【超解説対談】第2次トランプ政権のキーワード「単一行政理論」「金ぴか時代」を読み解く
ニューズウィーク日本版 / 2025年2月12日 19時46分
そのトランプ氏は選挙期間中にスタッフたちと考えて、「ユニタリー・エグゼクティブ・セオリー(単一行政理論)」に基づいて政権運営をしようとしています。これは要するに、三権分立の否定です。
三権には立法と行政と司法がありますが、国民から選ばれている大統領の権限が一番強いんだ、立法も司法も大統領に従うものなんだという理論に基づいた政権運営をしようとしているんです。
大統領令は本来、法的な基盤が必要ですし、憲法にも沿っていなければならないんですが、もうそんなのはどうでもいい、大統領令が一番大事なんだということで進めています。一番わかりやすい例がTikTokです。
すでに上下両院でTikTokをアメリカでは禁止するという法律が通っていて、最高裁も合憲判断を下している。だからサービスを止めなければいけないんですが、トランプ氏は大統領令を出して、75日間猶予を与えると言った。こんな権限はないんです。でも、やっている。
――アメリカの国、あるいはアメリカのシステムを根底から変えようとしている。まさに「トランプ革命」ということか?
三権分立の否定という意味では、革命に近いことをやろうとしています。
――トランプ氏はディール(取引)が好きだが、相手と交渉する中で100%でなくても、いくらか自分の要求を達成できればいいと考えているのでは。
トランプ流の交渉術というのは、一番最初に高い球を投げて、落とすところに落とすということなんですけど、この最初の高い球がブラフだと思われたら、そもそもディールが成立しない。高い球がディールの中で違うところに落ちることはありえますが、最初はもう本気で行く。
――先日のコロンビアとの移民の送還と関税をめぐるやり取りもまさにその一つだった。
そうですね。アメリカの軍用機でコロンビアの不法移民を送り返したのですが、その際手錠を掛けたままだったことにコロンビアが反発して着陸を認めなかった。その瞬間にトランプ氏は関税を50%まで上げ、入国禁止措置を取る、ビザの発給もやめるとし、即座にコロンビアのアメリカ大使館はビザの発給を止めた。
コロンビアはいったん、自分たちも報復関税で強気に出ようとしたが、アメリカの圧力に屈して、全ての条件を受け入れることになりました。トランプ流の交渉が成功した実例です。
――今後、同様の事態はほかの国でも起きうるか。
この不法移民を送り返すという文脈では、今後中南米の国で同じようなことが起こってもおかしくない。
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