【本誌独占インタビュー】トニー・ブレア英元首相が語る「中東和平への道」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 16時23分
戦禍が広がるウクライナに対しても欧米の支援が重要だとブレアは説く NIKOLETTA STOYANOVA/GETTY IMAGES
問題は、どうしてそんな行動を取ったのか私には理解できないのだが、中国がロシア、イラン、北朝鮮と連携したことだ。このグループに加わる国が続々と登場することなどあってはならない。中国がそうした選択をした結果、国連では(安全保障理事会の)2つの常任理事国がほかの3つの常任理事国と対立する図式が出来上がってしまった。
私が思うに、中国を孤立させることができない、そして孤立させるべきではない理由は、中国には影響力を行使する権利があること、そして、中国の力が必要とされる問題がいくつもあるという点にある。
具体的には、気候変動や世界規模の公衆衛生問題、経済、そして(ロシアやイラン、北朝鮮などの)グループのほかの国々の行動をコントロールすることなどだ。
とはいえ、このような政治的な対立がある状況で国連が機能できるとは考えにくい。
ただ、中国についてはおおらかな目で見守る必要もあると思う。49年の建国以来、中国は大きな変貌を遂げてきた。現在に至るまでの道のりは一直線ではなかったのだ。共産党が何もかも動かそうとした時期もあれば、文化大革命もあった。改革開放の時代もあった。
私が今、中国の指導者だったとしても、今後に向けてどのような戦略を取るのが正しいのか確信を持てずにいるだろう。中国は偉大な文明を持ち、非常に優秀な人材がいる。欧米から孤立することが、中国にとって本当に利益になるのか。
欧米にとって重要なのは、中国とのコミュニケーションを維持すること、そして中国の立場になって世界を見ることだと思う。全てを欧米の視点で解釈するのは危険だ。
──あなたはロシアのウラジーミル・プーチン大統領にどう対処したのか。欧米は今、どのようなアプローチを取るべきなのか。
個人的には、プーチンは昔と変わったと思う。私が初めて会ったときのプーチンは、とてもオープンで、欧米と関係を築きたがっていた。ロシアでさまざまな国際会談が開かれたのも、ヨーロッパに開かれたサンクトペテルブルクだった。
当時は決まって、現代の大国ロシアの世界における位置付けが話題になった。ロシアがEUに加入することの可能性さえ話題になった。ロシアはNATO首脳会議に招かれていたし、G7はロシアも加えたG8だった。私の首相退任時もG8だった。従って、欧米がロシアを仲間外れにして、孤立させようとしたという主張は誤りだ。むしろわれわれはいつも、ロシアを欧米に縛り付けておく方法を考えていた。
この記事に関連するニュース
-
「予測不能な男の再登板」ウクライナ・ガザ・中台・朝鮮半島・・・世界の安全保障の気になる行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時16分
-
トランプ勝利が招く国際混乱…米中関係、ウクライナ戦争、中東情勢すべてが波乱含み
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月8日 9時26分
-
アングル:「トランプ外交」再び、戦火の世界が向かうのは混乱か緩和か
ロイター / 2024年11月7日 17時21分
-
プーチン氏、中東「全面戦争の瀬戸際」と警告 BRICS首脳会議で
ロイター / 2024年10月25日 8時51分
-
シンワール殺害で終結は間近か? ガザ戦争の行方とネタニヤフの選択
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月23日 11時30分
ランキング
-
1佐渡金山、24日に追悼式=世界遺産登録で日韓政府参加
時事通信 / 2024年11月20日 18時56分
-
2イスラエル軍、徴兵に応じないユダヤ教「超正統派」1126人に逮捕状…出国も禁止
読売新聞 / 2024年11月20日 16時56分
-
3死者の6割が5歳未満 世界中で感染拡大「エムポックス」 WHOが日本製ワクチンの緊急使用を承認
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月20日 12時7分
-
4タイで“史上最悪の連続殺人犯”に死刑判決 猛毒「シアン化合物」で14人死亡
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月20日 20時39分
-
5訂正-米とのホットライン、現在使用されてないとロシア大統領府
ロイター / 2024年11月20日 15時17分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください