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プラごみの海に沈む地球を救う方法...「たった4つの政策」で廃棄は90%減できる

ニューズウィーク日本版 / 2024年12月18日 15時26分

マッコーリーらは今年11月、カリフォルニア大学バークレー校の科学者との共同研究を米学術誌サイエンスで発表した。

それによると、従来どおりの場合、廃棄プラスチックの年間排出量は50年までにほぼ倍増し、1億2100万トンに達する見込みだ。1年当たりの温室効果ガス排出量にプラスチック生産が占める割合は、同期間に37%増加するという。

だが、4つの政策的アプローチを組み合わせるだけで、プラスチック生産による温室効果ガス排出量を50年までに3分の1削減し、廃棄プラスチックを90%減らせる。

その4つの柱とはリサイクルの義務化、プラスチック製包装への課税、廃棄物管理・リサイクルインフラへの投資、新規プラスチックの生産量を20年当時に抑える合意だ。

プラスチックの成形に使われる樹脂ペレット AYDINMUTLU/ISTOCK

自動車の省エネ化や救急医療製品に欠かせないプラスチックは「誰もが知っているように、有益性の高い素材だ」と、マッコーリーは話す。「だが使用時間が35秒間で、自然分解されるのに350年かかるストローの製造は、社会と経済におけるプラスチックの最も重要な目的ではない」

「システムは現在破綻している」

エリン・サイモンは長年、プラスチックを扱う企業と環境団体のパートナーシップ構築に力を注いできた。米電機メーカー、ヒューレット・パッカード(HP)の元パッケージングエンジニアとして企業側の立場に身を置いた経験があり、現在は企業とのパイプを活用して、WWF副会長兼「プラスチック廃棄物とビジネス」担当責任者を務めている。

「管理しきれない量のプラスチックが既に存在している」と、サイモンは本誌に語る。現在のペースで続ければ、プラスチック生産は40年までに倍増すると、産業アナリストは予測しているという。

エリン・サイモンが登壇したニューズウィークのイベント

WWFなどが主導して発足した国際プラスチック条約企業連合には、条約締結を求める約250の関連企業や金融機関、活動団体が参加している。プラスチック廃棄物の削減目標は、自助努力だけで達成できないと企業は認識していると、サイモンは言う。

「数多くの企業が、再生プラスチック利用や製品リサイクルを約束している。だがインフラや政策、回収システムが存在しなければ、実行するのは非常に困難だ」

国際的な条約があれば、リサイクルへの資金提供が増加し、プラスチック製品のユニバーサルデザイン化や問題のある材料の排除を実現できると、サイモンは指摘する。いずれも、プラスチックの再生利用を促す上で重要な取り組みだ。

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