カリフォルニアの「2045年ゼロカーボン電力」を阻む「これだけの課題」
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月23日 18時0分
コンサルティング企業エナジー・プロフェッショナルズのジム・マザーズCEOは、AI(人工知能)データセンターとEV(電気自動車)の普及によりカリフォルニア州のエネルギー需要は急増する見込みで、全米の供給量を既に上回りつつあると指摘する。
「EVにより全米で負荷要件が大幅に増えていること、従来のデータセンターの100倍のエネルギーを必要とするAIデータセンターの稼働が始まること、日常のさまざまな電気製品により総体的な電力需要が増加することから、アメリカ全体でピーク時の負荷に対応できる発電量が不足する見通しだ」
マザーズはさらに、カリフォルニア州の電力網の「安定化にはエネルギー貯蔵に対して想像を超える投資が必要」であり、「30年までに再生可能エネルギーの割合を60%に引き上げるという知事の目標達成にとって深刻な障害になるだろう」と述べる。
カリフォルニア州の電気料金は1キロワット時当たり34.31セントと米本土で最も高い(スタティスタの最新データでは近隣のオレゴン、ネバダ、アリゾナ州は15セント、13セント、12セント)。
政治情報サイトのポリティコの推計によると、カリフォルニア州の光熱費は過去10年で2倍以上に高騰しており、再生可能エネルギーへの投資や、送電設備の発火が山火事を引き起こすリスクの軽減など、気候変動対策コストが「一因」と考えられる。
搾取型経済からの転換
CPUC公共権利擁護局のマット・ベイカー局長は昨年2月にポリティコに対し、「高額な料金はエネルギー転換を脅かす可能性がある」と認め、「エネルギー転換には世論の支持が必要であり、支持を維持するために、最もコストのかからない方法で実行することになる」と語った。
州知事執務室の報道官によると、昨年10月の行政命令は「電気料金高騰の主な要因として、屋上太陽光発電システムの補助金や、送電設備が山火事の原因になり消火活動を妨げることへの対策、安全監督への継続的な投資など、年々増えていくコストを挙げている」という。
「カリフォルニア州は全米で2番目に高い電気料金と再生可能エネルギーの高い普及率を誇るが、この2つに因果関係があるわけではない」と、ジェイコブソンは語る。「23年10月1日〜24年9月30日の電力需要に対するWWS(風力、水力、太陽光)発電の供給量が全米で最も多い12州には、24年3月に住宅用電気料金が最も安かった10州のうちの6州、電気料金が最も安かった20州のうちの10州が含まれており、電気料金が高いのは2州(カリフォルニアとメーン)だけだった」
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