ロシアが本気になれば1000発以上の核弾頭が降ってくる...米国版「アイアンドーム構想」の実像とは
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月22日 19時4分
エリー・クック(安全保障・防衛担当)
<中国・ロシア・北朝鮮からのミサイル攻撃に備えて、米本土を覆う迎撃網計画をトランプがぶち上げた>
ロシアや中国、北朝鮮から無数の長距離ミサイルが飛んできたら、アメリカはどうするのか。
その備えは十分でないと指摘する報告書が出た。イスラエルの誇る対空防衛システム「アイアンドーム」の米国版を構築するというドナルド・トランプ大統領の公約を実現するための、いわばロードマップと言えそうだ。
執筆したのは第1次トランプ政権で核・ミサイル防衛政策担当の国防次官補代理を務めたロバート・スーファーで、米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」に提出した。
核弾頭搭載のICBM(大陸間弾道ミサイル)を使うような長距離攻撃の脅威が「現実的で増大しつつある」と指摘し、北朝鮮や中国やロシアによる攻撃を未然に防ぐには、報復攻撃の威力を誇示するだけでなく、有事に備えて迎撃体制の強化・拡大を急ぐべきだと提言する。
宇宙空間における迎撃や、複数の国で採用間近の「指向性エネルギー兵器」にも投資すべきだという。
国防総省ミサイル防衛局(MDA)の年間予算は現在30億ドルだが、年間40億~50億ドル追加すべきだとも主張し、「国防の最優先事項だから国防予算全体の1%くらいは割くべき」だとしている。
トランプは米国本土の上空に「アイアンドームを築く」ことにより「わが国民に誰も危害を加えることができない」ようにすると豪語しているが、それを実現する具体的な計画は明らかにしていない。
ロシア北西部の発射場から試験発射されたICBM RUSSIAN DEFENSE MINISTRY PRESS SERVICEーAP/AFLO
第2次トランプ政権は、1期目よりも世界が危険な状態で始まる。核兵器による威嚇が横行し、弾道ミサイルの実験が続くなか、2期目のトランプ政権はいかなる本土防衛計画を描くのか。
今の迎撃態勢はその場しのぎ
現状で、ロシアや中国から飛んでくる大量のICBMを全て迎撃できる統合システムは存在しない。ただし北朝鮮の撃ち込む比較的少数のミサイルなら撃ち落とせる。
しかし、所詮はその場しのぎの対応だ。
現在アメリカ国内には地上配備型迎撃ミサイル(GBI)が44基配備されている。うち40基はアラスカ州のサイロに格納されており、4基はカリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地に地上配備型ミッドコース防衛(GMD)の一環として配置されている。
この記事に関連するニュース
-
江崎道朗 国家の流儀 米国は「核なき世界」から「核戦力強化」へ 「力による平和」訴えるトランプ氏で大きく方向転換 日本に負担求める可能性
zakzak by夕刊フジ / 2025年1月20日 6時30分
-
今までのミサイルと全然違う!? 北朝鮮の新型「極超音速滑空兵器」が超厄介なワケ 日本も“切り札”の開発進めてます!
乗りものニュース / 2025年1月18日 11時42分
-
世界最強!? 海自「空前の巨大戦闘艦」整備が本格化へ 武装テンコ盛り 就役はいつ?
乗りものニュース / 2025年1月15日 6時12分
-
北朝鮮、ICBM発射準備か?…第2次トランプ政権発足を前に示威活動強化の可能性
KOREA WAVE / 2025年1月8日 19時0分
-
南シナ海周辺国で中国に対抗するミサイル調達進む──インド、アメリカから
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月25日 17時3分
ランキング
-
1トランプ政権、石破茂首相への関心低く「ディール」対象外か 安倍氏の名は折に触れ言及
産経ニュース / 2025年1月22日 17時35分
-
2トランプ氏、バイデン氏直筆手紙の内容公開 伝統の就任はなむけ
ロイター / 2025年1月22日 14時24分
-
3「米国人になりたくない」 グリーンランド首相
AFPBB News / 2025年1月22日 15時46分
-
4「慰安婦本」著者が勝訴=賠償請求退ける―韓国高裁
時事通信 / 2025年1月22日 18時43分
-
5国家インフラ安全対策担当を「お前はクビ」…トランプ大統領「報復」人事で公務員1000人超解雇へ
読売新聞 / 2025年1月22日 13時47分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください