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働き手「1100万人不足」の衝撃...社会にもたらされる影響と、「危機を希望に変える」企業の役割とは?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月7日 21時0分

地域の現場でのさまざまな挑戦を広めながら、その理論的根拠を研究で明らかにしていく。そうして「孤独な戦い」にしないようにすることが、私たちの仕事です。

ロボットフレンドリーな職場づくりが「三方良し」を生む

──働き手不足解消に向けて、企業に求められている役割は何ですか。

本書では、「徹底的な機械化・自動化」「ワーキッシュアクト」などの打ち手を紹介しました。「機械化」においては、ロボットが活躍できるようにするための小さな工夫が重要です。たとえばすかいらーくグループでは、2021年11月頃からネコ型配膳ロボットを導入しました。ロボットが料理をお客さんのもとに運びますが、料理をテーブルに置く作業はお客さんに担ってもらう。こうした工夫によって、ロボットに配膳を任せられるようになったわけです。

企業がロボットフレンドリーな職場づくりを進めれば、人件費が高騰する中で過剰な人員を抱えなくて済む。その分、商品の値上げを抑えられてお客さんも喜ぶ。さらには、ブラックな労働環境が減り、従業員もハッピーになります。

──ロボットが動きやすいようオペレーションを変えていく発想が大事なのですね。

ユニバーサルデザインという言葉がありますよね。多様な人が利用できることを目指した建築・製品・情報などの設計を意味します。ロボットフレンドリーな職場づくりも同じ発想です。ファミリーレストランなら、ロボットが動きやすいように通路の幅を広くする、いすを固定式にする、といったデザインの工夫で課題解決できるんです。

自動化の例としては、医療従事者がリアルタイムで電子カルテを閲覧・編集できるようにするとともに、患者さんと医療従事者とのやりとりをAIが音声認識で自動的に記録する仕組みをつくった病院があります。この現場のDXにより、従来は看護師さんが1日1~2時間ほどかけて行っていた記入作業時間が減り、劇的に生産性が改善したそうです。

ただし、病院内に段差が多くてロボットを導入できないといった課題も聞きます。古い作りの病院ですと、清掃ロボットや患者への案内ロボットの稼働は難しいようです。こうした話を聞くと、今後「ユニバーサルデザイン2.0」の発想があらゆる職場で求められると感じます。

「現場の課題解決」に最大のイノベーションの機会がある

──若手や外国人を含めた様々な人々が「日本の企業で働きたい」と思える社会をつくるために、企業が担うべき役割とはどのようなものでしょうか。

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