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日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う

ニューズウィーク日本版 / 2024年11月20日 20時0分

ホームレスの桂さん(仮名)の話によると、埼玉県の蕨(わらび)市に住む40代の女性が、中学生の娘を連れて自家用車でやって来て、桂さんや斉藤さん(仮名)にさまざまな物を届けてくれた。食べ物のほか、布団や風邪薬などもあった。

彼女は帰るたびに、「何か必要なものがあれば教えてください。今度来るときに持ってきますから」と言ってくれたという。この思いやりのある女性は、ある大学病院で看護師をしていて、家では一人の老人の面倒を見ている。

斉藤さんにも、アルミ缶を拾っているときに出会った優しい管理人がいた。斉藤さんは朝5時から空き缶を集めに出かけることが多い。その管理人は、老人である斉藤さんが缶を売って生計を立てるのは大変だと思ったのか、そこに集められたアルミ缶を大きな袋に入れ、斉藤さんが来たら自転車に載せてくれたという。斉藤さんによると、このように力を貸してくれた管理人は一人や二人ではないらしい。

ホームレスを助けるこのような善良な人たちを賞賛すべきだ。この人たちがいるからこそ、日本社会には温かさと愛があると思う。

上野公園にはなんとテントの屋根にソーラーパネルを取り付けているホームレスもいる

「娘さんたちと連絡を取っていますか?」と聞いた

桜の季節、ホームレスの写真を撮るために上野公園に行ってきた。そこにはホームレスが多いはずだし、ついでに花見もできるだろうと考えた。

その日はちょうど上野公園では桜が満開だったが、意外にも公園に着いてからしばらく歩いても、数人しかホームレスに会わなかった。彼らは比較的目立たない場所にいる。桜が満開になり、観光客が一杯になる日だから、人々の視線を避けたいのだろう。現代社会において、ホームレスは差別される部類に属している。

私はこの時、以前、桂さんと交わした会話を思い出していた。彼が私に、2人の娘の話をしたときのことだ。桂さんの娘たちは、2人とも結婚して子供を産んでおり、それぞれ自分の家庭を築いているという。

私は聞いた。

「娘さんたちと今も連絡を取っていますか?」

「過去には取っていたが、その後は途絶えて、もう10年も音信不通になっています」

「じゃあ彼女たちは、自分のお父さんの今の状況を知っているんですか?」

彼にそう聞くのは残酷なことだと知っていたが、敢えて聞いてみた。

「彼女たちが知っているかどうかは分かりませんが、少しは見当がついているだろうと思います」

そこまで言うと、桂さんは黙った。私も何も言えなかった。

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