沖縄は暦通りのムーチービーサ この寒さ、いつまで 13日成人の日は今季最低気温になるかも

 

　沖縄では寒さの季語に“ムーチービーサ”という言葉があります。ムーチー（カーサムーチー、鬼餅とも呼ばれます）の日といって、月桃の葉で包んで蒸した餅を旧暦の12月8日にお供えをし、家族の健康を祈願します。沖縄では昔からこの頃の寒さを昔からムーチービーサと表現しています。

　ことしのムーチーは1月7日。今週の沖縄本島の最低気温は10℃から13℃台と、平年の気温よりも2℃以上低く、まさに暦通りのムーチービーサとなりました。

　沖縄で最低気温が10℃を下回るような寒さのとき、宮古島などではあまりの寒さに魚が仮死状態となる現象が見られます。普段暖かい海で生活している沖縄の魚にとっても動けなくなるようです。

早くも桜開花の便り

　1月5日に那覇で、6日には宮古島で、それぞれ平年よりも11日早くカンヒザクラ(ヒカンザクラ)の開花の発表がありました。

　気象台の開花は“標本木”という観測の基準にしている木があります。その木が5～6輪咲いた日を開花日としています。

　那覇の開花日に標本木を見てきました。寒空の中で花を咲かせている様子が確認できました。冬でも暖かい沖縄は、ある程度の寒さを経験して桜が咲きますが、昨年12月の冷え込みが桜の開花を早めたと考えられます。

2024年の平均気温は過去最高に

　先日、沖縄気象台より、2024年の沖縄地方の地域平均気温平年差は＋1.0℃となり、1946年以降で最も高くなったと発表がありました。

　また、沖縄周辺海域の海面水温平年差（速報値）は、東シナ海南部（＋0.85℃）と先島諸島周辺（＋0.84℃）は1901年以降で、沖縄の東（＋1.17℃）は1911年以降で、それぞれ最も高くなりました。

　この記録的な高温の主な要因は、年間を通じて暖かい空気に覆われやすかったためです。また、沖縄周辺海域の海面水温が7月以降高かったことも寄与した可能性があります。さらに背景として、春まで続いたエルニーニョ現象が地球規模での中緯度帯の高温の持続につながったことに加え、地球温暖化が影響したことが考えられます。

16日ごろ再び寒波到来

　1月26日(日)にかけての那覇の天気と気温の予想を見てみましょう。15日(水)ごろは、前線や湿った空気の影響で雨が強まる可能性があります。その後17日(金)以降は、今のところ概ね晴れる日が続くでしょう。

　この時期は、周期的に強い寒気が流れ込んでおり、16日(木)ごろは、最低気温11℃前後、最高気温16℃前後で、沖縄特有の“風冷え”を伴う寒さが続きますので、風を通しにくい服装選びなど、沖縄ならではの防寒対策で寒さを乗り越えていきましょう。

成人の日は晴れ予想　撮影日和

　11日(土)は、大陸から張り出している寒気の影響で厚めの雲が広がりそうです。霧雨がぱらつくことがあるかもしれません。

　12日(日)は冬型の気圧配置が弱まるため、県内各地で日差しが戻る見込みです。成人の日の式典に参加される新成人の皆さんは、シャッターチャンスを逃さないようにしてください。13日(月)の成人の日は、沖縄本島地方では晴れる時間が長く、晴れ着が青空に映えそうです。宮古島地方、八重山地方、大東島地方でも雲の切れ間から太陽が出る時間があるでしょう。

　最低気温は、13日(月)の成人の日に向かって日ごとに低くなり、沖縄本島地方や大東島地方では13日(月)11℃前後、宮古島地方や石垣島地方は13℃台の予想で、今季の最低気温を更新するような寒さとなりそうです。沖縄では慣れない寒さが続いています。寒さに負けないように十分な睡眠や食事を取ることなども意識していきたいものです。

崎濱綾子
気象予報士/防災士（株式会社ウェザーマップ）
　沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005～2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月～金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風（カーチーベー）。