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不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 15時46分

しかしイスラエルの政治情勢は複雑だ。ネタニヤフは連立政権の維持に極右政党からの支持を必要としているため、全ての関係者(トランプを含む)が合意を発表した後になって、ようやく停戦合意の第1段階に踏み込む決断を下した。

それでも極右のイタマル・ベングビール国家治安担当相は抗議の辞任をしたし、ベツァレル・スモトリッチ財務相も強く反発している。

一方でネタニヤフは、3つの目標を達成するまで戦争を続けると宣言している。まずは23年10月7日のハマスによる奇襲攻撃(イスラエル人約1200人が死亡、約250人が人質に取られた)で拘束された人質全員の解放。

次に軍事・政治的に機能する組織としてのハマスの壊滅。そしてガザが二度とイスラエルにとっての脅威となり得ないようにすることだ。

アメリカが起草した停戦合意によると、第1段階では6週間の交戦停止期間中に人質と拘束パレスチナ人の交換を段階的に進め、軍の部分的撤収も行う。

その後も人質交換を進め、終わったらイスラエル軍は全面撤退し、それからガザの再建が始まる。ただし、ガザの将来的な統治形態には言及していない。

政権1期目にイスラエルのネタニヤフ首相と会談するトランプ DOUG MILLSーPOOLーSIPA USAーREUTERS

いわゆる「2国家共存」案での解決は難しい。それなりに平和が続き、この案に対する各方面の支持が高かった時期でさえ実現できなかった。ただしガザ戦争が始まって以来、サウジアラビアはイスラエルとの関係正常化の前提条件として、2国家共存の実現を求めている。

「150万人を立ち退かせよ」

ネタニヤフもトランプも、イスラエルとサウジアラビアの関係正常化には執念を燃やしている。トランプは20年の「アブラハム合意」でイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、スーダン、そしてモロッコとの関係正常化を実現させた。

それ以前に中東でイスラエルと国交を結んでいたのはエジプトとヨルダンだけだったから、それは確かに歴史的な功績だった。

トランプはネタニヤフともサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子とも特別な関係を保っているし、中東和平を自身のレガシーにしたい思いも強い。しかしそのためには、まずもってガザの運命を決める必要がある。

ガザの保健当局によると、今回の戦争では既に約4万7000人以上のパレスチナ人が犠牲になっている。ハマスも多数のメンバーを失った上に、複数の幹部も殺害されたが、それでも健在で、その軍事力をガザの全域で見せつけている。

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