1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

【本誌独占インタビュー】トニー・ブレア英元首相が語る「中東和平への道」

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 16時23分

ガザでの戦争を止める必要があり、戦争を止めるにはイスラエルがガザを統治すべきではなく、ハマスがガザを統治すべきでもない、と合意する以外にない。

もちろんアメリカは合意する。だが当事者(イスラエルとパレスチナ)は合意しそうにない。それでもいずれは合意すると思う。合意した場合、次に取るべきステップは何か。

欧米あるいは当事者の次なるステップとして望ましいものの1つは、合意後に誰がガザを統治するかについて計画を策定し、人質を解放すること。そして、(ガザ住民の)状況(改善)に取り組む。私はイスラエルを強く支持しているが、ガザの人々が置かれている状況は明らかに絶望的で違法だ。そうした状況を終わらせなければならない。

──アメリカは影響力にものをいわせてイスラエルに圧力をかけるべきだと思うか?

そう思うが、単にイスラエルに圧力をかければ済む問題ではない。双方がフェアだと思える計画が必要だ。計画ができたら、どうすれば適切な「処方箋」を作れるか考えられる。

アメリカは自ら望めばこれらのことができる影響力を常に持っている。私が不思議に思うのは、アメリカが妙に自信を失っていることだ。アメリカはこの数年で危機を乗り越えてきたと思うし、間違いなく世界一の強国だ。問題はその力をどう使うかだけだ。

アメリカの軍隊は世界でも群を抜いて最大かつ最良で、経済は最も回復力がある。天然ガス産出量は世界最大、主要なIT企業は全てアメリカの企業だ。

アメリカは大変な強国だ。どの国も遠く及ばない。

打開策はあると私は確信している。(暫定自治に代わる)案がなければ──イスラエルもハマスもガザを統治すべきではないので──ガザは完全な無政府状態に陥り、そうなったら非常にまずいだろう。

──イスラエルがイランの代理勢力を弱体化させている結果、世界はその目標に近づくと思うか。

中東の情勢不安はイランの活動に起因している。私の考えでは、それについては疑いの余地がない。イランの国民は私たちにとって問題ではない。イランは偉大な文明国であり、素晴らしい才能を持つ人々もいる。アメリカやイギリスに渡って偉業を成し遂げている人も多い。

だがイランは革命を輸出すべきだと信じ、そのために代理勢力を利用している。レバノンをヒズボラから解放する必要がある。

つまり突破口が必要で、だからこそサウジアラビアとイスラエルとアメリカの交渉再開が非常に重要なのだ。交渉再開はイラン側の勢力に抵抗できるという自信につながる。結局、彼ら(イラン側の勢力)の狙いはイスラエル壊滅だ。しかし、それは実現不可能なので、絶えず紛争状態を生み出そうとしているのだ。

だから私は、欧米の進歩的左派の一部が、パレスチナ支持を主張しながら実際はイスラム主義のイデオロギーの影響を色濃く受けている人々と手を組んでいるのを見ると警戒する。そんなイデオロギーには進歩的なところなど全くない。それどころか女性を抑圧し、宗教法にのっとった司法制度が必要だと主張する。そんな暮らしを誰が望むだろう。

──イランの核兵器獲得はどのくらい危険だと思うか。

イランは核兵器を獲得するべきではない。核兵器獲得を確実に阻止するためにアメリカやイスラエルが何をするべきかは明らかだ。イランの核兵器獲得は世界にとって非常に危険で、中東での核軍拡競争に火を付けるだろう。それは確実だ。

【トニー・ブレア本誌インタビューの模様】

Tony Blair Sits Down With Newsweek To Discuss Middle East, Putin And More - YouTube




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください