【名人戦】連勝の藤井聡太名人、苦しみ抜いた先に「寄せの形が見えた」形勢入れ替わる混戦制す
日刊スポーツ / 2024年4月24日 22時22分
将棋の藤井聡太名人(竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が24日、千葉県成田市の成田山新勝寺で行われた第82期名人戦7番勝負第2局で、挑戦者の豊島将之九段(33)に連勝した。23日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手の豊島が相掛かりから「ひねり飛車」もにおわせる前例のない形に誘導した。形勢が目まぐるしく入れ替わる混戦の末、最終盤で抜け出した藤井が開幕局に続いて制した。第3局は5月8、9日、東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で行われる。
◇ ◇ ◇
藤井が最後に勝機をつかんだ。2筋に桂を打ち込み「寄せの形が見えてきたと感じました」。終局寸前、首を1度激しく横に振り、自玉を7筋から8筋に逃し、豊島を投了に追い込んだ。形勢が何度も揺れ動いた熱戦を制した瞬間だった。
中盤、飛車と桂が働かない形となるなど、苦しい場面もあった。午後5時から30分間の夕食休憩では10分ほどで対局室に戻ってきた。「どう勝負するかと思っていました」。うまく粘ってまとめきった。
これまでタイトル戦では連敗はなし。並行して戦っている第9期叡王戦5番勝負第2局(20日、石川県加賀市)では同学年の伊藤匠七段(21)に敗れた。昨年9月の王座戦第2局からのタイトル戦連勝記録は「16」でストップ。大山康晴十五世名人が、1961年(昭36)から62年にかけてマークしたタイトル戦17連勝には及ばず、気を取り直して臨んだ。
第1局に続き、初日の早い段階から前例のない将棋となった。22年9月の王位戦7番勝負第5局は前例から離れた力戦。この後から定跡形を離れ、初見の局面をぶつけられるケースが多くなり始め、その対応を絶えず課題に挙げていた。
第2局について藤井は、「中盤でミスが出てしまっているのは改善しないといけない」と語り、「本局をしっかり振り返って、良い内容の将棋が指せるようにしたい」と早くも第3局へ目を向けた。
名人戦の開幕局の前夜祭で、名人獲得9期の日本将棋連盟会長・羽生善治九段がこう話した。「2日制で持ち時間9時間と最も長い名人戦は棋力、気力も含めた総合力が問われる」。そんな言葉を体現した連勝となった。
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