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【コメント職人座談会】コメントアート文化の歴史を振り返ってみた! 合作動画の始まりはビリー・ヘリントン兄貴がきっかけ? コメント職人が減ったと言われる真相は?

ニコニコニュース / 2023年12月12日 12時0分

 「コメントアート」という文化をご存じだろうか。

コメントアート コメント職人 CA
(画像は「桜ミクコメントアート✿【初音ミク】」より)
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(画像は「鬼滅の刃OP「紅蓮華」でコメントアートPV」より)

 ニコニコ動画のコメント機能を用いて、動画にさまざまな装飾を施すコメント群。それがコメントアートだ。界隈では「CA」と呼称されることが多い。

 そして、コメントアートを製作する者たちは「コメントアート製作者」と呼ばれている。もしかしたら世間的には「コメント職人」のほうが馴染み深いかもしれない。

 このコメントアート製作者の方々をお呼びして、コメントアートの歴史を振り返っていこうというのが本記事のテーマである。

 とは言え、コメントアートの歴史は長い。ニコニコ動画のタグ検索で調べたところ、2007年にはコメントアート動画の投稿が確認されている。

コメントアート コメント職人 CA

 そこでコメントアートの歴史を振り返るうえでいくつかの軸を設けることにした。

 ひとつ目はコメントアート文化を黎明期・低迷期・再出発期の3つの時代に分類。時代ごとにどのような傾向があったのか見ていくことにした。

 ふたつ目は振り返るうえで幅広い世代のコメントアート製作者をお呼びした。2007年から触れている方もいれば、2016年から活動を始めた方もいる。コメントで絵を描く方もいれば歌詞職人の方もいる。

 3つ目は「合作動画」を話題の中心に振り返ってもらった。合作動画とはなにか? 少し乱暴な括りになるが、ひと言で説明すると、「複数のコメントアート製作者が集まって作られた動画」を指す。ときに20人を超える大人数でひとつの動画を作ることもあるコメントアート製作者たちの集大成ともいえる作品だ。

※座談会主催者である・M・(まー) さんが企画立ち上げ、進行を務めた合作動画。

 今回は、コメントアート製作者として長期間活動され、界隈について詳しい・M・(まー)さんを中心に、配管さん、ヒロスさん、ヒツジさん、Yuuさんの5人のコメントアート製作者をお呼びし座談会を実施。

 コメントアート文化を振り返りつつ、各人の思い出話に花を咲かせてもらった。

■座談会参加メンバー
・M・(まー):
コメントアート歴は2008年夏頃から。2012年~2016年までは離れており、2016年から活動を再開。主催者としても参加者としても10作品以上の合作動画に関わっている。(@x_0227)
配管:
コメントアート暦としては2007年の頃から。数多くの合作動画に参加している。(@1010787)
ヒロス:
コメントアートは2008年頃から触れており、2010年代には合作動画3本の企画立ち上げをしている。(@hirosususu)
ヒツジ:
コメントアート歴は今年で12年目。2017年以降、数多くの合作動画に参加している。(@hituzi3)
Yuu:
コメントアート歴は5年。2017年以降の合作に多数参加。「CAプロジェクト」という合作動画企画を立ち上げている。(@YMacchadaisuki)

コメントアートの合作動画の始まりはビリー・ヘリントン兄貴がきっかけだった?

・M・(まー):
 今回は、これまでのコメントアート文化を振り返るにあたり、配管さん、ヒロスさん、ヒツジさん、Yuuさん4名のコメントアート製作者の方にお集まりいただきました。

 まずは2006年末~2011年の黎明期からご活躍しているヒロスさん、配管さんからお話を伺いたいと思います。

ヒロス:
 ヒロスと申します。コメントアートは2008年頃から触れてまして、当時はよく「組曲『ニコニコ動画』」にコメントしていました。ただ最近は私生活多忙につきコメントアートに触れ合う機会は少なくなっております。本日はよろしくお願いします。

配管:
 ハンドルネーム配管と申します。

 コメントアート暦としては、2007年の頃から触れていまして、毎日楽しくニコニコ動画を視聴していく中でコメントアート先駆者の方をお見かけし、そこから自分もコメントで何か面白い表現が出来ないかなと試行錯誤し、時間が飛びますが気が付いたら16年目に突入しました。

 ありがたいことに様々なご縁がありまして今日に至ります。どうぞよろしくお願いします。

・M・(まー):
 今回、コメントアート文化を振り返るなかで、各年代において合作動画が何件くらい投稿されていたのか調べたところ、2009年には2件、2010年には3件、2011年には1件の合作動画投稿されていました。

 2009年の2本のうち1本が、ヒロスさんが主催し、配管さんと私が参加した「【東方ニコ童祭】投コメで『ハイコートポロロッカ』【25人合作】」です。

 この合作動画が9月26日投稿でして、私はこの合作動画が最古の動画だと思っていたのですが、実はこの動画が投稿される2ヵ月前に合作動画が投稿されていたんですよ。それが「コメントアートで兄貴の誕生日を祝ってみた」という合作動画で、その4人の参加者のうちひとりが配管さんでしたね。

配管:
 そうですね。この合作動画は、当時、ニコニコ動画で大人気だったビリー・ヘリントン兄貴の誕生日が7月14日だというのを誕生日当日に気づいて、急遽作ったものなんです。製作期間1日あるかないかくらいでした。

・M・(まー):
 えっ⁉ たったの1日で作られたんですか?

配管:
 はい。時間に余裕もなかったので、これまでに兄貴のキャラクター絵を作っていた人たちの静止画を集めてAviUtlという動画編集ソフトを用いて動画を作成したんですよ。

 7月14日中に投稿は間に合ったんですが、参加者のひとりが「なにか物足りない……次はコメント機能のみで純然たる動画を作ってみたい」と、仰られたんです。それが次の機会として巡ってきた「投コメで『ハイコートポロロッカ』」に繋がっていったと記憶しています。

2010年頃からコメントアート文化が盛り上がりを見せた

・M・(まー):
 そんな「投コメで『ハイコートポロロッカ』」ですが、東方ニコ童祭【※】が告知されて、そのお祭りに参加してみようぜというノリがあったんですよね。

※東方ニコ童祭……東方Projectの二次創作作品をみんなで投稿・発信して楽しむ、東方ウェブイベント。

ヒロス:
 そうです。告知動画を知って「やってみようぜ!」と持ち込んだら皆さん参加してくれましたね。

・M・(まー):
 25人参加という大人数かつ、当時では過去に類を見ない企画だったと思いますが、実際に主催してみてどうでした? 今こうして改めて振り返ってみたとき、楽しいと大変、どちらの気持ちが残っていますか?

ヒロス:
 圧倒的に楽しかったという気持ちです!

 もともとは「組曲『ニコニコ動画』」に集まっていた人たちに声をかけたのがきっかけで、お祭り感覚で楽しみながら気が付いたら完成してた……みたいな感じです(笑)。

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(画像は「【東方ニコ童祭】投コメで『ハイコートポロロッカ』【25人合作】」より)
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(画像は「【東方ニコ童祭】投コメで『ハイコートポロロッカ』【25人合作】」より)

・M・(まー):
 私も参加者なので覚えていますが、普段から「組曲『ニコニコ動画』」にコメントアートを貼っていた人たちの集まりだったので個々のパワーが凄かったですよね。そういった人たちを取りまとめるのは大変じゃなかったですか?

ヒロス:
 いえ、参加者たちで集まる定例会みたいなのを開いて意思疎通を図りながら進めていったので、発起人ではありましたけど、具体的に何か作業したかということはなかったです。スケジュールや担当割を決めるくらいで、基本的には参加者各々で進めていただく感じでした。

・M・(まー):
 今でこそコメントアートの合作動画づくりには、絵系、歌詞、装飾など様々な表現技法を得意とする方々が満遍なく参加していますが、当時は各界隈の交流みたいなところは難しかったですよね。

 ヒロスさんが翌年2010年に主催した「【30人合作】投コメで『ニコニコ動画流星娘』【第8回CA祭】」では、そういった各分野の方々の交流が行われたのかなと記憶しています。

※CA祭……会場となる動画を決めて期間中にみんなでCA投下を行うイベント。

ヒロス:
 そうですね。「投コメで『ニコニコ動画流星娘』」はそういう意図で立ち上げました。「投コメで『ハイコートポロロッカ』」の動画で様々な反響をいただいたので、次は絵系以外の人たちも交えて合作を行おうと。

・M・(まー):
 この合作動画は、「みんなでコメントアートを投下して楽しもう」が趣旨のCA祭というイベントに合わせて投稿されていましたが、私調べですと同じタイミングで「【5人合作】投コメPV詰め合わせ【第8回CA祭(SA部門)】」という合作動画も投稿されていまして、徐々に”合作”ジャンルの開拓が始まっていったのかなと思えますよね。

ヒロス:
 このあたりからコメント動画も増えてきた印象ありますよね。

・M・(まー):
 ですね。この頃が最初にコメントアート文化盛り上がりを見せた時でしたね。

界隈の雰囲気や動画プレーヤーの機能などコメントアートがしやすい環境

・M・(まー):
 配管さんは2009年から現在まで数多くの合作に参加し、クレジットに名前載る回数が一番多いのではないかと言われるくらい精力的に活動されています。参加者として楽しむ秘訣や実際に参加して楽しかった思い出などありますか?

配管:
 合作はいわゆる学芸会・文化祭と言いますか、そういう誰しもが経験したことあるような催し物みたいな、誰かと一緒に活動する楽しさみたいな心の栄養が接種出来るのが合作の魅力だと思っています。

 また一つ付け加えると、基本的にコメントアートは性質上一人で活動するもので1対コンテンツという形式が基本形態だと思うのですが、ある時期を境に合作動画が数多く投稿されるようになりました。

 それは、燻っていたものが爆発……その形式では満足できないというボルテージが徐々に高まっていたと同時に、そこに着火剤じゃないですけど、求心力のあるリーダーシップのある方が企画したりお声掛けしてくれたお陰かなと。

・M・(まー):
 ほうほう。

配管:
 あともう一つ環境ですかね。

 これは自負していることですが……コメントをお米に掛けますが、良い田んぼには良いお米が育つんですよ。

・M・(まー):
 おぉ! その心は?

配管:
 コメントしやすい風土(環境)であったり、コメントで応援したいという雰囲気はもちろん大事です。

 加えて、コメントの仕様、ワンタッチで投稿出来るというユーザーインターフェースが充実した環境下だからこそ、コメント文化が育っていったんじゃないかと。これうまいこと言っちゃって!(笑)

・M・(まー):
 (笑)。でも本当にそうだと思います。

配管:
 なので、参加者としてもほんのちょっとのキッカケが大きい成果を生み出すわけで、私はこのキッカケを貰う機会が多かったのかなと。参加した動画ひとつひとつに思い入れもあります。とても有意義な、充実した時間を過ごさせていただきました。

・M・(まー):
 私たちコメントアート製作者界隈の雰囲気の良さも大事ですが、ニコニコ動画プレーヤーの機能が安定することで、コメントがしやすい、コメントアートがしやすい環境が整っているのが大きい要因だよなぁと思いますね。

ヒロス:
 あー、環境と言えばあとは、合作動画投稿後の視聴者コメントのウケの良さが大きかったなと思います。

 初めて合作動画を投稿した時はどういったコメントが付くのか全く想像出来なかったのですが、好意的なコメントが多いと言いますか、皆優しいなぁと思いましたね。

・M・(まー):
 ニコニコ動画、あったけぇっすよね(笑)。

配管:
 間違いないですよね、変わらないですよね。

・M・(まー):
 そう変わらないんですよね。もちろん流行の動画は変わったり、機能面が刷新されたり、ユーザーも変わっているとは思いますが、いつの時代も視聴者の方は皆優しいですよね。

動画プレーヤーの変更によりコメントアートが作りにくくなった時期も

・M・(まー):
 続いて2012年~2016年の頃のコメントアートの話をしていきたいと思います。この時期からコメントアートに触れたヒツジさんにもお話をお聞きしていければと。

ヒツジ:
 はい、ニコニコ動画ではヒツジという名前で活動しています。2011年4月、ニコニコ動画(原宿)の頃にアカウントを取得し、コメントアート暦は今年で約12年目を迎えます。本日はよろしくお願いします。

・M・(まー):
 この時期を今回の座談会での時代分けとしては、低迷期として位置付けています。

 というのも、2012年~2016年末のHTML5プレーヤー登場時期までの期間、ニコニコ動画:ZEROへのバージョンアップと共に動画プレーヤーが変更となりました。これにより、従来の仕様でコメントアートが作れなくなってしまったことはもちろん、普通にコメントすることもままならない状態が続きます。

 他にもコメントアートはニコニコ動画のプレーヤー仕様に左右される他、視聴する動画ブラウザにも左右されるものでして、GoogleChromeの影響をモロに受けてしまいコメントアートが作りにくくなってしまったのがこの時期にあたります。

ヒツジ:
 ちょうどその頃から活動し始めたのでよく覚えています。まーさんの仰った通りで、動画プレーヤーやブラウザに左右されており、仕様変更がしょっちゅう変更されるので作品作りがままならない状態が続いていましたね……。

ヒロス:
 私も同じ認識ですね。ヒツジさんのようにその頃からコメントアート始めた人たちもいますが、トータルで考えると一気に製作する人が減ってしまった時期なのかなと。他の時期と比べると新規参入者と離れる人のバランスが悪い時期だったのかなと。

・M・(まー):
 3DSユーザーの参入の影響によってコメント職人が減ったと言われることがありますが、実態としてはこのような様々な仕様変更の対応に追われ作品作りがままならない状態にあったというのが真相なんですよね。

 コメントアート合作動画の投稿本数を見ていくと、2012年には1本、2013年には0本、2014年には0本、2015年には2本、2016年には2本。1本も投稿されない年が2年間続きました。合作動画の本数も参加人数も少なく、仕様も安定してきた2016年末に10名以上の参加者でまた合作動画が作れるようになったのかなと。

ヒツジ:
 自分が初めて合作参加したのもその時期です。2016年末のFlashプレーヤー時代最後の「【合作】ニコニコ動画十年一昔」に参加してみて、すごく楽しかった思い出があります。

・M・(まー):
 私も飛び込みで参加しましたが楽しかったですよね! それまでは少人数の合作が年に1本投稿されていた中で、13人も参加した大きい合作でした。

 ヒツジさんは合作動画に参加することが多いとのことですが、合作動画に参加することの楽しみってどういうところにあるのでしょうか?

ヒツジ:
 参加者の特権かもしれないですけれど、他の参加した方の作品を先に観れたり、変化していく過程がみれるのが凄く嬉しいですね。この出来上がる過程が観たいがために参加してると言っても過言ではないです。(笑)。

・M・(まー):
 確かに。合作の裏側なんて参加しないと観れないですもんね。

アニメ『けものフレンズ』1話にコメント貼りに行こうぜ!

・M・(まー):
 2012年~2016年の約4年間はコメントアート文化の先が視えない不安な時代が続いたと思いますが、2016年末に復活の兆しが見え、そして2016年末よりHTML5プレーヤーが登場しコメント仕様も刷新されました。

 そして2017年には皆さんご存じアニメ『けものフレンズ』が世間的大ヒットとなり、『けものフレンズ』1話に「コメントアート貼りに行こうぜ!」という動きがコメントアート製作者間で生まれました

 そこから、コメントアートのイベントが開催されるようになり、コメントアート界隈にとっては再出発期だったのかなと思っております。そんな再出発期に活動を始めたYuuさんにいろいろとお話を伺っていきたいと思います。

Yuu:
 はい、Yuuと申します。コメントアート暦は5年になります。2016年の冬、ニコニコ動画のバージョンだと(GINZA)後半辺りにアカウントを作りました。普段は公式アニメのOPやEDに歌詞を貼ったりしています。よろしくお願いします。

・M・(まー):
 Yuuさんといえばヒロスさんや私のように合作動画の企画を立ち上げる主催者側で、自身の合作動画等を“CAプロジェクト”と呼称して企画実施されています。主催する際に大切にしていることってありますか?

Yuu:
 自分の企画で皆を楽しませたいという想いがあるんですよね。動画投稿したり生放送を行う中で第一に考えているのは、やはり参加してる皆を楽しませたい、笑顔にさせたいというエンターテイナーみたいなものを意識しています。

・M・(まー):
 参加者を楽しませるって大事ですよね。私が調べた範囲ですけど、「【プロセカ】スイートマジックで歌詞コメントアート」「【花は咲く】コメントで花を咲かせてみた《CAプロジェクト》」「【初音ミク15周年】ミクさんの誕生日をコメントで祝ってみた♪《CAプロジェクト》」「超コメントアート2022歌詞ラップバトル」など、Yuuさんは本当に多くの合作動画を主催されています。

Yuu:
 「コメントで花を咲かせてみた」の合作動画は、参加者が集まってくれるか正直不安だったんですが、蓋を開けてみたら10名の方が集まってくれて嬉しかったですね。

・M・(まー):
 私もその合作動画に参加したひとりなんですが、3.11を経験した身だったのもあり参加できて嬉しかったです。

 Yuuさん自身これまで多くの合作動画を主催されてきて、楽しかった思い出や逆に苦労したことで印象に残っていることはありますか?

Yuu:
 楽しかった思い出のほうが記憶に強く残っています。僕自身が絵系のコメントアートに対して苦手意識がある中で、他の参加者の方が貼ってくれた絵系作品を見るのが密かな楽しみだったりします。

 けど、逆に大変だったこともありまして。合作を計画する際Googleスプレッドシート等を用いて管理を行うのですが、自分でいちから作ることができなくて……そこは本当に苦労しました。

 その時大変助かったのがまーさんが合作計画の際に用いていたスプレッドシートでして、それをコピーして自身の合作用にアレンジして使いました。その節はありがとうございました。

・M・(まー):
 いえいえ(笑)。合作企画する中でスケジュールや人繰りを管理するの大変ですよね。スケジュールに関しても期限を守れない人が居たりするのを見越して余裕のあるスケジュールを決めたり。

 あとは合作参加者の中で協力的な人いると助かります。私の場合だと配管さんやヒツジさんが生放送を行い情報共有行ったりしてくれるのですが、大変助かっています。

Yuu:
 そうですよね、本当助かっています。

・M・(まー):
 ヒロスさんや私の場合ですと、合作動画を企画するときは東方ニコ童祭やCA祭など母体となる大きな企画に乗っかろうぜという感じで、合作動画の企画を立ち上げることが多いのですが、Yuuさんは何かのイベントに合わせてではなく自身で企画を立ち上げて合作動画を主催されているというのは、新しい動きなのかなと思います。

Yuu:
 ありがとうございます。

2020年は「合作を作りたい」熱量が爆発した年

・M・(まー):
 さて、2017年以降に投稿された合作動画の件数についてですが、2017年~2019年は0本でした。

 この背景には、2017年以降のHTML5プレーヤーという新環境でのコメント仕様・コメントアートの表現の研究が盛んに行われていたことがあると考えられます。研究と並行して、コメントアートイベントは行われていたものの合作動画投稿までは至っていませんでした。

 が、2020年、時代が動き出します。この年、合作動画は何件投稿されたと思います? 急にクイズ始まっちゃましたが(笑)。

ヒツジ:
 (正解を)当てにいきますね。4件!

Yuu:
 えー……何件だろう……。3件とか?

ヒロス:
 完全にカンですけど5件で。

配管:
 9件!

・M・(まー):
 なるほど。正解は……10件です!

一同:
 ええええっ!!

・M・(まー):
 この10件の内訳には、投稿された動画に対しコメントが直接表示される「直表示版」と、コメントが流れているものを録画して投稿される「キャプチャ版」の2種類が合算されています。ただ、重複を除いても7本投稿されているので各段に増えていると言えるでしょう。

 2021年以降も同様にキャプチャ版を含めた件数ですけど、2021年に6件、2022年4件、そして2023年である今年は2件となっています。

ヒロス:
 この2020年に合作動画が急に増えた背景には、HTML5プレーヤー以降コメントアート文化は盛り上がりを見せた中で、徐々に「合作したい」という想いが蓄積されていき、まーさんが主催を行った「中曽根OFF合作」から放出されていった印象があるのですが、実際のところはどうだったんですか?

・M・(まー):
 2017年以降コメントアートのイベントは行われており界隈としてもの凄く盛り上がってはいたのですが、一方で何度か「合作動画作ろうぜ!」という話題は度々挙がりつつも、結局実現に至らずだったんです。

 そんな中、世界的なパンデミックが起き、ニコニコ超会議がリアル開催からネットへの超会議へ移行しました。その際に、「中曽根OFF動画を投稿してください」という公式企画がありまして、そこで「投稿された動画にコメントアートを貼ろうぜ!」と提案された方がいたんです。

 一方、私は個人でコメントアート動画を作って中曽根OFF動画企画に乗っかろうと動いてました。で、投稿期限が迫ってきたタイミングで「結局みんなどうする?」みたいな動きがあり、水面下で進めていた私が音頭をとってはじめたところ……あれよあれよと参加者が増えていき総勢25名の方が集結。そこから製作期間3日で作ったんですよ。

 今振り返ってみると、やはりみんなの「合作を作りたい」欲が燻っていてあのタイミングで爆発したのかなと。

ヒロス:
 そういうことだったんですね。

・M・(まー):
 ノリと勢いみたいなものでしたね。私も初の合作主催者で、また3日間という短い期間中で参加者もろくに管理していませんでしたので……。未だに誰だかわかっていない参加者がひとりいます(笑)。

配管:
 あー、そういえばおひとりいますよね。

ヒツジ:
 でた、謎の人物(笑)。

Yuu:
 居ましたね(笑)。

・M・(まー):
 そういった不安要素もありつつ完成出来たことが奇跡であり、私にとっての成功体験で自信に繋がった出来事だったなと思いますね。

コメントアート コメント職人 CA
(画像は「少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】」より)

ヒロス:
 まーさんにお聞きしたんですが、2020年から毎年中曽根OFF合作動画を投稿されているじゃないですか。毎年演出を考えたりするのは大変じゃないですか?

・M・(まー):
 そうですね、キャプチャ動画を含めこれまで9作品投稿していますけど、同じ楽曲でどう演出するか本当に毎年悩んでいます(笑)。

 ですが、有難いことに毎年固定メンバーではなく、新しい方にも参加いただきつつみんなで力を合わせて作っているので、毎年違った作品が出来上がる感じです。

 今後も新規参入者や続けている方はもちろん、その時々、アクティブに活動している人たちで合作動画を作っていきたいですね。

ヒロス:
 まーさんが企画する中曽根OFF合作は毎年開催すると決まっているので、参加者の方達の目標にもなっている気がしますね。

 単純に「合作をやるぞ!」というだけでなく、新規コメントアート製作者獲得や、コメントアート文化のアピールなど、別の意味も付随しているのが凄いなと。

・M・(まー):
 恐縮です。こういう合作企画を通してまずは参加してくださる皆さんのモチベーションアップに繋がってくれれば嬉しいなと思っていますし、合作動画を企画する→投稿する→新規参入者獲得→合作動画を企画するのサイクルをまわしていくことでコメントアート文化の活性化に繋がれば良いなぁと思っています。


ひとりで行うコメントアートと複数で集まる合作動画の違い

・M・(まー):
 普段ひとりで行うコメントアート活動と、複数人で集まって作る合作動画で活動することの違いについて伺ってみたいのですがみなさんどうお考えでしょうか。

Yuu:
 常に新発見があるのが個人の活動と合作の違いですかね。自分自身では思いも寄らなかった発想だったり、技術を間近で知れたり解説を聞けたり。

 合作初参加の時にニコニコテレビちゃんのコメントアートを作ったんですけど、パソコンのブラウザで視聴する分には想定した表示がされていたんですけど、スマホアプリから視聴したらテレビちゃんの表示が崩れてしまっていたんです。他の参加者に修正いただいて、表示が崩れなくなるアドバイスもいただいたのを今でも感謝しています。

・M・(まー):
 あー、修正したのたぶん私だ(笑)。

 コメントアートを作るうえで様々な視聴環境でも綺麗になるよう作るのも苦労しますよね。それこそ個人でコメントアートを作る際はその辺の裁量はそれぞれ違ってきますけど、合作動画の場合だと、その辺の線引きをどうする?という話も最初のうちに話し合ったりします。

 その影響なのか合作動画では「コメント直表示版」と「キャプチャ版」とで2回に分けて投稿したりもしたりしますよね。

コメントアート コメント職人 CA

ヒツジ:
 自分もYuuさんと同じで、新発見・新解釈と出会える点が大きいです。他の参加者のコメントアートを参考に自分の手法に吸収したりしています

 他には、複数人で作るからこそ、自分自身で作るのが難しい場合は他の人に依頼したり、逆に依頼されたりしながら作る点が個人で作るうえでは得られないものですね。

・M・(まー):
 確かに。得意不得意ありますもんね。そういう中で補い合えるのは合作を行ううえでの利点ですよね。

配管:
 大前提としてコメントアートの性質はコミュニケーションツールだというのは何度もお話しさせて頂いているのですが、自己研鑽するにしても人間ひとりの力では頭打ちになってしまうんですよね。

 行き詰った時に、自分の世界をどうやって広げていくかという点に焦点を当てたときに、全く違う人の視点が違う世界を教えてくれる。三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものです。

 人が集まれば集まるほど連鎖的に攪拌(かくはん)していくもので。個人活動では得られないものがあり、また合作のどこに魅力を感じるのか、比重をどこに置くのか、何を求めているのか人によって違うんですよね。

・M・(まー):
 そうですよね。

配管:
 例えば、「プログラミングの知識を用いてニコニコの機能をつかって面白いこと出来ないかなに重きを置く人」と「わちゃわちゃワイワイガヤガヤ遊びたい人」と、対照的な考えかたのふたりが同じ志を共有することで今までにない化学反応が生まれる。こういうところが、複数人で楽しむポイントだと思いますし、合作の魅力だと思います。

ヒロス:
 私は先ほどの配管さんの言葉を借りるとワチャワチャしたい人なんです。普段の動画でも視聴する際はワチャワチャしにいくんですけど、合作だとさらに大人数でわちゃわちゃするので思いも寄らないことが起こるのが楽しみですね。

 また、合作動画制作中は、各パートで順々に完成していくので、作っていく過程で刺激や影響を受けて最初に想定していたものと違うものが出来上がることもあるのが合作の醍醐味だと思います。

・M・(まー):
 私もみなさんの意見に賛同しまくりで、私がこれまで立ち上げてきた合作動画もある程度は頭からお尻までのストーリーラインは考えたうえで企画募集するのですが、結果として違ったものが出来上がるんです。面白いですよね。

ヒロス:
 私の場合ですと、進行管理や指示出しのようなものは一切していなくて、各パートに割り振るくらいであとはすべてを各人にお任せしていました。まーさんはそのあたりどうされていました?

・M・(まー):
 2020年から取りまとめをしている中曽根OFF合作では、実際に取り掛かる前にテーマの提示と時間で簡単なパート分けを行い、そこにひとりひとりが作りたいものを書き出してもらい完成イメージを共有する手法を取り入れていました。

 ただ、実際に手を動かして完成した作品を貼ってみるとうまくハマる場合もあればハマらない場合もありまして。そういうときは作った作品のリテイクは行わず演出でカバーしたり、配置を入れ替えたりして完成まで持っていきましたね。

コメントアート コメント職人 CA
(画像は「シン・少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】」より)

ヒロス:
 作品に対して制限を大きくしてしまうと、参加者のモチベーション・面白さがなくなってしまうと思いますが、まーさんの合作ではそういう塩梅が上手くいっているのが凄いですよね。

・M・(まー):
 ありがとうございます(笑)。私もヒロスさんに伺ってみたかったことがあって、当時ヒロスさんが主催した合作ではSA(スクリプトアート)【※】を用いていたじゃないですか。

 私の中のSAに対するイメージを話すと、自由度が高すぎるが故に「これ本当にコメントかよ!」みたいなツッコミが出てしまうくらい上級者向けのイメージがあって。

 普通のコメントとは切り離して考えなければならない代物で「コメントらしさ」を維持するのが大変だったと思うのですが、意識した点などありましたか?

※スクリプトアート……ものすごくざっくり説明するとコンピュータプログラム的な仕様を用いて装飾を施すもの。詳細はこちら(ニコニコ大百科「スクリプトアート」)

ヒロス:
 あー、個人的にもその部分は気にしていました。私自身、内容について口出しはしなかったのですが、SAを用いていた人たちがそういう塩梅を分かっていたのもあり、問題なかったです。

 ただ、2010年頃に合作企画をさらに続けていたらすべてがSAになり、コメントアートらしさが薄くなる合作が出来あがった可能性があったのかもしれないですね……。

・M・(まー):
 そういったところの塩梅難しいですよね。中曽根OFF合作では、私のコメントアート経験値からシリーズ毎に「今年はここまでは許容する、こういうった手法はNG」線引きを設けているんですが、今年投稿した「ぼっちちゃんも少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】」では制限を緩めたんです。

 おもにアニメーションと呼ばれる、1フレームずつ動かしてキャラクターが動く演出を何箇所で行ったのですが、コメントらしさを損なうのではないかという怖さと視聴の目が肥えちゃうみたいな懸念もありまして。そういった線引きを定めるのが毎年悩む要素ですね。

ヒロス:
 色々な方が参加されるので作り手からするとそこが面白い部分ではあるのですが、視聴者の立場で考えると逆に働く懸念もありますよね。思ってたのと違うみたいな。そういった塩梅が難しいんですよね。

・M・(まー):
 そうなんですよね。ひとりで作るときは、「今回はこういう表現を行いたいんだ!」とう振り切りかたも出来ますし、縛りの線引きも自分で決めることが出来ますが、合作動画だと縛りに対しての意見も分かれちゃう場合もありそういう取りまとめを行うのが合作を行ううえでの大変なことですね。

コメントアート コメント職人 CA
(画像は「ぼっちちゃんも少し楽しくなるコメント動画【中曽根OFF合作】」より)

合作を開催するうえで欠かせないこと

・M・(まー):
 コメントアートの合作動画を行ううえで欠かせない機能など伺ってみたいのですが、なにを置いても欠かせないのは「投稿者コメント」ですよね。

 通常コメントは75文字までとなっていますが、投稿者コメント機能では1024文字まで使用できます。また、ニコスクリプトという機能【※】で、コメントの流れる向きを変えたり、コメントの表示時間を変えたりと、表現の幅が広がるのでコメントアートを作るうえでの考え方も変わってくるんですよ。

 制限ある中での創意工夫を目指すのか、ある程度緩和された中で最大限に表現するのか、この辺の取捨選択が難しいところでもあり、面白いところでもあるのかなと思っています(笑)。

※コメントの流れる向きを変える「@逆」、コメントの表示時間を変更することが出来る「@有効秒数」、動画に投稿されたコメントを別のコメントに変えたり、色を変えたりすることが出来る「@置換」などがある。

ヒツジ:
 ですね。

・M・(まー):
 ボカコレでも「@置換」機能のニコスプリプトを活用し視聴者の方のコメントが弾幕に置換される動画が何本も投稿されていましたし、今後もニコスプリプトを活用した動画増えて欲しいですよね。

 また、ニコニココミュニティに動画を投稿する際に設定できる「投稿者コメント共同編集機能」があることで、大人数がひとつの動画のコメントを編集することができます。もしこの機能が失われてしまうと合作動画を作るにあたっての作り方がガラリと変わっちゃいます。

 加えて、必須ではないのですがタグ機能も。これは本来のタグの使いかたではないのですが、「投稿者コメント共同編集機能」で編集のバッティングを避けるために便利なんです。

 「投稿者コメント共同編集機能」って複数人同時編集が出来ないんですよね。ただ、複数人同時に投稿者コメント機能開くことが出来ちゃう。そこでバッティングが起きないように「○○使用中」というタグを記載しておくのが推奨されているんです。これは2020年の中曽根OFF合作時にヒツジさんが使っていて「これいいな」って思った記憶があります。

ヒツジ:
 そうですね。当時生放送している中で「タグに記載した方が便利だよね」という話になって定着していった感じです。

Yuu:
 僕の場合ですと、どうやって合作進めれば良いか分からなかったので、コミュニティ内の掲示板を活用していましたね。

ヒロス:
 私も今挙がったコミュニティ周りの機能を活用していましたね。あと、強いて言うならば投稿者コメントのエディタ機能には大変お世話になっていました。コメントを一括で移動できるの便利ですよね。

・M・(まー):
 確かに。位置調整するときに便利ですよね。ちなみに、ニコニコ動画以外の機能だとなにか必須なツールってありますか?

Yuu:
 僕の場合は、まーさんのやりかたを参考にしていて、話し合いができる場所としてDiscord、スケジュール管理やコメント管理・共有のためにスプレッドシートを使っています。

 ほかには、X(旧:Twitter)やブログを使って募集をかけるというのも大事にしています。

・M・(まー):
 確かに募集する場所も大事で人が集まらないと始まらないですもんね。

もしこんな機能が追加されたらコメントアートの表現が広がりそう

Yuu:
 機能と言えば、投稿者コメントの「@逆」機能でコメントの流れる向きを変えることはできますが、その自由度をあげて下から上に流れるようなコマンドがあったら嬉しいなぁ(笑)。

・M・(まー):
 今だとパラパラ漫画の要領で下から上に瞬時に出すことで疑似的に表現しているけれど、コマンドひとつで出来たら嬉しいですよね。

 こういう新機能の話でよく挙がるのは「big」コマンドよりももう一段階大きいサイズがほしいという。

ヒツジ:
 ブロックで文字を作れば良いんですけど、実装されれば助かりますよね。

・M・(まー):
 あとは、コマンドの透過度も話に挙がりますよね。今は視聴者側で動画に投稿されたコマンドの透過度を一律設定変更出来ますが、コメント投稿する側でも制御出来たら面白いですよね。コメントのハイライトを付与するしないをコマンドで設定出来るとかも。

 コメントアートの技術的な話になっちゃいますが、「ハイライトの消すコマンドがあるだけでコメントアートの技術の幅が広がるので実装されたら嬉しい」って話はよく挙がりますよね。

配管:
 欲を出せば切りがないですし、技術的に可能・不可能という問題もあるのでしょうけど、ひとつ要望を出すならば「1画面内のコメント数の緩和及び、1回の投稿必要なコメント文字数の緩和」ですかね。

 現在の仕様では1画面に40コメントまで、1コメントは75文字まで、また投稿者コメント機能は動画の長さに関係なく一律1000コメントまでという制限があるんです。サーバー側の負荷や視聴環境側の問題だったりあるのかもしれませんが、もしこの辺りの制限が緩和されれば世界が広がるのかなと思います。

 というのも昔からこの辺りの仕様については見直し、テコ入れがされていないので、どこかのタイミングで見直して貰えたら嬉しいですよね。逆を言えば完成されていると言えるのかもしれませんが(笑)。

・M・(まー):
 プレーヤーが4:3のときは1画面30コメントまで、1コメントは60文字までだったのが、16:9になった際に緩和されたと思うので、何らかのタイミングで見直されると嬉しいですよね。

ヒロス:
 改行コメントのコメントの配置について右寄せや左寄せで投稿出来たら嬉しいなと思いました。

・M・(まー):
 あー、良いですね。今だとコマンド「ue」「shita」で投稿する際は中央揃えで、右や左に文字を寄せる際はスペース等を用いて配置しますもんね。

 右寄せの作品はその分コメント数も消費するのでこの辺をコマンドか何かで設定することが出来たら表現の幅がぐんと広がります。

ヒロス:
 ですね。視聴者の方でもこの辺の設定が簡単に出来るとより面白いコメントとかが投稿されるんじゃないかなと思っています。

好きな合作動画について

・M・(まー):
 みなさんコメントアート製作者ということで、コメントアートが好きで作っていると思うのですが、そんなみなさんがすきな合作動画について、せっかくの機会なので教えていただけないでしょうか!

ヒツジ:
 自分は「【投コメ】初音ミクの消失【4人合作】」ですね。

 最近は絵の作品を作ることが多いのですが、コメントアート始めた時は歌詞を中心に作っていたのでその中で出会った作品でして、「コメントでこんなことが出来るのか!」という衝撃を受けた作品でした。

・M・(まー):
 文字で魅せるという歌詞職人カッコ良いですよね。

ヒツジ:
 歌詞の他にデカ文字、絵系、SAも用いられますが、基本的には歌詞を邪魔しない構成となっており、また様々なギミックが組み込まれているのがカッコいいですね。

Yuu:
 僕は「ニコニコ動画重ゴ祭」です。ニコニコ動画の15周年を祝って作られたメドレー動画なんですが、一部パートがコメントアートで出来ている動画なんです。まーさんが取りまとめだったんですよね。

・M・(まー):
 そうですそうです。コメントアートパートの取りまとめは私でした。

Yuu:
 本当は僕も参加したかったのですが、私生活忙しくて参加出来なかったんですよね……。

・M・(まー):
 そうでしたね。Yuuさんに個別で声かけたのを覚えています。でも本当に「リアル大事」で、時には断る勇気、諦める勇気も大切です。

Yuu:
 投稿された動画を見たら本当に面白くて、こんな面白い合作に参加出来なかった悔しさでたくさんコメントしました(笑)。

一同:
 (笑)。

・M・(まー):
 2年前(2021年12月投稿)になりますが懐かしいですね。

 30秒くらいのパートですけどハイテンポな曲に合わせて疾走感を大事に演出しました。この合作には配管さんとヒツジさんも参加されましたよね。

配管:
 覚えています、懐かしいですね。

ヒツジ:
 もちろん覚えています。

・M・(まー):
 配管さんと私で一緒にサーバルちゃんを貼ったり、ヒツジさんは琴葉茜ちゃんの「せやな」を貼ってくれていましたよね。コメントアートのパートのほかにエンディングにも歌詞コメントを貼りましたっけ。

Yuu:
 ますます参加したかった~(笑)。

・M・(まー):
 (笑)。ニコニコ動画20周年の時にまたお声掛けいただけるかもしれないので、今のうちからアピールしておくのもアリかもしれません(笑)。

Yuu:
 参加したいのでメドレークラスタの方お声掛けお待ちしております(笑)

一同:
 (笑)。

ヒロス:
 私は「【30人合作】投コメで『ニコニコ動画流星娘』【第8回CA祭】」が一番好きですね。スクリプトアートとコメントアートのバランスや作られたコメントの表現の幅も広く、コメントアートの楽しさが詰まった動画なので好きです。

・M・(まー):
 全編を通してバランスが良かった作品ですよね。

 私も参加者だったので当時のことは覚えていますがスクリプトアートで作るか、コメントアートで作るかは個人の裁量でした。私が担当したパートの「エアーマンが倒せない」は通常コメント仕様だったんですが、その後のパートはスクリプトアートで。

 偶然ではあるんですが、あそこまでよくスクリプトアートとコメントアートがバランスよく配置されたよなあと。30人という大人数で完成出来たのは本当奇跡ですよね。

ヒロス:
 そうですよね。奇跡だと思います。

コメントアート コメント職人 CA

・M・(まー):
 そうえいば、「投コメで『ニコニコ動画流星娘』」ではエンドロールのクレジットに参加者ひとりひとりからいただいたコメントを載せていたじゃないですか。あの演出が好きで私が主催する合作動画でも度々採用しています。

ヒロス:
 実は最初の段階だと参加者からのコメントは載せる予定じゃなかったんですよ。

・M・(まー):
 え、そうだたんですか!?

ヒロス:
 はい、もともとは入っていなくて、「参加者ひとりひとりから一言コメント貰ったどうか?」という声が挙がり載せるようになったと記憶しています。

・M・(まー):
 なるほどそうだったんですね。

Yuu:
 あのクレジットの演出、一番最初に行ったのは流星娘だったなんて知りませんでした。僕はまーさんの合作から影響を受けているので、ある意味3世代に渡っての系譜になっているんですね。

・M・(まー):
 そうなんですよ、良いアイデアだなと思い、自身の合作にも取り入れるようになりました。コメントアートの歴史が長いからこそこういう話も出来るのかなと思いますし、そういう意味では今回ヒロスさんとYuuさんと一緒にこの話題を話すことが出来たのはよかったなと。

ヒロス:
 いや本当、こちらこそです。

Yuu:
 今日みなさんとお話できて本当に光栄です。

・M・(まー):
 配管さんは、合作参加作品も多く選べないかもしれませんがお好きな合作動画はどの動画になりますか?

配管:
 あえてひとつ挙げるとすると、2020年の中曽根OFF合作です。私も参加していた一人なので経験談として覚えているのですが、投稿された後に「自分もコメントアートをやってみよう!」とコメントアートに興味を持たれた方が増えたことは覚えています。

 ありがたいことにこれまで数多くの合作に参加しておりまして、その中にはものすごい技術・技量のお持ちで「そのすべてを合作にぶつけるぞ!」とすごい意気込みで合作に臨まれる方もおりました。もちろんその熱意は素晴らしいことなのですが、一方で視聴者が引いてしまうのではという懸念もありまして。

 その塩梅というが、ヒロスさんやまーさんはケアがとても上手で慎重に進めていたと記憶しております。視聴者の方に対し「これくらいだったら俺でも出来そうじゃないか?」という水準・クオリティを常に意識して合作を主催しているというのが、魅力を感じますね

 2020年の中曽根OFF合作では、3日という短い製作期間で、クオリティを下げざるを得なかった方もいたのかもしれませんが、結果的には歯車が上手く嚙み合った好例な動画だったのではないかなと思います。

・M・(まー):
 恐縮です。中曽根OFF合作は初めての主催、想定していた人数を超えて集まった参加者、製作期間はわずか3日、4分の尺を1000コメントで作らなければいけない制約など、不安は尽きなかったのですが、HTML5プレーヤー時代で燻っていた熱量が放出された自分としても想い入れがある好きな動画です。

 私のモットーとして、二コニコ動画に動画を投稿する以上は視聴者の方に動画にコメントして貰いたいという想いがあります。「魅入っちゃって動画にコメントするのを忘れてた!」というコメントをいただけるのはもちろん嬉しいのですが、その状態はじつは避けたくて。

 視聴者のコメントで完成するじゃないですけど、ツッコミのコメントを貰ったり、弾幕コメントをして貰ったり、置換機能を活用したり、視聴者も動画の一員として盛り上がれるような動画を意識しております。

 そうすると、最初に観た時と月日が経って改めて動画を観るとその弾幕の部分の内容が変わっていたりコメントの量が変わっていたりと、繰り返し見る楽しさみたいなものも生まれるんですよね。

 参加者だけでなく、動画投稿後視聴者の方にも楽しめる動画作りを今後も意識していきたいですし、コメントアート合作を作る方々は今後そういう投稿後も意識して作るとより面白い動画が出来上がるんじゃないかなと思っています。

配管:
 ちなみにまーさん自身が好きな合作動画はなにかありますか?

・M・(まー):
 今お話した中曽根OFF合作と、あともう1本記憶に残っているのが「ハイコートポロロッカ」です。

 参加した時にどういった作品が出来上がるんだろうというワクワク感は今でも覚えていますし、私が携わったのは冒頭のロゴ3種類だけなのですが、投稿後全編通して観た時の衝撃は今でも覚えています。

今こそコメントアートを投稿しやすい環境

・M・(まー):
 本日はいろいろとお話させていただきありがとうございます!

 歴史を振り返ってみましたが、動画プレーヤー、コメント描画が安定している今がコメントアートが投稿しやすい環境なのかなと思っています。

ヒロス:
 自分はコメントプレーヤーだけはずっと追っている身ですが、まーさんの仰る通り今はコメントする環境としては最高の環境だと思いますね。

 配管さんが仰っていた、「良い米は良い田んぼで育つ」ってやつですね(笑)。環境に加えて、作るうえで不明なことについてアドバイスくれる頼れる方もいますし、HTML5プレーヤー以降のCAが蓄積され参考となる作品も数多くあるのでそういった面でも良い環境だなと思っています。

・M・(まー):
 人が増える=お手本となる方も増えるので、そういう意味でも今は恵まれた環境だなと。

 Yuuさんのような若い世代もコメントアートに興味を持ってくれる方もいて、何世代にも渡りCAの文化や技術、想いといったようなものが踏襲されているのはとても良い傾向なのかなと思いますよね。

配管:
 私も同意見です。長らくコメントアート文化で楽しませて頂いておりますが、今はとても環境に恵まれている時代だと思います。動画プレーヤーとして土壌がしっかりしており、SNSも整っている。昔よりもより親しみやすく遊びやすくなっているのかなと。

・M・(まー):
 この楽しい時がずっと続けば一番ベストなんでしょうけれど、今後も時代やユーザーのニーズに合わせて変化していくと思うので、私たちも柔軟に対応していきたいですよね。

配管:
 運営の方々も、時間がかかったとしてもユーザーからの要望に対し対応し続けてくれています。今この環境下でコメントアートで遊んでみたいという想いを持った方は是非内に秘めず、表に出して欲しいなぁと思いますね。

・M・(まー):
 ニコニコ公式番組に出演した際に、ニコニコ代表の栗田さんへ直接要望を挙げたことがあるんですが、即時に対応いただたものや、数年経ってですが対応していただいたりとユーザーの声を真摯に聞いてくださっているのも大きいなと思います。

 ニコニコ動画に触れるなら、またコメントアートにトライするなら今がチャンスって感じですよね。


・M・(まー):
 最後になりますが、何か宣伝したいことございますか?

Yuu:
 来年のニコニコ超会議に、ユーザー企画「#超コメントアート」のブースまた立ち上げたいなと思っています!

・M・(まー):
 おぉ!楽しみにしています!

配管:
 酸いも甘いも嚙み分けたと思っていますので、原点に立ち返り私からカタカナ7文字だけ。「コメントアート」をインターネットブラウザの検索エンジンで、ニコニコ動画内で、各種SNSで検索していただきたいです。

 ニコニコ動画内でコメントで動画を彩ったり面白くしたりする名称として様々なところで認知されているので改めて周知したいですね、そしてコメントアート文化が更に広がっていくことを願っています。

・M・(まー):
 良いですね!個人的にも2017年以降はこの7文字の定着化に努めた時期でしたので本当認知されているのは嬉しいですし、今後更にコメントアート文化広がっていって欲しいです。

 最後に私からお知らせがふたつ!2024年の超会議に向け、少し楽しくなるコメント動画2024合作やります!乞うご期待!

一同:
 おぉ!

・M・(まー):
 そして、ニコニコ動画17周年企画としてこのコメントアート座談会企画ともう一つ、今回の座談会にも出席いただいた配管さんとヒツジさんにも参加いただいた、総勢12名による邪神ちゃん1話にコメントアート貼ってみた合作動画が投稿されますのでそちらも是非ご覧ください!

一同:
 おぉ!

・M・(まー):
 ということで本日の座談会は以上となります。ヒロスさん、配管さん、ヒツジさん、Yuuさんありがとうございました!

一同:
 ありがとうございました!

「邪神ちゃんドロップキック」シリーズ完全新作【世紀末編】 12/26に地上波同時放送

 「邪神ちゃんドロップキック」シリーズ完全新作が登場! 1話限りの特別編「邪神ちゃんドロップキック世紀末編」が12月26日(火)24時5分よりテレビ同時配信。

 さらに、この配信を記念して、「邪神ちゃんドロップキック」シリーズを三週に渡り全話一挙放送! 世紀末編に備えてぜひご視聴ください。

●アニメ邪神ちゃんドロップキック公式X(Twitter)アカウント

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