【記憶を刻む街、ベルリンを歩く】 死の瀬戸際にあった人々の言葉 ベルリンのホロコースト記念碑
OVO [オーヴォ] / 2024年3月28日 8時0分
おそらくベルリンに来る誰もが一度は足を向けるのが、ホロコーストの記念碑。正式名称は「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」だ。ブランデンブルク門からポツダム広場に向かって歩くとすぐ、コンクリート製の大量の石碑が碁盤の目のように整列する一角が見えてくる。その数は2711基。“整列”はしていても石碑の高さが不規則に異なり、間の通路を歩くとその不規則な波動が伝わってくるような、不安に駆り立てられる。まるでさまざまな大きさのひつぎが並べられているような風景だ。
石碑群の間を迷路に見立てたかのように走り回る子どもたちもいるが、大人でも向こう側が見えない高さの石碑もあり、一瞬「ここから出られるのだろうか?」と思わせる瞬間もある。一言で言えば「整然とした迷路」。文字一つ彫られていないが、規則的に虐殺を進めながら、まるで人間性の“迷路”にはまりこんだようなナチスの恐怖政治と、その犠牲になった人々の無念を想像させる空間を生み出している。
石碑群の下にはホロコーストに関する展示施設がある。ユダヤ人迫害の歴史が年代を追って説明展示され、次の部屋には床にはめ込まれたパネルにさまざまな文章が並んでいる。小さな子供に宛てた手紙、逆に子どもが殺されてしまったと書く手紙、今後の行く末を覚悟する手紙、そしていったい何のために生きているのか、と絶望する手紙。死の瀬戸際にいる人々がつむいだ言葉たちの前で多くの見学者が立ちすくんでいる。迫害されたユダヤ人家族の系譜や、生き残った人々の声を聞くことができるコーナーもある。
この施設も、前回紹介した「テロのトポグラフィー」同様、見学は無料だ。
(text by coco.g)
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