「アメリカは抜けない...」諦めムードに沈む中国だが「ナンバー2」の方が「お得」かもしれない?
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 15時52分
かつての目覚ましい経済成長は、毛沢東の死後に行われた改革のたまものだった。新型コロナウイルスが猛威を振るう以前から、インフラへの過剰投資と不動産市場の過剰債務により成長には陰りが見られた。
厳しい行動制限を課した「ゼロコロナ政策」を政府が唐突に打ち切っておよそ2年が過ぎた今も、危機は続く。景気は緩やかな回復にとどまり、大きく持ち直してはいない。
2024年は不動産セクターの低迷、消費意欲の減退、地方政府の巨額債務に負けず何とか5%の成長目標を達成したが、過去に見せた余裕の2桁成長を思えば隔世の感がある。
「中国のGDPがアメリカを上回る可能性はほぼ消えたと思う。23年と24年、対世界・対米比率共に『中国の台頭』が始まって以来初めて後退した」と、オックスフォード大学のマグナスは本誌に語った。
少なくとも1つの基準では中国は既にトップだ。IMFのデータを見ると、中国の購買力平価(PPP、モノやサービスの値段を基準にした換算レート)は少なくとも17年以降はアメリカを上回っている。
PPPベースで防衛費を比較すると、中国の持続的な産業力と、中国が欧米当局のいう「最大の軍備増強」を達成できる理由が説明できる。
中国海軍の近代化は数十年単位ではなく数年単位で進んでいる可能性がある。米国防総省によれば、ロケット軍が運搬可能な核弾頭数は20年代末までに1000発に達する見込みだ。
防衛費の直接比較で言えば、中国の軍事支出はアメリカの国防予算8860億ドルの約4分の1。英シンクタンクの経済政策研究センターによるPPPベースの予測では、アメリカの3分の2だった。
旧正月に向けてランタンを作る浙江省の工場 WANG HUABINーVCG/GETTY IMAGES
「PPPベースの購買力は中国の国防費の購買力を測るのに役立つが、軍事支出イコール軍事力とは言えない」と、台湾の政治学者で国立台湾大学の中国研究センターのフィリップ・シュー所長は言う。
「アメリカは多くの兵器システムで今も中国より技術的優位にある。中国の軍の腐敗は深刻で、軍事費が毎年どの程度失われているか分からない」
かつての日本の二の舞いに?
1980年代、アメリカにとって最大の貿易摩擦の相手は最も緊密な同盟国の1つ、日本だった。日本製品の輸出攻勢はアメリカの製造業が衰退するのではないかという不安を招いた。だがそうした不安は間もなく日本のバブル崩壊で雲散霧消した。
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