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不動産王トランプの新たな妄想「ガザのリゾート化」は実現可能か? 和平への唯一の道は「これだ」

ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 15時46分

ヨルダン川西岸で閣議に臨む自治政府のアッバス議長(中央) PALESTINIAN PRESIDENCYーHANDOUTーANADOLU/GETTY IMAGES

前出のロスによると、バイデン政権下ではガザの戦後処理について真剣な議論が交わされていた。もちろん、バイデンもハマスの排除を前提にしていたという。

「アラブ側(UAE、エジプト、モロッコ)と国際社会の関与による1年半~2年の暫定統治が検討された。それで経済や暮らし、治安を取り戻す考えだった」とロスは言う。

「今でも、ガザの南部から北部へ戻る住民の検問は民間業者に委託している。同様に、戦後も治安と人道支援物資の配布は警備業者に任せることになっていた」

ただし、最終的にはガザをパレスチナ自治政府の管轄下に戻す計画だったという。

ちなみに現在の自治政府はパレスチナ解放機構(PLO)の主流派ファタハが支配し、05年にイスラエル軍が撤退してからはハマスと連携してガザを統治した。しかし06年の総選挙ではハマスが圧勝。その翌年からはハマスが単独でガザを実効支配してきた。

しかし今のパレスチナ自治政府は内部崩壊の危機に瀕している。国家元首に当たるマフムード・アッバス議長は89歳と高齢だし、各種の世論調査では一貫して支持率が低下していて、どう考えてもハマスに勝てない。しかも政権内部では汚職の蔓延が指摘されている。

自治政府の本拠地はヨルダン川西岸だが、ユダヤ人による入植地の拡大で統治の正統性は揺らいでいる。しかもガザでの停戦成立に伴い、今はイスラエル軍が西岸で新たな攻勢をかけている。

中東担当特使に起用された実業家のウィトコフ(左)はトランプのゴルフ仲間 AP/AFLO

「もちろん(ガザの再建)プロセスにはパレスチナ人の参加が欠かせないが、その前に自治政府の真の改革が必要だ」とロスは言う。

「今の自治政府は無力で腐り切っており、信頼性を欠くからまともな役割は果たせない。しかし着実に改革を進めて、少しずつでも有意義な役割を果たせるようになるべきだ」

「そうした改革の実現にはトランプ政権の積極的な関与が欠かせない。主要なアラブ諸国もパレスチナ自治政府に改革を迫っている。そうでないと、ガザを再び自治政府に委ねるわけにはいかないからだ」

PLOの幹部は以前から本誌の取材に対し、パレスチナ自治政府によるガザ統治の再開に前向きな姿勢を示している。ただし、それを決めるのはイスラエル政府ではなく、パレスチナ人自身だと一貫して主張してきた。

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