アメリカ海軍 新型コロナウイルスでスケジュールが遅延した艦船補修に予備役兵を招集
おたくま経済新聞 / 2020年6月14日 15時0分
ノーフォーク海軍造船所で空母ジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)の補修を行なう海軍兵(Image:U.S.Navy)
アメリカ海軍は2020年6月10日(アメリカ東部時間)、艦船補修業務のため予備役兵1629名を招集すると発表しました。招集された予備役兵は7月から4か所の海軍工廠に配属され、新型コロナウイルスの影響でスケジュールが遅延している艦船補修業務を手伝います。
アメリカ海軍では2005年に、時期によって業務量に差があり波動性の高い艦船補修部門を対象に、必要な時に海軍と契約し造船所の業務をサポートするための予備役プログラム「サージメイン(SurgeMain=Surge Maintenance)」を設けました。現在では75のユニットに、2200名の下士官兵と240名の士官が登録されています。
4つの海軍工廠(かいぐんこうしょう)をはじめ、サージメイン・プログラムなどを統括する海洋システム・コマンド(NAVSEA)では、新型コロナウイルスの感染拡大が明らかになった2020年3月から、アメリカ疾病対策センター(CDC)が「感染高リスク群」と区分した海軍工廠での業務を中止し、自宅待機を認める決定をしました。この影響で、勤務者の最大25%が業務を実施できず、予定されていた艦船補修が遅れる結果に。
海軍としてはドックで補修している艦船を減らし、戦力を維持する必要があります。このため、艦船補修に従事する予備役兵の招集を決定したのでした。
サージメインに登録されている予備役の要員は、それぞれ電機、機械、板金加工など造船に必要な技術や管理に関するノウハウを持った熟練工。派遣された造船所で、すぐに働くことができます。しかし、これほど多くの人数を招集するのは、サージメインの制度が始まって初めてのこと。
サージメインの国内プログラム・ディレクタ、マイケル・P・マクレラン大佐は「我々の兵たちは電気工事士や配管工、板金工、油圧システムの技術者に機械工、溶接工など様々な職種で豊富な経験を有しており、しかも多くの場合、派遣先の造船所で働いた経験があるため、すぐに職場になじむことができます」と、サージメインの予備役兵を評しています。
招集されたサージメインの予備役兵は、2020年9月までに1629名を4か所の海軍工廠へ段階的に配置されます。その内訳は、メイン州のポーツマス海軍造船所に267名、バージニア州のノーフォーク海軍造船所に486名、ワシントン州のピュージェット・サウンド海軍造船所とその中間補修施設に676名、そしてハワイのパールハーバー海軍造船所とその中間補修施設に200名。
海軍海洋システム・コマンド司令官のトム・ムーア中将は「招集と配置については、細心の注意を払いました。すでに船舶補修や造船の現場で働いている者は除外し、過去に勤務経験がある海軍工廠を優先し、それぞれ快適に働けるよう人数配分をしています」と、今回の招集および配属に関するプロセスについてコメントしてます。
配属先の決定については、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、国防総省の定めた渡航制限と手順に従い、最も近い場所が選定されました。予備役兵は、新型コロナウイルスの感染を防ぐため、ソーシャルディスタンシング(適切な対人間隔の確保)に留意し、またマスクやフェイスシールドといった個人用防護具(PPE)を着用して業務にあたるといいます。
マクレラン大佐は「今回の招集により、海軍工廠で働く人々と予備役コミュニティとのパートナーシップが強化され、臨戦態勢の整った艦船をいち早く艦隊へ戻す一助になってくれるでしょう」と、予備役兵招集に関する今後の展望についてコメントしています。
<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)
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