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【逆説の日本史】清朝皇族と大陸浪人の交流から生まれた「満蒙独立運動」

NEWSポストセブン / 2024年7月24日 16時15分

 そもそも根っからの農耕民である漢民族と違って、蒙古族も満洲族も遊牧民である。漢民族とは本来まったくそりが合わない。逆に、漢民族の側から見れば彼らを服属させるということは、彼らの故郷である草原地帯を支配し、遊牧をやめさせ農耕に従事させることである。そんなことは文字どおり「まっぴらごめん」であるのが彼らだ。

 この状態は日本から見れば「敵の敵は味方」であり、取り込みようによっては頼もしい味方になるということだ。そこで日本は満洲族だけで無く、蒙古族にも接近した。「蒙古」という言葉は「邪」馬台国のように中華思想を奉ずる漢民族が彼らを馬鹿にして当てた漢字だから、これからは原史料による表記は例外として、原則としては「モンゴル」と表記する。では、モンゴル人(あるいはモンゴル民族)とはどのようなものか?

〈12~13世紀にチンギス・ハンに率いられてアジアからヨーロッパにまたがる一大帝国を築いた遊牧民族。中国での漢字表記では蒙古族(もうこぞく)。狭義にはモンゴル国(外モンゴル)の人口の大多数を占めるハルハと中国、内モンゴル自治区に居住するチャハルをさすが、広義にはロシア領バイカル湖周辺のブリヤート、ボルガ川下流域のカルムイク、モンゴル国内に居住する若干の少数民族(デルベト、バイト、ザフチン、オリョト、トルグートなど)、さらに中国のトンシャン(東郷族)、ダフール(達斡爾族)、トゥ(土族)、ボウナン(保安族)なども含まれる。人口はモンゴル国に約182万(1996)、中国内モンゴル自治区に約480万(1990)である。体型的には典型的なモンゴロイドで、平坦(へいたん)な顔つき、目に厚い蒙古ひだがあるのが特徴的で、四肢は短いが、体つきは全体的に頑健である。(以下略)〉
(『日本大百科全書〈ニッポニカ〉』小学館刊 項目執筆者佐々木史郎)

 おそらく、現在六十歳以上の人間なら明確に記憶していると思うが、かつて「蒙古斑」という言葉があった。新生児の臀部に見られる「青いあざ」のことで、かつてこれはモンゴル人と日本人が「同族」である証拠だなどと言われた。もちろんモンゴル人も日本人も人種学的に言えばきわめて近い人種であることは間違い無いのだが、最近はモンゴル人と日本人だけに見られる現象では無いことが医学的に証明されており、最近は「児斑」と呼ばれている。

〈乳幼児の体幹背面、とくに尾仙骨部を中心として現れる青色斑をさし、小児斑ともいう。モンゴロイド(黄色人種)に100%近くみられるところから蒙古(もうこ)斑Mongolian spotとよばれたが、白人でも10~20%、黒人では80~90%もみられるので、児斑または小児斑とよばれるようになった。(以下略)〉
(前掲同書 項目執筆者齋藤公子)

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