「アメリカは抜けない...」諦めムードに沈む中国だが「ナンバー2」の方が「お得」かもしれない?
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 15時52分
バイデン前政権の産業政策は中国政府をひどくいら立たせた。アメリカの政策立案者たちは欧米のイノベーションが中国の軍拡をあおるのではないかと懸念。
AIとプロセッサ設計における中心的地位を確保するべく、国内の半導体産業を強化する「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法」による資金提供や中国の締め出しに着手した。
バイデン政権は、中国への半導体輸出の制限を相次いで打ち出してきた。半導体分野における中国の研究開発を数十年単位で遅らせることが狙いだ。1月の退任直前にも、18カ国の友好国以外への先端半導体の輸出管理を強化する方針を発表した。
中国商務省は、1月の措置に関して、バイデン政権が国際貿易のルールに「甚だしく違反している」と非難した。もっとも、中国企業は既に半導体の備蓄を増やして準備していた。一方、このような輸出規制により、アメリカの半導体関連企業が巨大な中国市場を失いかねないとの指摘もある。
アメリカや友好国の政府は、中国製の電気自動車も標的にしている。EUは昨年10月、中国製の電気自動車に対する関税を最大45%まで引き上げることを決めた。5年前の関税率はわずか3%だった。
中国企業との取引に関しては、サプライチェーンの脆弱性を高めるのではないかという懸念も付いて回る。重要物資の調達先をアメリカ国内や友好国に変更する動きは、差し当たり続くだろう。
しかし、アメリカが本当に中国との関わりを断つことは難しいのかもしれない。中国はこの10年以上、アメリカにとって上位3カ国の貿易相手国の1つだからだ。
「競争が中国とアメリカの関係の全てではない。両国関係の全体を競争関係として捉えることに、わが国は反対する」と、在米中国大使館の劉鵬宇(リウ・ポンユィ)報道官は本誌に述べた。「実際には、中国とアメリカの経済面での相互補完関係は競争関係よりはるかに大きい」
中国経済の先行きに暗い影を落としている要素としては、中国への直接投資が近年大幅に減少していることも挙げられる。外国からの直接投資の減少は、経済成長と企業の事業拡大、雇用創出の足を引っ張る。
中国商務省によれば、昨年1~11月に外国から中国に流入した直接投資はおよそ1000億ドル。前年同期比で28%の減少だ。
もっとも、巨大な市場を擁する中国は、依然として魅力的な投資先であり続けている。それに、中国への直接投資が減少していることは事実にしても、近年はそもそも世界全体で対外直接投資が減少傾向にある。国連によると、23年にその規模は10%縮小している。
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