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日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 20時0分

しかし、私はやはり、そうした態度に懸念を抱いてしまう。

無関心な態度とホームレスを軽蔑する風潮は、暗黙のうちに子供たちに伝染する。そこから変異し、極端な行為を引き起こす可能性もある。日本各地で頻発してきた少年たちによるホームレス襲撃事件は、社会に警鐘を鳴らしているのだ。事件の若い加害者たちは、驚くほど残虐で凶悪である。

大人でも、ホームレスを極端に憎む人たちがいる。彼らはホームレスが外出しているとき、空っぽのテントに潜り込み、物や小銭を盗み、テントを滅茶苦茶にする。テントの中に人がいても気にせず、テント周辺に火をつける者までいる。

人数は多くないが、加えられる危害は大きい。被害者のホームレスとしては、どうしようもない。物が盗まれても、テントが破壊されても、放火されても、ホームレスは警察に通報しないことが多い。

なぜなら、自分たちがそこにテントを建てて住んでいること自体が違法だと知っているからだ。他人に不法侵入されたと訴えたところで、警察がホームレスのために捜査をしてくれると思えるだろうか。

警察の庇護を期待しない以上、ホームレスたちはなんとかして自分で自分を守らなければならないのだ。

一部のホームレスは、「抱団取暖」(寒いときに抱き合って体を暖め合うように、相互協力することを意味する中国語)のように、小さな集落を作り、協力して盗難を防いでいる。あるいは、2人のホームレスが大きなテントに同居し、泥棒にチャンスを与えないように、互いに外出時間をずらし合う。

また、男女のホームレスが同居生活をして、男は外に出てアルミ缶を拾ってお金を稼ぎ、女は留守番をして家事をするというケースもある。一人暮らしのホームレスでも、外出するときは、テントの中にある小さなラジオを付けっぱなしにし、音を出し続けるのが泥棒対策のコツになる。

荒川大橋の下にいるこのホームレスのおじさんは、毎日ハトに餌をあげている

ホームレスを支援する善良な人たちもいる

どんな国どんな社会にも、冷血非情な人もいれば、善良で思いやりのある人もいる。

上野、新宿などの公園や、教会の近くでは、ホームレスや生活困窮者向けに炊き出しを毎週行っているキリスト教系の慈善団体がある。長年活動していて、途切れることはない。活動の資金は寄付から賄われていると聞く。

決まった場所で炊き出しをするほか、毎月2回、人を派遣して、弁当をホームレス一人一人に直接届けている団体もあるという。荒川一帯のホームレスに弁当を届けているのは、あるボランティアの中年女性だ。彼女は長い年月、苦労をいとわず自転車に乗って、川沿いの砂利の小道を走り回ってきた。大学の先生や学生も、このような慈善活動に参加している。

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