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グローバル企業が「人材をかき集めている」...最強の学問「行動経済学」が、ここまで注目されているワケ

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月15日 18時19分

扱う領域は幅広く、アプリの開発もあれば、顧客の資産形成の意思決定支援もあります。大量離職が起こった米国のクライアント企業では、従業員のエンゲージメント向上施策の提案もしました。

めざしたのは「行動経済学の理論を体系化した本」

──その後、どんな経緯で『行動経済学が最強の学問である』の執筆に至ったのでしょうか。

きっかけは、SBクリエイティブの編集者から届いた、一通の日本語のメールです。普段ビジネスのやりとりはすべて英語だったので、目を引きました。依頼内容は、「これまでの行動経済学の研究と実践をベースに本を書いてほしい」というものでした。

執筆するなら、断片的な知識を辞書のように列挙する本ではなく、行動経済学の理論を体系化した本にしたかった。そのような形式にしてこそ、行動経済学の研究とビジネスへの実践を積み重ねてきた私ならではの本になると考えたのです。

最終的には、行動経済学の本質である「非合理な意思決定」を、「認知のクセ」「状況」「感情」の3つの要因に分類し、190の論文を論拠として、体系的に解説する本に仕上がりました。専門用語の日本語翻訳や、日本の慣習に合う事例集めには苦労しましたね。

行動経済学の知見で、「顧客へのメールの書き方」も変わる

──ご著書では、行動経済学をセールスプロモーションに活かしている事例が紹介されています。たとえば、似たような機能や見た目でも、より高額の商品が店頭に陳列される理由など、興味深くお読みしました。セールスプロモーション以外で、「企業の課題解決に行動経済学が活かされている事例」はありますか。

行動経済学は「人間の意思決定」を科学する学問です。どのビジネスも人間が関わっている限り、ほぼ高い確率で行動経済学の知見が活かせます。Google、Amazon、Netflixといった名だたる企業が行動経済学チームを設けていることは、行動経済学への期待がいかに大きいかを物語っているといえます。

実際、私が執行役員を務める不動産テック事業のGAテクノロジーズでは、お客様のニーズを理解するマーケティングリサーチ、お客様とのコミュニケーション向上や、プロダクトの顧客体験改善など幅広く関わっています。いわば「何でも屋」です。

お客様とのコミュニケーション向上では、資料のつくり方、メールの文章の書き方などにも関わり始めました。たとえばお客様とのアポをとる際、「電話、オンライン、対面」の3つの選択肢を提示するのか、それとも2つがいいのか。行動経済学の観点では、お客様の意思決定の負担にならないよう、3つではなく、2つに絞るのがよいとアドバイスしました。

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