プラごみの海に沈む地球を救う方法...「たった4つの政策」で廃棄は90%減できる
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 15時26分
「この条約は非常に重要だ。困惑や絶望ではなく解決への機運を高めるような形で、プラスチック汚染やプラごみの問題に人々の関心を集められる」とデイリーは述べた。
世界自然保護基金(WWF)が2021年に行った調査によれば、アメリカ人の72%はプラごみによる海洋汚染を問題視しており、81%はプラスチック製品のさらなるリサイクルやリユースに意欲的だった。
だがその一方で、適切なリサイクルサービスを使える状況にないと答えた人も7人に1人に上った。
製造量の3分の1が使い捨て
国際プラスチック条約の策定プロセスが始まってから2年、リユースの規模拡大やリサイクルのシステムの改善、プラごみの移転を防ぐ方法などに関する研究も勢いづいている。
本誌が話を聞いた企業や学界、非営利団体の指導者たちは異口同音に、プラスチック産業の在り方を変え、プラスチックのサーキュラー・エコノミーを実現できるようなシステムを立ち上げる「一生に一度」あるかないかの機会だと語った。
サンフランシスコのリサイクル施設 JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES
人類によるプラスチックの使用量およびプラごみの量を正確につかむのは難しい。20年に発表されたある推計によれば、これまでに製造されたプラスチックの総重量は地球上の動物全ての重さの2倍になるという。
国連環境計画(UNEP)の試算では、世界で1年間に製造されるプラスチックのうち、包装資材やボトルや袋など使い捨てされる製品が占める割合は実に3分の1。それが大量のごみとなって川や海に流れ込むわけだが、数十年、下手をすれば数百年も分解されずに残ってしまう。
国際自然保護連合(IUCN)は、海に流れ込むプラスチックの量が年に1400万トンに上るとみている。これは海洋ごみの80%に相当する。
海の食物連鎖を揺るがす危機
カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)のダグラス・マッコーリー教授(海洋学)が問題の深刻さを悟ったのは、太平洋のはるか沖の島々で海鳥の巣からプラごみを採集した時だった。
「プラスチック汚染は海の新たな癌と言えるほどに深刻化していると思う」とマッコーリーは述べた。「クジラたちはプランクトンと一緒に、1日に何百万粒ものマイクロプラスチックをのみ込んでいる」
大型動物への影響もさることながら、マッコーリーが懸念しているのは、海の食物連鎖の一番下にいる小さな海洋生物への影響だ。
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