政権中枢「123万円より上げてもいい」発足4か月ですでに「石破さんで参院選は戦えない」との声も…。“政権の将来を左右する”2月を迎える石破内閣 2025年1月最新世論調査解説
日テレNEWS NNN / 2025年1月25日 0時5分
石破内閣の発足から4か月、自民党内からはすでに「石破さんでは選挙は戦えない」との声も…。“103万円の壁”の引き上げについては、国民民主党が「簡単に妥協するつもりはない」と強気な姿勢を続けるなか、政権中枢は「与党案の123万円よりは、もう少し上げてもいいと思っている」と発言。その一方で、国民民主党以外との連携を模索する動きも…。最新の世論調査を日本テレビ政治部の竹内デスクと菅原解説委員の同期コンビが徹底解説します。
石破内閣支持率 “横ばい”も40%台回復
【竹内】
1月の世論調査で、石破内閣の支持率は、ほぼ“横ばい”で40%でした。前回と比べて1ポイント上がり、40%台を2か月ぶりに回復したという結果でした。
【菅原】
年末年始を挟んでいますから、そもそも評価されるような動きがなかったという感じでしょうか。
【竹内】
そうですね。石破首相自身も周辺に「良くも悪くもない。上がる要素も無かった」と話しているということです。自民党の重鎮も「世論調査は各社“横ばい”だから、まあこんなもんなんじゃないか。とりあえず国会が始まってみて様子見だ」と言っていました。一方、首相の側近は「40%あればありがたい。参議院選挙まではなんとか“横ばい”をキープできればありがたい」と。
【菅原】
40%台を、そんなに滑らかにキープできるかというと、…ちょっと難しそうですね。通常国会も召集されて、野党との論戦が本格化すると、“政治とカネ”の問題もまた追及されるでしょうから。
【竹内】
政権中枢のなかには「都議会自民党の不記載問題は大きなダメージにならないのでは」と楽観的な人もいたのですが、この問題について私は、自民党や政権のイメージが悪くなるという意味で、1発KOのようなダメージにはならなくても、じわじわとボディーブローのように効いてくるのではないかと思います。
【菅原】
この手のものは、一歩対応を間違えると、あっという間に転覆しがちですよね。一方、政策面でいうと、石破首相の説明の仕方は、評価されている面もありそうですよね。
【竹内】
去年12月の臨時国会でも評価はありましたし、首相の側近も「予算委員会で総理の答弁は安定感が際立つだろう」と言っています。自信があるんですね、やはり。とはいえ、この側近も「あくまでも予期せぬことが起こらなければですが…」と話していました。
【菅原】
これまで予算委員会で、スキャンダルなどが出なかったことの方が少ないですよね。いつも“予期せぬ何か”が出てきますから。
【竹内】
まあ、何もなく、そのまま順調に行くということはなかなかないですよね。
“103万円の壁” はいくらまで引き上げる?
【菅原】
政策でいうと、年明けも引き続き“103万の壁”の引き上げが注目されていますよね。
【竹内】
与党案として123万円まで引き上げる案が出されました。これについて世論調査でも聞いてみました。最も多かったのは「さらに引き上げるべき」で54%でした。与党案の「123万円が妥当だ」というのが28%。「103万円のままでよい」と答えた人は、11%しかいませんでした。
【菅原】
先月の調査では、“103万円の壁”見直しについて、「財源も考慮した方がいい」という回答が多かったですよね。
【竹内】
その傾向は変わりませんでした。前回も60%を超えていましたけれど(66%)、今回も「財源を考慮して引き上げ幅を決めるべき」が65%でしたから、ほぼ同じですね。
【菅原】
巷間、140万円とか150万円が落とし所とも言われていますけれど、見通しとしてはどうですか。
【竹内】
実は、取材をしてみると、やはり、123万円が“最終的な結論”なわけではなさそうです。政権中枢も「与党案の123万円よりは、もう少し上げてもいいと思っている」と打ち明けています。とはいえ、国民民主党の178万円はちょっと厳しいという声も多いんです。与党の議員や政府の関係者からは「(国民民主党も)178万円までは無理やり上げろとか、財源に穴をあけてもいいというわけじゃないだろう」という、願望のような声も上がっています。
【菅原】
“毎年、必ず”の支出になりますからね。税収の上振れが今後毎年続くかはわからないですし、恒久財源の手当をしておかなければならないとなると、ちょっと難しいですよね。
“かたくな”な国民民主党に、自民党は“別のパートナー”探しも…?
【竹内】
ところが、国民民主党の幹部、玉木代表もそうですが、結構、強気です。口をそろえて「簡単に妥協するつもりはない」と。
【菅原】
民意の反映ということを考えると、立場もわかりますが、あまりそれをかたくなにやり過ぎると、今度は自民党が他の政党との連携を考え始めるということも…。
【竹内】
そうなんです。自民党内からは「国民民主党だって、ちゃんと財源を説明しないとダメじゃないか」とか、「もはや国民民主党には不信感を持ってしまう」といった声もあがっています。
【菅原】
今のところ自民党が別の党と連携するとなると、日本維新の会ですよね。
【竹内】
そうですね。それがわかりやすいですよね。ある自民党幹部も「協力を得るなら維新の可能性が高いかもしれない」と明かしました。維新は“教育の無償化”を主張していますが、いわゆる103万円の壁を国民民主党の主張通り178万円まで上げると、7兆円から8兆円ぐらいの財源が必要といわれているのに対し、維新が主張する“高校の無償化”の場合は6000億円から7000億円くらいと言われています。
【菅原】
維新の方が財源的にも協力はしやすいということですね。
【竹内】
そういうことになります。けれども、単純に何でも野党の言い分を聞いて妥協すればいいというわけではなくて、政府関係者からは「あまりに節操なく野党の言い分だけ聞いて妥協していたら、それは支持につながらない」という冷静な指摘も出ているんです。首相側近も「野党に譲るだけではなくて、熟議を重ねていく必要がある」と話しています。これは大事なポイントですよね。
「石破さんで参議院選挙は戦えない」発足わずか4か月で党内からは不安の声も…
【菅原】
ただ、“熟議の国会”というところでいうと、野党の協力を得て補正予算を成立させた時も、政権の支持率があがったかというと、そうでもありませんでした。
【竹内】
そうなんです。あの時は石破首相の手柄というよりは、国民民主党の手柄のように見えてしまい、国民民主党の支持率はすごく上がった半面、石破首相のポイントにはならなかった。実際、今回の調査で「石破首相が政権運営で指導力を発揮できると思いますか」と聞いたところ、これが厳しくて、「指導力を発揮できると思わない」と答えた人が64%だったんです。これは世論だけではなくて、与党の中も同じで、自民党の議員からは「私も石破総理が指導力を発揮できるとは思わない」とか、「石破さんで参議院選挙はやりたくない」、「とても今のままでは石破さんで参議院選挙は戦えない」という声も…。
【菅原】
「○○総理では選挙が戦えない」は、もう政権末期フレーズとしておなじみになりましたよね。
【竹内】
そうなんです。まだ発足して4か月ぐらいなんですけれども…。なかには、「石破さん自ら決断してくれるといいんだけど」ということまで言う人もいます。要は、石破首相を辞めさせるのではなく、「自分で辞めてくれないかな」ということです。
2月は“石破政権の将来を左右する月”
【菅原】
今年は都議選も参院選もありますから、余計そういう気持ちになるということは分かりますが…。まずは、国会でどれだけポイントを上げられるか、もしくは下げてしまうかというところかと思います。国会のポイントはどのように見ていますか?
【竹内】
オーソドックスな見方ですけれど、やはり、予算委員会がポイントになると思います。予算委員会では、政府の金の使い道を決める、予算案の審議が行われるわけです。これが成立しないと、すべてが動き出しません。安定している政府与党の政権でしたら、3月中には可決・成立して、年度内成立を目指します。新しい年度が始まる4月から、スムーズにお金が動き出ようにするためです。しかし、今は少数与党なので、かなり厳しくなるのではないかと思います。まずは、衆議院で2月の下旬に、予算案の採決をスムーズに可決できるかどうかというのが、大きなポイントになると思います。
【菅原】
もう一つ、外交ですが、ちょうどその2月、まさに予算委員会の審議が忙しい時に、トランプ大統領との会談を調整するという話もあります。
【竹内】
今、日程が徐々に詰まりつつあると思いますが、予算が内政の大きなポイントだとすると、外交のポイントは日米関係ですよね。ですから、トランプ大統領との間で、しっかり信頼関係を築けるかどうかというのは、大きなポイントになると思います。
【菅原】
ただ、今回の世論調査では厳しい結果でしたよね。
【竹内】
石破首相はトランプ大統領と信頼関係を築けると思いますかと聞いたところ、「思わない」が、66%でした。ただ、永田町には逆の見方もあって、「期待値が高くないので、もし、トランプ大統領との関係で成果が出れば、それは逆に評価される可能性があるんじゃないか」と。
【菅原】
なるほど。それが緩いと言われるのか…。ハードルを下げている発言なのかもしれないですけれど…。
【竹内】
そうですね。内政最大の課題と言っていい予算案の審議と、外交の最大の課題である日米関係。2つの大きな課題に取り組むことになる2月は、まさに“石破政権の将来を左右する月”になると思います。
(日本テレビ 政治部デスク 竹内真 解説委員 菅原薫)
■NNN・読売新聞世論調査
1月17日から19日
全国有権者に電話調査
固定電話 408人
回答率 54%
携帯電話 607人
回答率 33%
合計1015人が回答
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