「アメリカは抜けない...」諦めムードに沈む中国だが「ナンバー2」の方が「お得」かもしれない?
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 15時52分
第2次大戦後、中国の人口は急増し、これに歯止めをかけたのが1979年に導入された一人っ子政策だった。以降2016年に政策が廃止されるまで、中流層と都市部のエリート層は子供の数を制限された。
1970年代、1人の女性が生涯に産む子供の数は6人と高水準にあったが、国連によればこの数は、現在1人前後まで落ちている。上海などの大都市では少子化がさらに顕著で、合計特殊出生率は人口を維持するのに必要とされる2.1をはるかに下回る0.6だ。
経済的に豊かになる一方で、中国では高齢化も進む。社会保障の負担増加、生活コストの上昇、家族観の変化といった豊かな社会ならではの特徴が、多くの大都市に見て取れる。
ある市民は女性に対する圧力を、オンラインでこう批判した。「かつてこの国には生殖の自由がなかったが、今は当局が間接的に生殖の選択に干渉してくる。数十年の経済発展を経ても、政府による『人民』の統制、そして敬意と自由を軽んじる姿勢は変わらない」
当局が語ろうとしないのは、経済の低成長の影響だ。人口問題を克服しなくとも、経済大国ではいられる。だが世界の金融システムにおいてアメリカから覇権を奪いたいなら、これに対処しなくてはならない。
大都市の合計特殊出生率は0.6と人口維持に必要な2.1を下回る(重慶市の母子) CHENG XIN/GETTY IMAGES
コロナ禍の低迷を抜け出せず
中国が目指す多極的世界秩序の構築には権力の分散と脱ドル化が必要で、そのためにはドイツと日本を抜き世界第2位の経済大国になったときのような圧倒的な発展が求められる。しかし産業の原動力となってきた労働力は、減少しつつある。
国連の統計によれば、中国の人口は2040年までに現在の約14億人から13億人に減る。15〜64歳の生産年齢人口の割合は70%から64%に落ち、65歳以上の高齢者の割合は25年の15%から27%まで増えるとされる。
同時期で比べると、アメリカの人口は3億4700万人から3億7000万人に増加する。生産年齢人口の割合は64.5%から62%に減少し、高齢者の割合は18%から22%に増加する。
アメリカの出生率も1.6と人口維持に必要な2.1に届いていないが、決定的な違いが1つある。移民の数だ。
ピュー・リサーチセンターによれば2023年、アメリカには海外出身の居住者が4780万人おり、人口の14.3%を占めた。一方20年に実施された中国の国勢調査では在留外国人の数は143万人で、人口のわずか0.1%にすぎなかった。
この記事に関連するニュース
-
AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる......ピークアウトする中国経済の真実
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月4日 15時45分
-
ベトナム経済に暗雲、豊かになる前に老いてしまうリスク―独メディア
Record China / 2025年2月1日 11時20分
-
独、成長見通し下方修正 貿易巡る緊張の高まりで輸出減を予想
ロイター / 2025年1月30日 0時33分
-
これで人口8000万人になっても発展していける…経済アナリスト・馬渕磨理子が指摘する「日本経済浮上の兆し」
プレジデントオンライン / 2025年1月17日 13時15分
-
日本は「お気に入りの国」だけど…世界の投資家ジム・ロジャーズが「日本株をすべて手放した」と明かすワケ
プレジデントオンライン / 2025年1月16日 7時15分
ランキング
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください