中国国営企業のロゴが入っていたことと「影響工作」は別の問題 専門家が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年3月26日 17時30分
Photo taken on June 24, 2021 shows the State Grid of China in Yichang, Hubei Province.=2021(令和3)年6月24日、クレジット:CFOTO/共同通信イメージズ
戦略科学者の中川コージが3月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国国営企業のロゴや名前の透かしが入っていた内閣府の会議資料について解説した。
内閣府の会議資料に中国国営企業のロゴ、河野大臣が謝罪
内閣府は3月25日、再生可能エネルギーの普及に向けた規制改革を議論する会議の資料に、中国国営企業のロゴや名前の透かしが入っていたと発表した。河野規制改革担当大臣は「チェック体制の不備でお騒がせしたことについて、今後は対策を強化し、同じようなことが起きないよう徹底していきます」と述べた。
飯田)一部では、「国の政策が海外企業に影響されているのではないか」とも言われていますが。
ロゴが入っていたことと中国による影響工作は別の問題
中川)公表されている政府の資料に中国国営企業「国家電網公司」のロゴが入っていたのは政治倫理上、当然よろしくありません。データを使いたい場合、「中国企業がこのようなデータを発表していた」という形ならいいのですが、そこに透かしが入っていたのは単純にミスだと思うので、よろしくないと思います。
飯田)単純なミスとして。
中川)一方、「これによって日本の政策が歪められるかどうか」は別の話として進めるべきです。逆に言えば、資料に載っていなくてもそんなことがあってはいけないし、切り分けなければいけません。ロゴの問題について技術的なミスがあったことと、実際に中国がどのくらい日本への影響工作を行っているかは、別のラインで恒常的にチェックしなければいけません。
公務員以外にもセキュリティ・クリアランスを広げると膨大なコストが掛かり、運用できなくなってしまう
中川)最近もX(旧ツイッター)で国民民主党の玉木さんが言っていましたが、政府に関わる方々についてもセキュリティ・クリアランス制度を導入するべきだという議論があります。しかし、セキュリティ・クリアランスは単純に「付与すればいい」という免許証のようなものではありません。本人の銀行口座や、どこに酒を飲みに行っていたかなどの情報、あるいは交友関係まですべて調べられるのです。公務員ではない方にまで広げてしまうと、莫大なコストが掛かることになります。
飯田)そうですよね。
中川)逆に、セキュリティ・クリアランスが形だけになってしまい、実際に運用できなくなるのもよくない。ある意味では、軽々に「セキュリティ・クリアランス制度を導入」という方向になるのもいけないと思います。
飯田)そもそもセキュリティ・クリアランスは、特定の重要情報にどうアクセスするか、権限にアクセスできるかという内容との見合いになります。そうすると有識者会議が「どこまで政策に影響していたのか」ということにもなり、昔はその批判もありました。「結論がほぼ決まっているような有識者会議など、あってないようなものだ」という。
中川)有識者会議が形式的すぎるという批判がある一方、今回の件で「その人たちは重要だからセキュリティ・クリアランスを付与する」となってしまうと、話として軽いのか重いのか、矛盾した議論になりますよね。
今回の問題にセキュリティ・クリアランスを絡めることは違う
中川)そもそもセキュリティ・クリアランスは機微な情報にどれだけアクセスできるかという話なので、定義する側はアクセスする方ではないと思います。今回の問題にバズワードとしてセキュリティ・クリアランスが絡んでくるのは、少し違う気がします。中国側の意図を分析しても、「国家電網公司」は外事工作を行うような機関ではありません。「統一戦線工作部」のロゴなどが入っていたら大変だと思いますが、あくまでも国際的なところも買収するような国営企業なので、その辺りはお門違いかなという気がします。
外資企業の影響は恒常的にチェックするべき
飯田)他方で有事の際、電力網などに海外の影響があると、「一気に停電になるのではないか」と心配する人もいます。
中川)その辺りはファーウェイの問題でもあったように、技術的なバックボーンを捉えると怖いですし、その通りだと思います。今回のロゴ問題とは別に、緊急時・平時を含めて恒常的に外資の影響が「どうなのか」をチェックするべきだと思います。
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