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働き手「1100万人不足」の衝撃...社会にもたらされる影響と、「危機を希望に変える」企業の役割とは?

ニューズウィーク日本版 / 2025年1月7日 21時0分

経営者が「現場の困りごとを解決する」という領域に最大のイノベーションの機会があると気づき、その困りごとの解消を促すことです。AIやロボット技術によって現場の働き手の無理な仕事やムダなタスクを改善し、多くの人が参加できるものにつくり替える産業を、「省力化産業」と呼びます。この分野の商品・サービスを開発すれば、それが日本の後を追う他国でヒット商品になるかもしれない。

配膳ロボットを大規模導入したすかいらーくグループ、大型トラックの電子連結による隊列走行のように、ロボットやAIなどを色々と試せる現場が豊富にあるのは日本だけ。他国で導入しようとすると、「失業者が増える」と反対されるでしょう。現にアメリカでは、自動運転タクシーを破壊する事件が起きています。

これからは省力化産業こそ、日本の成長産業になります。さらには、現場のオペレーションに詳しい人、 “現場参謀” が経営者の右腕として活躍する時代になっていくはずです。

リモートワークに投資する企業が「応援される企業」になる

──働き手不足への2つめの打ち手「ワーキッシュアクト」に関連してお聞きしたいことがあります。ワーキッシュアクトとは、娯楽や趣味・コミュニティ参加など、本業以外で「誰かの困りごとや需要に応えている」活動のこと。これを促すために、企業は「フレキシブルな働き方を認めること」が大事になるとありました。ただ、Amazon本社が週5出社を義務づけるなど、フレキシブルとは真逆の動きもあります。これに関して古屋さんのお考えをお聞かせください。

自社でたくさん働いてもらうには、出社を義務づけて対面にするほうが都合がよいのでしょう。ですが、リモートワークによって、社会全体として通勤時間の総量が減り、働く人の可処分時間が増えます。すると、副業や趣味・娯楽、地域の活動がしやすくなり、何らかの報酬があるために行う労働以外の活動、すなわちワーキッシュアクトにも取り組みやすくなるんです。

Amazonのようなグローバルプラットフォームならリソースも潤沢にあるでしょう。ただし、それはごく一部の企業であり、多くの企業は、社員一人ひとりの力を高めてイノベーションをめざす必要がある。そのためには、社外活動を通じて新たな視点を得る「越境学習」の効果にもっと目を向けるべきだと思います。実際、副業や兼業を推奨する中小企業が成果を上げているケースも増えています。

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