイトクライムの67%はユダヤ人に向けられている」とマークスティーンは指摘し、身近な問題だからこそ重要だと語った。

一枚岩ではないユダヤ人

今度の選挙で自分が負けたら、それはユダヤ人のせいだ──そう言わんばかりのトランプの態度を、由々しき問題と見る向きもある。

例えばペンシルベニア州ピッツバーグでユダヤ人団体の代表を務めるジェレミー・カザズは、トランプがユダヤ人有権者をスケープゴートに仕立てるつもりだと非難した。

その一方、彼はハリスを絶賛する。反ユダヤの風潮と本気で戦っているし、なにしろ夫のダグラス・エムホフはユダヤ人だ。何年か前に反ユダヤ主義者に襲撃され、11人の死者を出したピッツバーグのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)の再建に向けた起工式にも、彼はきちんと顔を出していた。

首都ワシントンでハマスを支援するデモがあったとき、ハリスはそれを非愛国的で反ユダヤ的、かつ危険な行為だと非難した。「そういう種類の言動を、ユダヤ系有権者は重視する」とカザズは言う。

無党派のユダヤ公共問題評議会を率いるエイミー・スピタルニクによれば、たいていのユダヤ系アメリカ人はイスラエルの自衛権を認める一方、パレスチナ人の窮状に心を痛め、イスラエルの軍事力行使に懸念を抱いている。

彼女はまた、自分を支持しないユダヤ人は非国民だと言わんばかりのトランプを批判した。

「いいユダヤ人、悪いユダヤ人という色分けをしたり、不都合なことをユダヤ人のせいにするのは危険。そういうのが行き着く先は分かっているはず」だと彼女は言う。

「イスラエルの政策やガザ戦争について意見の違いはあるとしても、忘れちゃいけない事実が1つある。今度の選挙で、反ユダヤ主義に肩入れしている候補は1人だけという事実だ」

ユダヤ人有権者は「決して一枚岩じゃない」。そう強調するスピタルニクは最後に言った。

「ユダヤ人社会が一色に染まっていると思うのは間違い。みんなと同じで、いろんなことを考えた上で投票先を決める。民主主義、経済、医療、教育とか、いろいろ。もちろんイスラエルのことは気になるけれど、それが最優先じゃない。たいていのユダヤ人にとってはね」




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