ロシアでの国際調理兵コンテスト 平和でおいしい真剣勝負が展開
おたくま経済新聞 / 2020年8月28日 17時20分
「フィールドキッチン2020」第2ステージで作られた冷製オードブル(Image:ロシア国防省)
ロシアで開催されている軍人たちの国際競技会「国際アーミーゲーム」で、もっとも平和な競技とされる調理兵たちの「フィールドキッチン」。地元ロシアを含む6か国から集まった調理兵のチームが、日頃から磨いた料理の腕を野戦炊事具を駆使して競います。競技の第2ステージでは、冷製オードブルとパンづくりの技能が審査されました。
毎年夏にロシアで開催されている、軍人たちの競技会「国際アーミーゲーム」。戦車による「戦車バイアスロン」をはじめ、各兵科の兵士たちが、訓練で磨き上げた戦技をスポーツの形で競う国際大会です。
その中でも、後方職種の調理兵たちが競いあう「フィールドキッチン」競技は、もっとも戦闘行為から縁遠い平和な戦い。しかし、ただの料理コンテストではなく、軍の装備である野外炊事具を使って調理をするので、やはり軍人たちの競技らしさが残ります。
今回「フィールドキッチン」に参加したのは、地元ロシアのほか、アブハジア、アルメニア、ウズベキスタン、ベトナム、ベラルーシの計6か国。ロシア側が提供する野外炊事装備、PCB-4(移動式キッチン車両)、KP-130(トレーラー式野外炊事具)、PP-40(可搬式オーブンコンロ)、KP-20(可搬式炊事具)を駆使して競技します。
第1ステージは兵士の本分である射撃競技。100m離れたターゲットに向かい、3射の試射をしたのち、3射して得点を競います。1位となったのはベラルーシで110ポイント。2位にロシアが107ポイントで続き、ベトナムが101ポイントで3位となりました。
本格的な調理兵の戦いが始まる第2ステージ。課題は2種類あり、冷製オードブルとコンポートを10人分調理することと、パンを焼く技能を示すためバラエティに富んだパンづくりが審査されました。
競技に使われる野外炊事装備は、参加各国の調理兵にとっても使い慣れたもの。通常の野戦調理と同様、テント内に設けられたキッチンでは、材料の下ごしらえが始まります。
審査員は調理をする際の動きにも目を光らせます。あくまでも軍人が兵のため、戦場で食事を提供する技能を審査するので、食材を贅沢に使わないなど、通常の料理コンテストとは微妙に審査基準が違うのかもしれません。
およそ4時間かけて、各チームとも10人分の料理が完成。審査会場で盛り付け、分量(各皿で偏りがないか)、そして味について、出場国から選ばれた審査員によって厳正な審査が行われました。
パンについても審査が実施されます。こちらもパンの大きさが揃っているか、出来ばえに差がないか、時には重量を量って厳密に確認。もちろん、味わいも重要な審査項目です。
審査の結果、第2ステージで1位となったのはロシアで1328.5ポイント。ウズベキスタンが1139.7ポイントで2位に入り、1139.5ポイントを獲得したアルメニアが3位となりました。2位と3位の差はわずか0.2ポイント。いかに僅差の戦いが繰り広げられているかが分かります。
調理兵による「フィールドキッチン」最終ステージとなる第3ステージは、課題に沿ったパンを焼き上げる能力が競われます。野外炊具を使いこなし、調理兵のトップに輝くのはどの国でしょうか。
<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省
(咲村珠樹)
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