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《早朝から中国人が長蛇の列》「外免切替」に利用される日本 運転免許試験場に並ぶ中国人「中国の免許はどこも使えない。お得だ。日本は優しい」

NEWSポストセブン / 2024年10月26日 16時15分

 しかしそうした問題ばかりが理由ではない、とも語る。

「国際免許が切れていても平気で『運転できる』と来る。在留資格すらあやしいのも来る。そんな運転手を雇ったらうちが大変なことになる。差別しているつもりはない。こっちも仕事だし、人の命にかかわることだ」

 国際免許の期限は発給から1年以内か上陸1年以内のうちの短い期間で有効となる。それを過ぎると更新制度もないため「無免許」状態になる。全部がそうではないが、そうした事件(後述)がたびたび報じられている。任意保険の問題もある。2011年の名古屋市で起きたブラジル人男性による無免許ひき逃げ事故は出所後に事故加害者が母国へ帰ってしまい、遺族は泣き寝入り状態となってしまった(ブラジルはジュネーブ条約非加盟国)。

 日本は政府主導で商業ドライバー不足解決と海外旅行者のインバウンド需要喚起のため、外国人が日本で運転する際の運転免許の外免切替や取得手段を簡素化、多言語化などによって平易にしてきた。公道を外国人観光客のカートが走り回り、外国人の運転する貨物が増えたのもそうした政策によるものだが、それが「お人好し」と一部の国や地域の外国人から利用されている実態がある。10月には日本で有効でない免許を持つ外国人客に公道でカートを運転させたとして都内のレンタルカート業者が摘発された。

 別の都内運送会社役員は「それでも必要」と電話口でこう話す。

「ドライバーが本当に足りない。うちだけじゃない。これから少子化もあるし、ある程度は仕方ないとみな思っているはずだ。むしろ日本の免許制度が厳しすぎるように思う」

 立場によって受け取り方は様々だが中国人を中心とした運転免許の外免切替騒動。府中運転免許試験場ではあまりの朝からの行列に10月28日から予約制とすることを決めた。

 先の日本在住の中国人はこう話す。

「日本で国際免許の切り替えができれば世界の多くで運転できるようになる。中国人からすればこんな夢のような話はないし、例えばオーストラリアやドイツは中国人だと切り替えに厳しくて落ちるから簡単で信用ある日本で切り替えてから、とも聞く。その日本の運転免許の信用が落ちないか、そうなったら申し訳なく思います」

 外国人といっても様々なのは当然の話だが、この10月には埼玉県川口市で飲酒運転かつ時速100キロ以上で逆走した18歳の中国籍男性が衝突して事故相手の日本人が死亡した。川口市では9月にもトルコ国籍の同じく18歳が少年2人をひき逃げ(うち1人死亡)して逮捕されている。

 2015年に浜松市で中国籍の女性が信号無視で5人を死傷させた事故はこの10月に高裁が「統合失調症の症状が悪化」として逆転無罪とした。長い裁判だったが「たくさんの外国人が運転する国」となるならやるべきことはまだあるように思うし、日本人だって事故を起こしていると言ってもこれでは広く理解は得られないだろう。

 差別がどうこうではなくこの国の交通安全と運転免許制度の国際的な信用の問題、外国人の運転に関して日本に制度上の問題があるなら是正しなければそれこそ軋轢が増すばかりだ。お互いのためにもならないし、ドライバーも含めた働き手の不足を解消するつもりとするならそれは順序が違うのではないか。いよいよ「お人好し」では済まない問題になりつつあるように思う。

日野百草(ひの・ひゃくそう)/出版社勤務を経て、内外の社会問題や社会倫理のルポルタージュを手掛ける。日本ペンクラブ広報委員会委員。

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