不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 15時46分
PLOの元報道官でイスラエル・パレスチナの和平交渉に何度も立ち会ってきたダイアン・ブトゥも、この立場に変わりはないと言う。
「将来のパレスチナ政府の在り方について、最も口を出すべきでない国、それがイスラエルだ」とブトゥは語った。「イスラエルは15カ月に及ぶジェノサイド(集団虐殺)を終えたばかりなのに、あたかもそんなことはなかったかのように話が進んでいる。実に不愉快だ」
なおアメリカ政府もイスラエル政府も、ガザにおけるイスラエルの行為はジェノサイドに当たらないと反論している。
「一番大事なのは、パレスチナ人がようやく自分たちの将来を自分で決められるようになること。それは選挙を通じてのみ可能であり、パレスチナ人が本当に自由になることによってのみ可能だ」とブトゥは言う。
「それが実現しなければ、どんな形であれイスラエルの軍事占領が続くことになる。そして世界各地で起きている軍事占領の例を見れば分かるはずだが、占領のあるところには必ず抵抗運動がある」
ちなみにハマスはエジプトの抵抗勢力であるムスリム同胞団の分派で、1980年代にガザで活動を始めた。67年の第3次中東戦争から続くイスラエルによる軍事占領に抵抗するためだった。
バイデンやネタニヤフと同様、トランプも今のハマスにはガザを統治する能力がないと述べているが、ハマスを壊滅させる具体的な道筋は示していない。
代わりに、さすが不動産業で財を成した男だけに、ガザの再開発には以前から熱を入れていた。そしてついに、ガザの再建につながると称する過激な提案をぶち上げ、例によって盛大な物議を醸している。
「あそこには150万ほどの人がいるが、みんな立ち退かせればいい」。トランプは1月25日、大統領専用機の機内で記者団にそう語った。既にヨルダンのアブドラ国王には電話したし、これからエジプトのアブデル・ファタハ・アル・シシ大統領に電話するとも明かした。
とんでもない暴論ゆえ、ヨルダンもエジプトも即座に拒否した。停戦合意への積極的な関与もあってトランプ政権に一定の期待を寄せていたハマスも、この提案は拒絶した。
「ガザのパレスチナ人が21世紀最大級の犯罪行為に巻き込まれても15カ月にわたる死と破壊に耐えてきたのは、ひとえに自分たちの土地と故郷にとどまるためだ」。ハマス政治部門幹部のバセム・ナイムは本誌に寄せた声明でそう述べた。
「それ故、トランプ大統領が口にしたような提案や解決策は誰も受け入れない。たとえ復興という名の見せかけの善意にくるまれていても」
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