すでにPCR検査も3日待ち。風邪症状の人は感染した前提で振舞って
OTONA SALONE / 2022年1月27日 17時1分
豊洲、有明など東京の湾岸エリアで新型コロナ患者への往診を始めた呼吸器・アレルギー専門医、豊洲はるそらクリニック院長の土屋裕医師。
若いファミリー層に人気の同エリアで現在起きていることを聞きました。
トップ画像は、土屋医師がいま自転車での往診に使っている宅配用バッグの中身。
抗原キットが尽きた。もはや風邪症状の人は感染した前提で振舞って
湾岸エリアでも感染者は1月の3連休あけに激増しました。症状そのものは風邪も同然の微熱、のどの痛み、頭痛とごく軽いものの、感染者増加の勢いはデルタ株を上回ります。
「医療機関はどこもキャパを一気に越えました。当院では28日の時点で抗原検査キットが尽きましたし、多くの医療機関でも尽きています。抗原検査ができない分、PCR検査に依頼が殺到しており、結果が判明するまで3日以上、悪くすると7日近くかかっています」
幸い、土屋医師のクリニックは早い段階で自前のPCR機械を導入したため検査は院内で1時間で完了しますが、それでも無限には実施できません。こうしたことを受け、国やいくつかの自治体からは検査なしでも診断可能、市販の検査キットでも診断可能といった話も出てきています。
「本来ならばとんでもない話ですが、現状ではやむを得ないかもしれません。一刻も早い検査体制の拡充が望まれます。理想は早期受診早期診断でしたが、こうなってしまうとお手上げ。風邪症状がある場合、すでに自分は感染していると考えて行動を決めていただくしかありません」
土屋医師が重ねて警鐘を鳴らすのは、やや急に進みつつある制度変更。たとえば診断の面では、年末に抗原検査とPCR検査の保険点数が一気に下がったことが象徴的です。
「コロナをインフルエンザと同様に扱う、いわゆる5類感染症扱いとするための準備なのでしょうが、このように治療薬もなく体制も整っていない現状での5類への引き下げはリスクが高まるいっぽうです。保健所はパンクを逃れるかもしれませんが、人員的にも経済的にも医療機関の負荷は相当上がります」
重症者は出ないと言われているが、ワクチンブースター接種は必須
軽症で経過する点だけが話題になりがちなオミクロン株ですが、感染者激増に伴い高齢者の肺炎は増加の一途です。
「近隣の大学病院の病床はすでに高齢者でいっぱい、逼迫寸前だそうです。幸いにしてまだ重症者は出ていないものの、高齢者の肺炎は着実に増えています。コロナは風邪だという議論もありますが、仮に合併症のある高齢者だとしても、ぼくは風邪で直接亡くなる方を見たことがない。でもコロナはコロナを原因として亡くなります。どれだけ軽症で経過できたとしても、やはり普通の風邪ではないんです」
いま私たちが迷うのは3回目のワクチン接種と、子どものワクチン接種です。でも、普通の風邪ではないと聞くと、やはり必須なのですね。
「新型コロナウイルスの治療薬がいくつか登場してきましたが、現在のところ感染を予防できる手段はマスク・手洗い・密を避けるなど日頃の行動に気をつけること、ワクチン接種の二つだけです。重症化リスクを減らす点で見ても、現状まだまだ治療薬よりワクチンの方が優れています」
さらにこの先どんな変異株が登場するのかはまだわからないため、3回目のワクチンはぜひ接種してほしいと土屋医師は訴えます。
「アメリカではオミクロン株による10歳未満の子どもの入院数増加が報告されていますし、現在お子さんからの高齢者への家庭内感染も目立ってきています。可能ならお子さんの接種も行ってください。明らかにインフルエンザでも風邪でもなく、特効薬などない新型コロナウイルスには、現在のところワクチンしか有効な対策がないのです」
お話 医療法人長生会 豊洲はるそらファミリークリニック
院長 土屋裕先生
医学博士、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医、日本医師会認定産業医。
「2020年4月に開業したときには新型コロナがまさに流行り始め、呼吸器内科を標榜しての開業が危ぶまれました。しかし呼吸器内科医として逆にこういう時こそ新型コロナに立ち向かわなければいけないと奮起し、開業と同時に発熱外来を立ち上げ、都内で2番目の新型コロナPCR検査を公費でできるクリニックに承認され、新型コロナワクチンも基本型施設となり地域の中核として接種してきました。コロナ診療以外もアレルギー、咳や喘息、肺炎の患者さん、生活習慣病の患者さんが日々多く来院され、スタッフ全員春風のような優しい笑顔をモットーに診療にあたっています」
東京都江東区豊洲4-10-18 プライヴブルー東京1階
03-6211-0833
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