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“日本代表の顔”浦田理恵からバトンをつないだゴールボール代表はパリで金メダルを目指す

パラサポWEB / 2021年12月22日 13時44分

女子日本代表が東京2020パラリンピックで銅メダルに輝いたゴールボール。東京大会では男女ともに若手が著しい成長を見せたが、チームを支えるベテランの姿もあった。女子がロンドン大会で金メダルを獲った立役者であり、“日本代表の顔”浦田理恵。12月11日と12日の2日間にわたって行われた「2021ジャパンパラゴールボール競技大会」は、その浦田の日本代表としての勇姿を見られる最後の機会となった。

郷土の森総合体育館を会場に、無観客で開催されたジャパンパラ競技大会 東京大会の銅メダルを経て

第一試合が終わった後、報道陣の前に現れ、なにかいつもと違う様子の浦田。気持ちを整える意味だったのだろうか、パイプ椅子に座るやアイシェードを外した顔を輪郭に沿って触るようなしぐさを見せた。正面を向くと、今度はいつものように笑顔。そして、自ら「今年度で強化指定選手の活動から引退することを決断しました」と切り出した。

競技歴17年。アテネパラリンピックのニュースを見て競技を始め、北京大会から4大会連続パラリンピックに出場。ロンドン大会では日本代表の司令塔として団体競技初となる金メダルに導き、堅守の日本代表を象徴する存在として長くチームをけん引。東京大会では日本選手団の副主将も務めている。

代表活動からの引退を表明した浦田

その東京パラリンピックでは、チーム一丸となって臨んだ銅メダルマッチで勝利し、見事メダルを手にした。

銅メダルを決めた試合直後、浦田は「序盤から若い選手たちが活躍し、センターの高橋(利恵子)が得点を抑え、ウイングもしっかり得点を取ってくれた。いい流れで最後はしっかりと締められました。日本らしい、いい戦いができたと思っています」と語り、胸を張ったが、まさにこのとき代表のユニフォームを脱ぐ決断をしたという。

浦田はこう説明する。

「1年延期となった東京パラリンピックでメダルを獲ることができ、その瞬間、大会を経てチームがすごく成長していることをうれしく感じました。団体競技ではありますが、日本代表の選考では、自分が必ずコートに立ってやり抜くんだという、個人プレーのような強い気持ちが必要です。仲間の成長をすごくうれしいと思った時点で、私は次にバトンを渡す時期なのかなと思いました」

長年、日本代表をけん引した浦田は最後まで笑顔でコートに上がった

もちろん、2つ目の金メダルに届かなかった悔しさはあるが、代表活動に悔いはない。

「東京大会では、これが今の自分たちの力、チームの力なんだと受け止めることができました。パリ大会に向けて、金メダルとの距離感というのも掴めているし、ここをこう強化したら日本チームはもっと行けると感じられた手ごたえのある大会でした」

現在、44歳。強化指定期間の3月まで代表合宿に参加するが、今後は国内の普及活動に関わったり、学校現場で共生社会実現のための活動をしたりしたいと考えているという。

同年代で14年もの年月を共に戦った市川喬一監督は「彼女なくしては、東京大会の銅メダルはなかった」、「浦田はどんな場面でも弱音を吐かない『沈まぬ太陽』」と表現。涙ではなく、笑顔で第一線を退いた浦田に対し、ジャパンパラ終了後、報道陣からも自然と拍手が沸き、元気で華やかな魅力も併せ持つ浦田のこれからに期待を寄せた。

キャプテン天摩「自分が引っ張る」

バトンを受け継ぐという意味で特別な大会となったジャパンパラ。代表候補メンバーを3チームに分けて総当たり戦を行い、上位2チームが決勝を戦う。代表主要メンバーの欠端瑛子高橋利恵子天摩由貴を擁する日本代表候補Aが順当に勝ち上がり、もうひとチームは浦田のいる日本代表候補Bが前日にエクストラスローまでもつれた接戦を制して決勝に進出した。

「負けたら終わり」の大一番。エクストラスローで自ら得点した浦田

迎えた決勝戦は、両チームとも気合十分だった。「今日負けてしまっては浦田さんからバトンを受け取れない」(天摩)日本代表候補Aと「勝って花を添えて終わりたい」(浦田)日本代表候補B。試合は、序盤に日本代表候補Aのエース欠端のショットで先制。その後は互いに譲らず、1-0で日本代表候補Aが勝利した。

力強いバウンドボールを放つエースの欠端

日本代表候補Aは、全試合無失点で大会を終えた。

「しっかりディフェンスで我慢していこうというのは、試合の前も試合中も、何度も何度もチームの中で確認をした」と天摩。

東京大会ではチームとして失点が多かったことを課題に挙げていたが、パリ大会へのリスタートとなる今大会は「それぞれの選手に危ない場面はあったが、失点することなくしっかり0点で抑えきることができたのはひとつ良かった点」と収穫を口にした。

「全力で戦い、バトンを引き継げた」と清々しい表情で語った浦田も、「日本代表は得点力はついている。鍵になるのはディフェンス。東京大会では、金メダルに輝いたトルコチームの選手の高くいいコースのバウンドボールで失点を重ねた。これまでと同じシステムだけでなく、高いボールに体を浮かせて合わせて取る技術が必要になる」と、今後注力すべき課題を明確に述べている。

浦田は「私自身、なにか違う形でサポートし、金メダルの目標は変わらずに持っていきたい」と話す

そしてもうひとつ、今大会で感じたのはキャプテン天摩のたくましさだ。リオ大会後の2017年に浦田からキャプテンを引き継いだ天摩は、これからチームが様々な壁に当たっても崩れないように、どんなチームを目指したいかミーティングでチームのテーマを固めている最中だと明かす。

「きっと3年間の中にいろいろな山場があると思う。それでも、チームが一つの方向性を持ってパリを目指していけるような、そんなのまとまりのあるチームというのを目指していきたいと思っています」

浦田について「女神様のようでした」と語った天摩(右)が花束を渡した

若手の強化、コーチの育成……パリ大会で金メダルを獲るための課題は他にもあるが、天摩の言葉には「きっと選手たちは乗り越えていけるはず」と思わせてくれる力があった。

「テン、よろしくね」

浦田が言うと、「これまでは理恵さんの背中をずっと追いかけてきたが、もっと自分がしっかりしてチームを引っ張っていけるようになりたい」と天摩は力強く応えた。

新たな船出を切った女子日本代表は、パリでは金メダルを狙いに行く。

急遽行われた浦田のためのセレモニー。競技生活を応援してくれたすべての人に感謝を述べた

text by Asuka Senaga

photo by X-1

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