プラごみの海に沈む地球を救う方法...「たった4つの政策」で廃棄は90%減できる
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 15時26分
「リサイクルシステムが機能する必要があるが、システムは現在、破綻している」
米環境保護庁(EPA)によれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や高密度ポリエチレン製のボトルなど、一部の容器の再生利用率は30%に迫っている。とはいえ、プラスチック全体では9%未満だ。
「循環再利用のシステムは破綻しているのでなく、成長段階にあると言いたい」。プラスチック包装のバリューチェーン(価値連鎖)に関わる企業や政府機関、NGOが参加する米国プラスチック協定のジョナサン・クインCEOはそう語る。同協定が目指すのは、プラスチックのサーキュラー・エコノミー移行だ。
「何年も前に再利用システムが計画された頃とは課題が違う」。クインはプラスチック業界の第2世代で、父親はプラスチック包装業に従事し、妻とは業界のイベントで出会った。「業界中心の人生だ」
前の世代の過ちを正すのも自分の仕事だと彼は考えている。「父はプラスチック包装の環境への影響を気にしたことなどなかった」
今年6月、同協定は新たに「ロードマップ2.0」を発表、30年までにプラごみ削減・リサイクル率向上を目指す。冒頭のペタルーマのような再利用イニシアチブが、再利用・再生・堆肥化可能な包装を奨励する設計とともに重要な戦略であることを浮き彫りにするものだ。
協定の参加企業や団体は「問題のあるプラスチック」を一掃したがってもいる。プラスチック製のストローやマドラー、健康を脅かす恐れのある化学物質やリサイクルや堆肥化をしにくくする多くの化学物質などだ。
クインによれば、それらの対策は再生材含有率の有意義な要件とともに、プラスチックのリサイクルの負担を軽減できる。その経済的シフトがプラごみのリサイクルと削減を後押しするカギだという。
「採算が取れるようにするにはプラごみに含まれる再生材のコストを元のコストに近くする必要がある」
業界側が約束する再生材含有率と実際の含有率とのギャップに世間の信用は低下している。リサイクルなどを行うNPO「キープ・アメリカ・ビューティフル(Keep America Beautiful)」が調査会社ハリスポールに委託した調査では、アメリカ人のリサイクル評価はABCDFの5段階評価で63%がC、22%がDかFだった。
企業に対する訴訟が相次ぐ
信用低下を機にプラスチックのバリューチェーン内の企業に対する訴訟が相次いだ。ニューヨーク州のレティシャ・ジェームズ司法長官は昨年、飲料・食品大手ペプシコを、自社のプラスチック汚染対策について消費者に誤解を与える情報発信を繰り返したとして提訴。
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