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令和の世にSL・経木の折・ポリ茶瓶が勢ぞろい!「懐かしさ100点満点」の津和野駅弁

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年5月30日 11時55分

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

かしわめし

“懐かしさ”というものは、生まれ育った世代によって変わりますが、蒸気機関車の旅は、後追いの私の世代にとっても心を打つものです。煙を吐き出す機関車の躍動感と共に、カタンコトンとレールのジョイント音だけが響く静かな客車の車内。“昔の汽車旅”に思いを馳せながら、「SLやまぐち号」に揺られて2時間。終着・津和野駅には、令和のいまでは、希少な存在となった経木の折に詰まった駅弁と、ポリ茶瓶のお茶が健在でした。

D51形蒸気機関車+35系客車・快速「SLやまぐち号」、山口線・長門峡~渡川間

昭和54(1979)年から、山口線の新山口(かつての小郡)~津和野間で活躍している「SLやまぐち号」。当初はC57形蒸気機関車の1号機、平成29(2017)年からはD51形蒸気機関車の200号機も加わり、春から秋の週末を中心に1往復が運行されています。機関車が牽引する5両編成の35系客車は、“最新技術で快適な旧型客車を再現”した車両。見た目はレトロですが、アメニティは現代仕様となっているのが嬉しいですね。

(注)「SLやまぐち号」は、蒸気機関車の不具合のため7/10まで運休が決まっています。

津和野駅「駅弁くぼた」売店

「SLやまぐち号」の運転に合わせて、津和野駅で長年、駅弁を販売している「駅弁くぼた」の販売ブースが設けられています。昨年(2021年)までは、駅の構内に常設のうどん店がありましたが、駅の改築工事に伴って閉店。現在は、SL運行日の13時ごろから15時45分ごろまで仮設の売店で販売を行っています。なお、SLがお休みの日は、駅からも近い津和野郵便局そばのお店(望月薬局の隣)で駅弁が販売されています(予約がお薦め)。

かしわめし

津和野の名物駅弁といえば、やっぱり「かしわめし」(1000円)。C57蒸気機関車1号機の写真と共にSL復活運行記念と書かれた掛け紙は、昭和54(1979)年の「SLやまぐち号」の運行開始から、基本的に変わらないデザインとのこと。機関車のプロフィールも記され、昭和47(1972)年の鉄道100年に当たっては、羽越本線・新津~村上間でお召列車の牽引に充当され、その後、梅小路機関区に保存されたことなども書かれています。

かしわめし

【おしながき】
・かしわめし(島根県産米使用) 鶏肉そぼろ煮 錦糸玉子 のり
・小女子の佃煮
・昆布巻き
・蒲鉾
・酢蓮根
・金平ごぼう
・山菜
・大根の漬物

かしわめし

C57 1の写真が入ったレトロな掛け紙を外すと、昔ながらの経木の折に入ったかしわめしが現れました。これぞ、みんなが懐かしさを憶える「駅弁」! このスタイルで令和のいまも汽車旅のお供にいただくことができるなんて、手にしただけで嬉しくて涙がこぼれそうです。津和野駅では「くぼた」の御主人のお父様の代から立ち売りを行っていて、その頃から、お母様が得意としていたかしわめしを駅弁として販売、50年以上の歴史があるのだそう。ご主人の“おふくろの味”に心を寄せていただけば、自然と心が温かい気持ちになります。

D51形蒸気機関車とポリ茶瓶

津和野駅で駅弁を手にしたら「ポリ茶瓶」のお茶も一緒に買い求めたいもの。陶器製の汽車土瓶とペットボトルの間に存在した、昭和40~50年代の懐かしアイテム「ポリ茶瓶」。首都圏近郊の伊東や横川で見られるポリ茶瓶と違い、緑色の蓋が使われているのは、珍しく感じました。令和にSL・経木の駅弁・ポリ茶瓶の3つが揃う、感動的な津和野駅。東京からは行きにくいところだからこそ、昔ながらの駅弁文化がしっかりと息づいていました。

D51形蒸気機関車+35系客車・快速「SLやまぐち号」、山口線・徳佐~船平山間

残念ながら「SLやまぐち号」は、蒸気機関車(炭水車)の不具合のため7月10日までの運休が決まっています。でも、山口線では本州の在来線では珍しい5時間超の運行時間を誇る特急「スーパーおき」(鳥取・米子~新山口間)や、朱色一色の気動車も活躍中。とくにのんびりとした鈍行旅が楽しめるディーゼルカーの普通列車も、魅力は十分です。SLがお休みの間は、ぜひお近くの皆さんにお店や津和野の観光を応援していただいて、機関車復活の暁には、改めて煙の香りと共に、懐かしさ100点満点の駅弁とポリ茶を、存分に楽しむことにいたしましょう。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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