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令和も平安も、女は男よりもたくましい!?愛する人と離れようが、新しい生き方を歩む「ブレない心」はどこから?【NHK大河『光る君へ』#45】

OTONA SALONE / 2024年11月26日 22時30分

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第45話が11月24日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

 

それぞれのはばたき

世の中は年長者が若い人にその場をゆずることでまわっています。バトンを引き継いだ者は不安を覚えますが、年長者に導かれながら少しずつ成長し、いつかは独り立ちするものです。本放送では、晩年を迎えた親たちと次世代を担う若者たちの不安や期待が描かれていました。

 

 

越後弁として新たな道をすすむ賢子

賢子(南沙良)は彰子(見上愛)に女房として仕えることを自ら決めます。かつて、賢子はまひろ(吉高由里子)が仕事で家を空けてばかりいることに不満を覚えていましたが、母を敬う娘に成長し、母と同じ道へ。

 

賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

まひろは賢子とともに内裏に出向き彰子への挨拶を終えたあと、光る君への原稿を娘に見せます。

 

まひろ(吉高由里子) 賢子(南沙良) 彰子(見上愛) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

賢子(南沙良) まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

光る君への物語原稿 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

まひろは「母のしてきたことよ」「これを あなたに託します」と、賢子に伝えました。賢子は原稿を母から渡されるとその重さを体感します。賢子は重量としての重さだけではなく、母がこれまで取り組んできたことの重さをずっしりと感じている様子でした。

 

幼い頃は母のように外で働くのではなく、屋敷にいることで家を守れると考えていた賢子。成長するにつれて、屋敷にいるだけでは家を守れないこと、母が自分たちのためにしてきてくれたことのありがたみに気づくようになりました。

 

賢子は家族を愛しているがゆえにまひろとすれ違う時期もありましたが、母親に反抗していた時期も為時(岸谷五朗)やいと(信川清順)を慕っていました。成長した賢子の存在は為時らにとっても心強いでしょう。

 

道長から政を受け継いだ頼通

一方、父親を賢子と同じくする頼通(渡邊圭祐)は、道長(柄本佑)から政を譲り受け、日々奮闘しています。

 

頼通(渡邊圭祐) 道長(柄本佑) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

頼通は右大臣も左大臣も足を引っ張るばかりで支えにならないと不満を漏らし、周囲が自分についてきてくれないことに悩んでいます。

 

道長は政の厳しさは身をもって知っていますが、頼通には常に厳しく応じています。息子から「顕光殿に左大臣を辞めていただきたいのですが どうしたらようございましょうか」と相談を受けたときには、「失態の度 皆の前で左大臣を厳しく難じよ」「そのうち いたたまれなくなって辞めるやもしれぬ」と返します。この返答にとまどう頼通に対し、道長は「それが政だ!」と返します。

 

「それが政だ」という言葉には政の過酷さや上に立つ者に求められる在り方の厳しさがうかがえます。また、道長にとって政とは民を幸せにするものだったはずですが、頂点にのぼりつめた道長にとって政とは何であったのか考えさせられます。

 

道長は頼通には厳しく応じていますが、心許せる行成(渡辺大知)らには息子の力になってほしいと頼み、父親としての不安や愛情を垣間見せていました。

 

道長(柄本佑) 斉信(金田哲) 公任(町田啓太) 行成(渡辺大知) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

宮中では足の引っ張り合い、仲間の裏切りも日常茶判事ですが、50歳をすぎても誰一人欠けることなく、この四人の友情が続いているのは感慨深いですよね。

 

 

新たな生き方を決意したまひろと出家した道長

まひろは賢子が家を支えてくれるようになったことを機に旅に出ることを決めます。家族や道長、彰子のため、そしてこの世での役目を果たすために懸命に走り続けてきたまひろ。自分の役目を終え、物語に描いた場所、さわ(野村麻純)や宣孝(佐々木蔵之介)が暮らした地を訪れてみたいと思い立ちます。旅先で海辺を走るまひろの姿はすべてから解放されたように自由で、軽やかなものでした。

 

旅に出る前、まひろは道長に「これ以上手に入らぬお方のそばにいる意味は 何なのでございましょう」「これで終わりでございます」と告げました。さらに、賢子が道長の娘であることも打ち明けます。

 

道長(柄本佑) まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

 

道長は賢子が我が娘であると知って納得したような表情を見せたものの、まひろが自分のそばから離れようとしていることが何よりもショックだった様子。それでも、まひろは道長の懇願も振り切り、自分の決断を変えることはありません。

 

道長(柄本佑) まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

その後、道長は出家することを決めます。出家の理由は頼通に政を譲るためなのか、それとも倫子(黒木華)が勘ぐっているようにまひろがいなくなったからなのか、その両方なのかははっきりしません。しかし、まひろがいなくなったことが出家の大きな理由であると考えるのは間違いではないでしょう。

 

倫子(黒木華) 大河ドラマ「光る君へ」 45話(11月24日放送)より(C)NHK

 

道長がこの世で生き抜いてこられたのはまひろの存在があるからでした。また、道長はまひろと一緒になることを常に望んでおり、どこか遠くに行こうと誘ったこともありました。

 

「女は男と比べて独力で立つことがむずかしい」「女は感情的、男は理性的」という見方が長らくされてきました。しかし、まひろと道長の関係にもいえるように、男よりも女の方が実際のところ強く、たくましく、情に流されにくいのかもしれません。

 

そもそも、男と女はどちらが強いかどうかという議論はナンセンスであり、男女はお互いに寄りかかり合いながら、社会に同程度の影響を与えながら生きているといえるようにも思います。

 

 

▶つづきの【後編】記事を読む作品の背景を深掘り解説することで、ますますストーリーの理解とおもしさが深まる雑学とお届け。今回は平安時代における「出家」についです__▶▶▶▶▶

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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