「アメリカは抜けない...」諦めムードに沈む中国だが「ナンバー2」の方が「お得」かもしれない?
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月5日 15時52分
中国は、地理的にもっと自国に近い場所で手ごわい競争相手の挑戦を受けている。インドが中国を猛追しているのだ。インドは、23年に中国を抜いて世界で最大の人口大国に躍り出た。経済発展著しい途上国の大半がそうであるように、インドでも出生率は低下傾向にあるが、それでもまだ中国の2倍近い。
ナンバー2のほうが得かも
インドの経済規模は2020年代末までに、外国からの旺盛な直接投資を追い風に現在の3倍に拡大すると予測されている。中国を追い越すのはまだ先だが、ブルームバーグ・エコノミクスによると、インド経済の成長率は早ければ28年に、遅くとも37年には中国を上回り、世界1位になる見通しだ。
「インド経済の台頭により、インド太平洋地域とグローバルサウスにおけるインドの影響力が増大し、中国に対する強力な対抗勢力になることは間違いない。とはいえ、中国とインドの関係はゼロサムゲームではない。中国は先進製造業の分野に君臨し続け、インドはITサービスの分野と新興国市場で頭角を現していくだろう」と、アジア・ソサエティー政策研究所の南アジア部門責任者を務めるファルワ・アーメルは言う。
1月にBRICSに正式加盟したインドネシアも中国のライバルになり得る国の1つだ。国民の平均年齢は29歳。中国より10歳も若い。既に東南アジア最大の経済大国であり、年8%のペースの経済成長を目指している。2045年までに先進国に仲間入りすることが目標だ。
「インドは、世界最大の経済大国とまではいかなくても、世界の経済大国の1つにはなるだろう」と、昆山杜克大学(中国・蘇州)のピーター・サトラー上級講師(経済学)は言う。「世界の国々の経済的均衡が強まるだろう。今後は裕福な国がもっと増える。マレーシアの経済は力強く成長しているし、ベトナムもインドネシアも成長している。最近こそ危機に陥っているが、バングラデシュも成長している」
サトラーはさらに言う。「一部のアフリカ諸国も成長と発展を遂げるだろう。中南米諸国も豊富な人的資本を擁していて、先進国の所得水準に近づいていくはずだ」
一方、もし中国の経済がアメリカを追い抜けないとしても、中国が世界で強大な政治的・経済的影響力を振るえる可能性が縮小するわけではないと、アジア・ソサエティー政策研究所のリーは言う。
「ナンバー2にとどまるほうが地政学的に得策という可能性もある。言ってみれば『覇権国の重荷』を回避でき、紛争の解決や経済の安定などに関して世界規模の責任を担うことを期待されずに済む」
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