統一率が27% 再考する時期にきている「統一地方選挙」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年4月27日 17時55分
【統一地方選2023】開票作業が始まった開票所=23日午後、東京都新宿区
ジャーナリストの鈴木哲夫が4月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。統一地方選挙の現在の在り方について解説した。
統一地方選挙の時期に選挙が行われた自治体は全体の約27%
飯田)4月23日に統一地方選の後半戦、それから衆参5つの補欠選挙が行われました。今月(4月)の頭には前半戦があり、9日に投開票でした。今年(2023年)の政治の山を1つ越えましたが、まず全体を見通してどうご覧になりますか?
鈴木)これはきっちり総括しないといけません。メディアもそうですが、政党・政治側自身が総括しなければいけないと思います。そもそも、統一地方選挙と言っても、この時期に選挙が行われた自治体は全体の約27%なのですよ。
飯田)昔は「統一率」などと言いましたね。
鈴木)統一率は約27%です。
飯田)全体の3分の1もない。
鈴木)私もいろいろなところで「皆さん、どれぐらいだと思いますか?」と聞くと、大体「7割ですか?」、「東京なんて前半はもうないし、少ないから5割ですかね」と答えます。「いやいや、3割を切っているのですよ」と言うと、「えー!」と驚かれます。もはや「統一地方選」とは言えないでしょう。
飯田)確かにそうですね。
任期の途中で首長が辞任したり議会が解散したりして、次第に選挙日程がずれて統一地方選挙の対象から外れる自治体が増えてきた
鈴木)全部一緒にやった方が関心も高まるし、投票率も上がり、経費も抑えられるということで、1947年に始まったのです。しかし、途中から市長さんが任期途中で何かの理由で辞めてしまったり、亡くなった方もいたりして、ずれていくわけです。
飯田)回を重ねるごとに。
鈴木)そして、いまや約27%。いまから偶然、戻る可能性もありますが、基本的には下がりますよ。
飯田)どんどんバラバラになっていく。
鈴木)「そもそも統一地方選とは何なのか」ということも、もう1度考えなければいけないと思います。総括という意味では、国会で話す必要があると思います。もう一度、足並みを揃えるかどうかなど。
飯田)そうすると、任期の途中で選挙を行う自治体がたくさん出てきてしまう。
鈴木)だから「嫌だ」と言われるかも知れません。
飯田)特に椅子に座っている人は、「途中で辞めろと言われても」となりますよね。
市議会・町村議会の選挙では1000人以上が無投票で当選 ~成り手がいない地方議会
鈴木)地方で言うと、無投票がすごく多い。市議会・町村議会の選挙では、大体1000人以上が無投票で当選しているのですよ。そんなことでいいのでしょうか。地方議会は成り手がいないのです。それなら、地方議会をボランティアのような形にするのはどうか。なかなか給料をあげるのは難しいから、土日に行うとかね。
飯田)平日は兼業として生業があって。
鈴木)普通の仕事をやっているなど。そのように、何か方法を考えないといけないですね。
飯田)確かに専業にするのは難しい。「それで人生が変わってしまう」となると、ハードルが高くなります。
地域政党が活発になると地方自治は活発になる ~維新の会も都民ファーストも減税日本も地域政党
鈴木)だから、政治家が努力して候補を立てるとか、中央の政党がお金を用意して候補を立てるなどの工夫が必要です。地域政党のようなものがもっと活発になれば、地方自治は盛り上がりますから。考えてみれば、今回勝ったと言われる維新や都民ファースト、頑張っている名古屋の河村さんの減税日本も、すべて地域政党です。
飯田)そうですね。
鈴木)いまや今回の選挙結果を見てもそうだけれど、既成政党が数を減らしていくなかで、地域政党が力を付けてきているのです。政治の仕組みのなかで地域政党のようなものがもっと生まれてくればいいし、それをメディアが紹介することも必要だと思います。
深刻な状況の統一地方選挙
飯田)それこそ、政党助成の在り方も変わってくる。
鈴木)そういう部分も変えながら、パッケージとして地域政党ができるような環境を、どのように仕組みとしてつくっていけばいいのか。そういう議論が必要です。補選で「勝った、負けた」と大きく言われていますが、統一地方選が深刻だということを、この1ヵ月ほど関西中心に動いていて感じました。
節目にきている統一地方選挙
飯田)政党助成金に関しても、かなりお金を引っ張ってくることができるため、歪みも出てきた。
鈴木)そうですね。一方でパーティーは相変わらず行われているし、「政党助成金って何なの?」と思います。そのパーセンテージや金額を、違う形で地域政党への支援など、いろいろなところへ回すことも考えていいと思います。つまり統一地方選挙が節目にきているということです。
飯田)いちばん最初に導入するときは、「コーヒー1杯で皆さんは政治にコミットするのですよ」というところがあったはずですよね。理念としては。
鈴木)ありました。
飯田)「お金を出すのだから、きちんとみんな見ましょうね」というところが政治改革の肝だったと思います。
鈴木)おっしゃる通りです。時間が経つと忘れてしまうのですね。
「自民4勝1敗」でも実態は厳しい補選の結果内容
鈴木)今回、自民党は補選で4勝1敗だったけれども、自民党の中枢や選挙のプロたちを取材すると、「4勝1敗」という表現について「そうではない。かなり厳しいのだ」と言っています。
飯田)参院・大分が300票あまりの差で、千葉5区も5000票とはいえ、前回の半分以下でした。
鈴木)逆に「小選挙区の野党間での選挙協力はどうなっているのだ?」という感じでした。どこか1つが外れて、そこが立憲と組んだだけでも票は超えるわけですよね。
飯田)千葉などは本当にそうでしたよね。7人の候補が出ていましたから。
鈴木)自民党と野党、特に立憲ですね。それから公明党も今回は厳しかった。補選の方もしっかりとしたチェックが必要です。
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