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shallm、セカンド・ライブのオフィシャルレポートが到着

OKMusic / 2024年3月11日 19時0分

写真

(okmusic UP's)

自ら作詞作曲を手がけるボーカリストliaによるバンドプロジェクト、shallmの2ndワンマンライブ『アイオライト』が3月10日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催された。

■【大宮陽和 ※OPENING ACT】

アコギを抱えて最初に登場したのは、この日のオープニングアクトを務める長崎県出身のシンガーソングライター大宮陽和。大ぶりのギターをザクザクとかき鳴らし、ノイズ混じりのサウンドを放ちながらまずは「東京noisy」でライブをスタート。フロアをまっすぐ見据えながら、振り絞るように歌い上げる姿が印象的だ。

「私は九州の端っこにある田舎に住んでいて、学生時代はたくさん辛いこともあったんですけど、朝見る真っ白な空や海に救われてきました。次に歌うのは、青春という“もう帰ってはこない”そんな瞬間を歌った曲です」

そう言って演奏したのは、昨年1月にリリースされた1stデジタルEP『酸いも甘いも青も春も』より「真白の空」。メランコリックなメロディに乗せて、〈今日という日は永遠に戻ってこない〉〈青春なんて一瞬で終わってしまう〉と歌うストレートな歌詞が心を射抜く。

そして、最後は「リゼントメント」。手のひらで弦をミュートしながら弱めのストロークでしっとりと始まったかと思いきや、一転して全身の力を込め叩きつけるようにアコギをかきむしる。〈冷たい身体の中に燃えるような怒り〉〈君が悪魔なら僕は天使だ/君が天使なら僕は悪魔だ〉と、自らの内側にあるアンビバレントな感情を吐き出すように歌い、感極まった彼女はステージに跪きながらなおも演奏を続ける。そして力尽きたようにそのままステージに倒れ込むと、フロアからは大歓声が巻き起こった。

■【紫 今】

客電が落ち会場に暗闇が広がる中、アカペラでサビを丸々歌いオーディエンスを圧倒したのは今年メジャーデビューを果たしたゲストアクトの紫 今(ムラサキイマ)。サポートメンバーの大輝(Dr)、わちゅ〜こと綿引裕太(Ba)を従え、昨年5月にリリースした1st EP『Gallery』から「酔い夏」を披露。終わりゆく夏の刹那的な恋を歌ったスリリングな歌詞や、日本語に新たなグルーヴを与えるフロウ、そして何より紫 今の持つ類稀なるボーカルに耳を奪われる。ハスキー気味のソウルフルなその歌声は、キラキラとした倍音を多分に含み、燃えるようなパッションをパワフルに歌い上げたかと思えば、言葉に表し尽くせない心の機微をファルセットで包み込む。

スリリングなベースラインに導かれ、エッジの効いたギターが宙を切り裂いたのは「Not Queen」。〈別に私はハーレイじゃない〉〈別に私はQueen Bじゃない〉と歌われる歌詞には、「お仕着せの強い女性像なんて演じる必要はない」という、紫 今のメッセージが込められている。この日がライブ初披露となった「青と棘」は、4naと紫 今によるコラボレーションユニット「KOYOINY」が昨年4月にリリースしたR&Bナンバー。さらにネオソウル的なアプローチが印象的な「夢遊病」、〈私ただのfollower 元恋人じゃない 友達ですらない〉と歌われる「Soap Flower」を間髪入れずにたたみかけた。

「本日はshallmさんのワンマンライブに呼んでいただき本当に嬉しいです。みなさん、時間を作って観にきてくれてありがとうございます」と、ここで改めて挨拶する紫 今。「実はさっき楽屋でshallmさんとお会いして、liaさんが私の古参ファンだった事実が発覚したんですよ。私が高校生の時にアップしていた弾き語りの動画の時から見てくださっていたらしくて。そんなご縁もあり、今日こうしてステージに立てていることを嬉しく思います」

liaとの意外なつながりを明かした後、TVアニメ『青の祓魔師 島根啓明結社篇』のエンディングテーマにも起用されたバラード「学級日誌」を披露。曲の中盤でゴスペル的な展開を挟むなど、サイケデリックかつプログレッシブなアレンジにも唸らされる。間髪入れず「無言電話」に繋ぎ、まるで昭和のダンスホールを思わせる「ゴールデンタイム」でフロアを暖める。さらに、緩急自在なリズムがドラマティックな「フラットライン」と、とびきりのダンスチューンを投入し、最後は「凡人様」を全員でシンガロング。会場を高揚感と一体感で満たし、shallmへバトンをわたした。

■【shallm】

バンドメンバーのゆうこりんこと石川裕大(Gt)、のぞのぞこと北村望(Dr)、あさちゃんこと浅倉高昭(Ba)そしてバンマスのえなっちこと鈴木栄奈(Key)が、お揃いの白いシャツを纏いステージに登場。遅れてlia(Vo)が姿を現し、「お久しぶりです、shallmです!」と短く挨拶をすると、ヒリヒリとしたギターフレーズに導かれてまずは「stardust」からshallmのステージが始まった。歪みまくったベースがダイナミックなドラムの上でドライブし、まるで1990年代のミクスチャーロックを彷彿とさせる鉄壁のアンサンブルが、声の限りにシャウトするliaのボーカルを引き立てる。冒頭から飛ばしまくる5人に煽られ、着席スタイルのフロアも気づけば総立ちとなっていた。

「shallmが恵比寿LIQUIDROOMに来たよー!」

元気いっぱいに叫ぶlia。「広くてもう緊張してます。今日は来てくれてありがとうございます」と改めて感謝を述べる。

「今日のライブタイトルにもなった宝石アイオライトには、『自分の人生を進むべき道へと導く』という意味の石言葉があります。今日ゲストで出演してくださったお二人は、私にすごく大きな影響を与えてくれたし、きっとみなさんのこれからの人生にも、大きな影響を与えてくれる力があると思っています」と、大宮陽和と紫 今にリスペクトを示した。

切れ味鋭いナイフのようなギターカッティングから始まる「メーベル」は、ボカロPのバルーンこと須田景凪のカバー。ボカロ曲の特徴でもある、突拍子もない譜割や飛躍するメロディラインをハイトーンボイスで歌いこなしていくlia。続く「ハイドレンジアブルー」は軽やかなリズムの上で、ウィスパーボイスとシャウトを行き来しながら強烈なコントラストを描き出す。

昨年12月にリリースした「白魔」は、地声とファルセットを巧みに使い分け、切実なメッセージを訴えるミドルチューンだ。独特のフロウでグルーヴ感を生み出していくliaの歌に合わせ、キメやブレイクを随所に散りばめながら有機的なアンサンブルを展開するバンドメンバーたち。その「音の塊」は、まるで巨大な生き物のようにさえ感じる。

透き通ったハイトーンボイスが、どこかオリエンタルなメロディを優しくなぞる。〈いつから狂い出したんだ 気付いた時はもう終わりない悪夢の中〉と、長引くコロナや世界のあちこちで起きている争いに思いを馳せたようなメッセージ性の高い歌詞が、美しいメロディと共に心に深く突き刺さる。ロングトーンを多用したたおやかなトップラインと、その下で激しく動き回るリズム隊は、大きな矛盾を抱えたこの世界の複雑な状況を音像化しているようにさえ感じる。

「次の曲は、今の自分の道を示してくれた人たちに向けて書いた曲です。みなさんには、自分を形作ってくれた人はいるでしょうか。それは友だちだったり恋人だったり家族だったり、あるいは会ったこともない有名人、アーティストだったりするかもしれません。ぜひ、みなさんの中にいる、あなたを形作った大切な人のことを思い浮かべながら聴いてください」

そう言って演奏されたのは、この日リリースされた新曲「花便り」。ライブタイトル『アイオライト』の石言葉にちなみ、今日のステージで披露するために書き下ろしたミドルバラードだ。ファルセットで歌われるシンプルだが力強いメロディと、それを支えるオーガニックなバンドサウンドが心のひだにしみわたる。

軽やかなリズムに乗せ、溢れる思いをギュッと封じ込めたような「短夜の星」、さまざまなビートを緩急自在に叩きまくるドラムに、フロアから自然発生的なハンドクラップが巻き起こった「if 1/2」を経て、ハチこと米津玄師「マトリョシカ」のエキゾティックでハードコアなカバーにフロアは阿鼻叫喚。かと思えば、TVドラマ『女子高生、僧になる。』オープニング主題歌「センチメンタル☆ラッキーガール」は、shallm流のシティポップともいうべき洗練されたコード進行とダンサブルなビートに自然と体が動き出した。

ソリッドなギターやサビの唐突な転調が中毒的な魅力を放つ「脳内ディストーション」から、TVアニメ『姫様“拷問”の時間です』オープニングテーマ「まっさかさマジック!」でフロアが揺れるほどジャンプし本編は終了。鳴り止まぬアンコールに応えて再登場した5人は、どこかアイリッシュ〜ケルト民謡を彷彿とさせる雄大な美波のカバー曲「ライラック」を披露した。

「私、このLIQUIDROOMのステージを、ずっとお客さんとして観てきました。だから今日はすごく緊張していますし、ここに立ててすごく嬉しいです。ありがとうございます」と改めて感謝の言葉を述べたlia。「私の憧れている人や同じ事務所の人たちは、みんなすごく尊敬している大好きなアーティストさんたちばかり。自分がうまくいっていないときは、『いいなあ』とか、『私は何をしてるんだろう』とか、すごくネガティブに考えちゃって……」と、心のうちを吐露し泣き崩れてしまう。

「shallmが始動してから、楽しいことや嬉しいこともありましたが、悲しくて苦しい2年でもありました。でも、こんなにたくさんの人に聴いてもらえてすごく嬉しいです。最近も不安なときがありますが、今日のことを思い出せば、きっとこれからも(自分を)信じていけそうな気がします。ありがとうございます」と涙ながらに挨拶をすると、会場からは温かい拍手と大きな声援が起きた。

そして、shallmにとって初のオリジナル曲であり、前回のワンマンでは冒頭に披露した「夢幻ホログラム」を演奏。「大勢の前で泣くような恥ずかしいやつですけど、これからどこへ行ってもみなさん着いてきてください」と改めてオーディエンスに語りかけ、この日のライブに幕を閉じた。

〈もしも明日で私の命が終わったとしても 貴方に出会えたこの星でまた花を咲かそう〉
〈いつか貴方が消えた私を悲しんだとしても それでもこの花が同じようにまた春をくれる〉

思えば新曲「花便り」は、誰かから受け取った大切な何かを、また別の誰かへとバトンのように渡していく、そんなliaの死生観、もしくはクリエイティブへの姿勢を表す歌だった。「道を指し示す」という石言葉を持つ宝石「アイオライト」をタイトルに掲げ、大宮陽和、紫 今という自分を形作った2人のアーティストをゲストに招いたこの日のライブは、それ自体がliaからオーディエンスへ向けたメッセージともいえる。きっとここから何かを受け取ったオーディエンスが、いつかどこかで美しい花を咲かせるかもしれないのだ。

セカンド・ライブ「shallm 2nd Live - アイオライト -」も大盛況で幕を閉じ、「花便り」Music Videoも公開し、Digital Singleが6ヶ月連続リリースすることも決定し、勢いにのるshallmに目が離せない。

photo by 星野耕作
text by 黒田隆憲

【セットリスト】
■大宮陽和 ※OPENING ACT
M1:東京noisy
M2:404
M3:真白の空
M4:リゼントメント
■紫 今(ムラサキイマ)
M1:酔い夏
M2:エーミール
M3:Not Queen
M4:青と棘
M5:夢遊病
M6:Soap Flower
M7:学級日誌
M8:無言電話
M9:ゴールデンタイム
M10:フラットライン
M11:凡人様
■shallm
M1:stardust
M2:メーベル (cover)
M3:ハイドレンジアブルー
M4:白魔
M5:境界戦
M6:花便り
M7:短夜の星
M8:if 1/2
M9:マトリョシカ (cover)
M10:センチメンタル☆ラッキーガール
M11:脳内ディストーション
M12:まっさかさマジック!
<ENCORE>
EN1:ライラック (cover)
EN2:夢幻ホログラム

配信シングル「花便り」

2024年3月10日(日)配信



https://shallm.lnk.to/hanadayoriPR

歌詞:https://www.uta-net.com/song/351164/


配信シングル「if 1/2」

2024年4月10日(水)配信



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